VMwareが「S3 APIを支持」、Cloudianのオブジェクトストレージをクラウドパートナーに提供へ:Cloudian CEOのマイケル・ツォ氏に聞いた
オブジェクトストレージベンダーのCloudianは2019年6月19日、VMwareがクラウドサービスプロバイダーに提供しているクラウド管理プラットフォーム機能、「VMware vCloud Director」に対応したオブジェクトストレージソリューションを発表した。VMwareは同ソリューションを、2019年9月にクラウドサービスパートナー向けのカタログに追加し、Cloudianと共同で販売する。今回の発表は、VMwareがS3 APIを公式に支持したことも意味するという。
オブジェクトストレージベンダーのCloudianは2019年6月19日、VMwareがクラウドサービスプロバイダーに提供しているクラウド管理プラットフォーム(CMP)機能、「VMware vCloud Director(vCD)」に対応したオブジェクトストレージソリューション、「Cloudian Object Storage for VMware vCloud Director」を発表した。VMwareは同ソリューションを、2019年9月にクラウドサービスパートナー向けのカタログに追加し、Cloudianと共同で販売する。
これについて、Cloudianの共同創業者兼CEOのマイケル・ツォ(Michael Tso)氏に聞いた。
「VMwareがS3 APIを支持したことは、大きな意味がある」
今回の発表の骨子は2つある。
VMwareは同社のソフトウェアプラットフォームを採用するクラウド事業者向けに「VMware Cloud Provider Program」を展開。その一環として、クラウドサービスの顧客が使えるセルフサービスポータル機能であるvCDを提供している。今回、CloudianのオブジェクトストレージソフトウェアがvCDに対応することにより、VMwareクラウドパートナーは、オブジェクトストレージサービスをユーザーが自ら設定・構成できる形で提供できる。
また、VMwareは2019年9月をめどに、vCD対応のCloudianをクラウドプロバイダーパートナー向けのカタログに加え、Cloudianと共同で販売する。クラウド事業者はサブスクリプションベースで、Cloudianのオブジェクトストレージを利用できる。
ツォ氏は今回のVMwareとの提携について、次のように説明する。
「VMwareは、オンプレミス、同社のクラウドプロバイダーパートナー、主要パブリッククラウドを含めたマルチクラウドを、企業が単一のインターフェースで使える世界を目指している。Cloudianもストレージで同一のビジョンを持っており、両者の考えは一致している。今回の発表はまた、VMwareがマルチクラウドのオブジェクトストレージを実現するため、Amazon S3 APIを支持したことを意味する」
Cloudianは、S3 APIへのきめ細かな対応を掲げてきた。「当社は、あらゆるS3対応アプリケーションが自社製品と組み合わせられることを保証している唯一のベンダーだ。VMwareが、オブジェクトストレージに関する唯一の製品パートナーとしてCloudianを選んだ理由の一つもここにある」(ツォ氏)
ツォ氏は、Amazon Web ServicesとVMwareという、主要クラウドベンダー2社がS3プロトコルを積極的に支持するに至ったことは、オブジェクトストレージの新たな市場を切り開くという点で、業界全体にとっても大きな意味があると強調した。
では、VMwareのクラウドパートナーは、vCD対応のCloudianオブジェクトストレージを採用することで、具体的にどのようなサービスを提供できるのか。ツォ氏は以下のように説明する。
まず、Veeam Softwareをはじめとした新世代のバックアップ/アーカイブソフトウェアと組み合わせ、クラウドバックアップ/アーカイブ/ディザスタリカバリサービスを提供できる。
また、オンプレミスやクラウドでCloudianのソフトウェアを動かすことで、ユーザー組織はマルチクラウドのオブジェクトストレージインフラを、統合管理の下で運用できるようになる。今回のツォ氏とのインタビューはZoomミーティングで行ったが、Zoom Video CommunicationsはCloudianの顧客で、Amazon S3で一括管理していたデータを、GDPR(EU一般データ保護規則)準拠のために他のデータセンターへ移行したという。
他にも、コンテナサービスのストレージ基盤として、活用することが可能という。
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