Microsoftの「Virtual Kubelet」がCNCFのプロジェクトになったことの意味:CNCFのCOOに聞いた
Microsoftは2018年12月4日(米国時間)、Kubernetes関連のOSSプロジェクトVirtual KubeletがCNCFに加わったことを発表した。その意味をCNCFのCOO、クリス・アニズィック氏に聞いた。
2018年12月4日(米国時間)、Microsoftが始めたOSSプロジェクトVirtual Kubeletが、Cloud Native Computing Foundation(CNCF)にサンドボックスプロジェクトとして加わった。これをCNCFのCOO(最高執行責任者)であるクリス・アニズィック(Chris Aniszczyk)氏は、「とてもエキサイティングなことだ」と歓迎する。
KubeletはコンテナオーケストレーションプラットフォームKubernetesの主要な構成要素。APIサーバの指令などを基に、ノード(物理サーバあるいは仮想マシン)上で稼働するコンテナの展開、実行管理を行う。Virtual Kubeletでは、Kubeletが動作するノードとは別のコンピューティングリソースに、コンテナを展開できる。
「(Virtual Kubeletの)魅力は、ハードウェアの管理からユーザーを解放することにある。通常のKubernetes運用では、マシンの追加や削除をユーザー自身がやらなければならない。一方、Virtual Kubeletではマシンの代わりにクラウド事業者のリソースを利用することで、この管理負荷を避けられる」(アニズィック氏)
サーバの運用を考えずにコンテナを利用できるサービスには、「Azure Container Instances」や「AWS Fargate」などがある。Virtual Kubeletの価値は、Kubernetesによるコントロールを失うことなく、部分的にこうしたサービスを活用できることにあると、アニズィック氏は話す。
「例えばバースティングに使われることが考えられる。花のオンラインストアがKubernetesクラスタを運用しているとする。バレンタインデーで予想を超えたアクセスに直面し、サーバを新たに調達する時間もないとき、Virtual Kubeletを通じてAzure Container InstancesやFargateなどを拡張リソースとして使えばいい。課金は使っただけで済む」
現時点で、Azure Container Instances、AWS Fargate、AliCloud、Huawei Cloud、Hyper.shなどが、Virtual Kubeletと連携するためのプロバイダープラグインを提供している。
「Kubernetesプロジェクト自体が、将来こうしたワークフローを組み込むことになる可能性もある」(アニズィック氏)
Virtual Kubeletは当初、Kubernetesへの統合を目指していた。だが、KubernetesコミュニティはAPI変更につながり得ることから首を縦に振らなかった。そこでKubernetesとは別のプロジェクトとして、CNCFに加わることになったのだという。
「私はこれを健全な動きだと考えている。これまでVirtual Kubeletは、Microsoftが大部分をコントロールするプロジェクトだった。他のクラウド事業者は、1社が支配するプロジェクトに依存することに不安を覚えてきた。今回、Virtual KubeletがCNCFに独立した『家』を持ったことで、AWSやAlibabaなどが従来以上に協力し、プロジェクトをより良いものにしていける。その上でKubernetesコミュニティとの協力を進めることもできる」
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