「ねえGoogle、Google Homeは使いものになる?」実際に触って実力をチェック:「スマートスピーカー」の今と近未来(2)(2/2 ページ)
スマートスピーカーは実際、どのような用途で価値を発揮するか。どんな人にとって便利か。ここでは、2017年10月6日に日本で発売されたばかりのGoogle Homeに焦点を当て、実際に触って、その使い勝手を独自の視点でまとめてお伝えする。
Google Homeは本当に質問に強いのか
Google Homeの発表会で、Amazon Echoとの大きな違いを聞いたところ、「質問と音声認識に強い」という答えが返ってきた。検索では、日本でも圧倒的なシェアを誇るグーグルにそう言われると、思わずうなずいてしまうが、本当に「質問に強い」のだろうか。一般的な質問に関して、試してみたい。
まず、Amazon Echoでは、Amazonが2012年に買収した「Evi」という企業の知識データベースの情報を読み上げることで、一般的な質問に答えているとされる。一企業がメンテナンスする知識データベースでは、最新情報についていくのが大変そうだ。また、日本語化でもこのデータベースを採用するのであれば、大きな困難に見舞われそうだ。
一方、グーグルは検索を活用する。スケールするし、新しい情報にも対応しやすい。地域特有の流行や新語にも対応しやすそうだ。良いことずくめのように思えるが、実際に試してみると、バラ色ではないことが分かる。
PCによるグーグル検索では、特に固有名詞の場合、検索結果の画面右にボックスが表示され、その中で情報が一覧できるような工夫がなされている。こうしたボックスがある項目の場合、Google Homeはそこに示された説明文の最初の一文を読むことになっているようだ(さらに多くの文章を読むこともあるが、どういう基準になっているかは分からない)。
説明文はWikipediaであることが多いが、必ずしもそうとは限らない。
問題は、最初の一文だけでは説明にならないことがよくあるという点だ。例えば「ねえGoogle、ダルビッシュ有って誰?」と聞くと、Wikipediaの説明で返答する。だが、最初の一文のみであるため、「ダルビッシュ有は、大阪府羽曳野市出身のプロ野球選手」で終わってしまう。これでは説明になっていないという人は多いだろう。
また、「王貞治って誰?」と聞くと、PC上ではもちろん多数の検索結果が表示され、ボックスも表示されてWikipediaの説明があるのに、なぜか「すみません、お役に立つことができません」という答えになってしまう。
「風邪って何?」と聞くと、Google Homeは「生活知恵袋」というサイトの情報を読み上げる。確かにPC上で検索ワードに「風邪って何」と入力すると、生活知恵袋の情報がボックスに入って最上部に表示されるが、「風邪」で検索すると、検索結果ページにボックスが表示されず、結果の最上位はWikipediaだ。
さらに、「日本科学未来館には何がある?(展示物は?)」「風邪の治し方は?」など込み入った質問になってくると、答えられないケースが多い。
このように、一般的な質問に対して答えるという点では、少なくとも現在のところ、便利だと感じられる場面が多くはない。「積極的に詳しい答えを見つけたければ、スマートフォンやPCで検索しろ」ということだろう。
「今日はどんな日?」から考える、Google Homeの情報提供機能
一般的な質問への答えについては、上記の通り(期待し過ぎてしまうせいか)「いまひとつ」の感があるGoogle Home。だが、情報提供機能には、はっきり「便利」といえる部分もある。ここでは、どういう場面で便利かを紹介する。
グーグルは、Google Homeの紹介で、「今日はどんな日?」(英語版は「How is my day?」)をよく取り上げる。「今日はどんな日?」とは、出勤、通学の支度をしている時に役立つ情報をまとめて聞くことができる。
今日はどんな日に含まれるのは、日付、曜日、天気、通勤・通学経路の交通状況、次の予定(Googleカレンダーに登録された情報)、リマインダー、ニュースだ。これ以外の項目を追加することは、今のところできない(任意の項目をスキップする設定は可能)。このように、いちいちテレビやインターネットのサービスなどで確認するのが面倒なことを、「今日はどんな日?」という一言で流し聞きできるのは便利だ。
しかも、Google Homeの音声認識機能では、音声認識機能によって、各人に適した情報を伝えてくれる。
似たような例では、レジャーに出掛けることを想定して、次のような確認ができる。
「ねえGoogle、日本未来科学館ってどこ?」「ねえGoogle、営業時間は?」「ねえGoogle、車で何分かかる?」
同じ場所やモノ、人に関する質問を続ける場合でも、いちいち「ねえGoogle」を言わなければならないのが面倒だが、少なくとも上の例では「日本科学未来館」をスキップできている。「営業時間は?」の質問では、「今日は閉まっていますが、明日10時に開きます」といった、多少頭の良い答えを返せる。
また、外食で店舗に予約を入れたい時、電話番号をいちいち検索するのは面倒だ。こうした場面で、即座に言葉で聞けるのは楽だ。米国では、さらにアウトバウンドコール通話料無料のサービスを使って、そのまま店舗にハンズフリーで電話をかけさせることができる。こうなってくると、確かに便利だ。
細かいことのように聞こえるかもしれないが、上記のように、天気、交通情報、施設や店舗の営業時間、電話番号など、「知りたいが検索するのは面倒」といった情報を、Google Homeに言わせると、便利に感じられる。
Google Homeの便利さとは
他の機能、例えば「タイマー」「アラーム」「ショッピングリスト」「リマインダー」などについても、同じことがいえる。いちいち紙やPC、スマートフォンに入力するのが面倒な作業を、声だけで済ませられる。
Google Homeの機能は増えることだろう。だが、Google Homeの根本的な便利さが、「おっくう」「面倒」な作業を声で済ませられることだという点は、今後も変わらないように思われる。
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