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【実録PoC】毎月数百件以上の文書スキャン業務はロボットで置き換え可能なのかRPA導入ガイド(5)(1/2 ページ)

RPA(Robotic Process Automation)とは何かという基本的なことから、導入するためのノウハウまでを解説する連載。今回は、RPAの基本となる、RDA(Robotic Desktop Automation)のPoC(Proof of Concept:概念実証)について共有します。

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「PoC」(Proof of Concept:概念実証)とは

 RPA(Robotic Process Automation)とは何かという基本的なことから、導入するためのノウハウまでを解説する本連載「RPA導入ガイド」。前回第4回では、RPAの全社導入の形を作る「全体計画」について解説しました。第5回となる今回は、「PoC」(Proof of Concept:概念実証)をテーマとします。

 PoCは、新しい概念やアイデアに対して、ITを活用して実現可能かどうかを検証することを意味し、本連載で「初物」と呼んできたデジタル技術の導入には欠かせない活動です。ベテランのエンジニアの方には、「実証実験」と呼んだ方が伝わりやすいかもしれません。

 RPA市場の動向としては、先進企業は既に全社導入に向けて進んでおり、部門導入を進めている企業や組織もありますが、その一方で「現在、まさにPoCに取り組んでいる」、あるいは「これから取り組んでみたい」と考えている企業や組織の方が多いかもしれません。

 今回は、RPAの基本となる、RDA(Robotic Desktop Automation)のPoCについて共有します。覚えていただきたいキーワードは人手からロボットへの「置き換え」です。「ロボットで置き換え可能かどうか」がPoCの第一目的となるからです。

 RPAのPoCに関しては次回お伝えしますが、RDAとRPAのPoCは、PoCプロジェクトの規模の違いだけではなく、システム構成、目的、そして、プロジェクトに付きまとう落とし穴など、さまざまな点で違いがあることを覚えておいてください。

対象業務の選定とRPA/RDAにおける展開の法則

 PoCならびに業務への実導入に際しては、企業や組織が行っている事業への影響から図表1のように「影響度合いが低い社内の情報共有や支援業務で開始し、次に社内実務やルーティーン、そして『対顧客』含む、事業に関わる業務に展開する」という法則があります。


図表1 対象業務の選定とRPA、RDA展開の法則

PoCの進め方

 次に、PoCの進め方を見ておきます。大きく2つの進め方があります。その違いは、業務の粒度の捉え方と対象領域の絞り込みができているかどうかに依存します。

 「この業務でPoCをやりたい」と決めていたとしても、「対象業務を構成する細かいプロセスのどこでRDA化を検討するか」といったところまで突き詰めておかないと、ロボットを動作させるシナリオの作成に落とし込むことはできません。従って、2つの進め方の違いは「対象領域が明確かどうか」「すぐにシナリオ設計に入れるのか」で分かれます。


図表2 PoCの2つの進め方

 展開の法則とPoCの進め方を理解したところで、典型的な事例を見ていきましょう。パターンとしては、図表1の展開の法則では2の「社内の実務」、図表2の進め方では「(1)対象領域が決まっていない場合」の事例です。

RDAのPoC事例 前半戦のレポート

 まずは「領域決定」までの前半戦を共有しましょう。

対象業務の概要

 対象業務は文書管理業務です。公共機関に提出した文書をスキャナーで取り込んで、システムに登録。後で各種情報を追加入力して一元管理する業務です。関係者が文書の内容やステータスを共有できるようにします。

 処理量としては、毎月数百件以上を処理しています。

目的

  • RDA活用で業務の一部自動化を図りたい(人手からロボットに置き換え可能か)
  • 最終的には、近年増えてきた別の業務にリソースをシフトしたいと考えているが、まずはそこに至るまでのロードマップを描きたい

進め方

 「文書管理業務での適用は決まっていたが、その中の対象領域はPoCプロジェクトに着手してから決める」という、進め方としては図表2の「(1)対象領域が決まっていない場合」に当たります。

業務可視化、分析を通じて見えたこと


図表3 文書管理業務のBPMN表記例

 業務は大きく3つのプロセスから構成されます。RDA化する領域は、図表3の2番目の「情報追加」に決定しました。

ロボットシナリオの概要

 人による指示の後で、以下のオペレーションをロボットが代行します。

  • 書類ファイルと初期登録情報の参照
  • 情報追加入力
  • 入力完了

 机上検証では40〜45%の工数削減が見込まれます。

前半戦を振り返って

 ここまでに要した期間は約1カ月です。

 体制は、導入企業側がプロジェクトリーダーやオペレーターなどで、さらに前半戦を支援するコンサルタントと、後半戦を支援するRPAベンダーのエンジニアで構成されています。

 「現行業務を可視化して適用する領域を決めてシナリオの設計をする」活動を、日常業務と並行して進めることで、より短い期間で行うことも可能ですが、無理のない期間設定で進めています。

 「シナリオ作成」「机上検証」の進め方の詳細は、連載第3回を参考にしてもらうとして、続いて後半戦とPoCの結果を共有しましょう。

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