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レッドハット、さらに普遍的な存在を目指し、OpenShift 4とRHEL 8を国内で説明さまざまな自動化を推進

レッドハットは2019年6月21日、グローバルでは5月初めに発表された「Red Hat OpenShift Container Platform 4」と「Red Hat Enterprise Linux 8」について、日本国内で説明した。いずれも従来同様、企業における利用に焦点を合わせた上で、普遍的な存在になることを目指しており、新バージョンでもそのための機能強化が図られている。

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 レッドハットは2019年6月21日、グローバルでは5月初めに発表された「Red Hat OpenShift Container Platform 4(OpenShift 4)」と「Red Hat Enterprise Linux 8(RHEL 8)」について、日本国内で説明した。いずれも従来同様、企業における利用に焦点を合わせた上で、普遍的な存在になることを目指しており、新バージョンでもそのための機能強化が図られている。

OpenShiftはOperatorsなどで企業における運用性を向上

 OpenShift採用組織は、世界中で1000を突破したという。Red Hatは、OpenShiftをさらに普遍的な存在になることを目指しており、例えばクラウドサービス事業者との連携を進めている。日本では、2019年6月上旬に、NTTコムウェアが既存のDevOps環境サービスと組み合わせる形で、OpenShiftサービスの提供を開始した。


Red Hatクラウドプラットフォーム部門シニアディレクターのマーティン・クラウス氏

 主要パブリッククラウドとの協業では、各ユーザー組織専用環境を構築/運用できるようにしてきた。加えてAzureでは、2019年5月初めに「Azure Red Hat OpenShift」を発表した。これはMicrosoftとRed Hatが共同でサポートするフルマネージドコンテナサービスだという。スモールスタートが可能で、アプリケーションニーズに応じたスケーリングができる。料金は、仮想マシン利用料と、その仮想マシンに対応したOpenShiftのライセンス料金を足し合わせたものとして計算され、Azure利用料と統合して請求される。Azureの一機能であるかのように利用可能。

 このように利用が広がるOpenShiftだが、「一般的なKubernetesディストリビューションとの最大の違いは、企業における運用者、開発者に向けた機能にある」と、Red Hatクラウドプラットフォーム部門シニアディレクターのマーティン・クラウス氏は話す。

 「体力のあるスタートアップ企業なら別だが、一般企業には、Kubernetesの運用をスケールする形でプログラミングできるエンジニアがいない。そこでOpenShiftでは、従来のIT運用担当者がKubernetesを安心して社内の開発者に提供できるよう、さまざまな機能を盛り込んできた」とはいえ、OpenShift 3が登場した時点では、運用が難しいという声に応えきれていなかった。OpenShift自体よりも、アプリケーションやサービスの設定と運用の複雑さが解決できていなかった」

 そこでクラウス氏がOpenShift 4に関して強調するのはOperatorsの統合が進展したこと。Operatorsは特にデータベースなどのステートフルなアプリケーションのデプロイに関するサービス設定やアップデート、スケーリング、可用性確保、障害からの回復などを自動化する。

 「OpenShift 4では、あらゆるコンポーネントがOperatorsにひも付いている。そしてOperatorsは、あるべき状態と実際の状態を比較し、乖離が発生した場合に修復スクリプトを走らせることができる。私たちは、例えばDNSサーバがダウンした場合、これをOperatorが検知し、DNSサーバを再起動するデモを行った」

 さらにOpenShift 4では、さまざまなインフラへのインストールが完全に自動化され、アップデートも1クリックで可能という。また、複数環境におけるOpenShiftクラスタを、単一コンソールで集中管理できる。

 OpenShift 4では、サーバレスやサービスメッシュに関する機能も搭載している。Istio、Jaeger、Kialiに基づく「OpenShift Service Mesh」に加え、開発者プレビューとしてKnativeを提供。さらにイベントドリブンでコンテナを自動的にデプロイするKEDA(Kubernetes-based event-driven autoscaling)の開発者プレビューを提供した。

RHELでは自動化を進め、目的に沿った効率的な利用を推進

 「物理ホスト、仮想化、プライベートクラウド、パブリッククラウドという。代表的な4つのIT利用形態全てにおいて、エンタープライズグレードのアプリケーションを動かすのに不可欠な基盤になる」というのがRHELの目標。


Red Hat Red Hat Enterprise Linux事業部門バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのステファニー・チラス氏

 Red HatのRed Hat Enterprise Linux事業部門バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのステファニー・チラス氏によると、RHEL 8の新機能は、これまでのニーズに基づくインフラ利用/運用の効率化と、イノベーションを支援するツール群に分けられるという。

 イノベーションを、さまざまな運用形態で柔軟・効率的に活用するための機能強化として、チラス氏は次の4つを紹介した。

  • サポートサブスクリプションの一部となった「Red Hat Insights」は、RHELサブスクリプションで無償提供されるSaaSで、組織におけるRHELのセキュリティや可用性、パフォーマンスなどを評価し、場合によっては目立った問題がユーザー組織で発生する前に解決できるよう支援する。Red Hat社内の経験と知見をベースに機械学習モデルを構築し、適用しているという。
  • コンテナ活用を容易に始めるための選択肢として、RHELで直接コンテナを作成し、動かせる「Podman」、サイズの小さなコンテナイメージを構築できる「Buildah」、コンテナを探し、共有する「Skopeo」といったツールを追加した。
  • 「Application Streams」という考え方に基づく新機能として、複数バージョンのユーザースペースを提供し、これをベースOSよりも頻繁に更新できるようになった。コンテナや仮想化を使うことなく、アプリケーションとOSを分離できる。
  • データベースのサポートでは、「SAP HANA」や「Microsoft SQL Server」への最適化を進めた。

一方、あらゆる組織における現在のインフラ利用・運用の効率化に関する新機能として、チラス氏は次を挙げた。

  • 新たに搭載されたツール「Image Builder」では、さまざまなライブラリやツールを含むカスタムシステムイメージを容易に作成できる。Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、VMware vSphere、OpenStackなど、稼働環境に合わせた形式で出力できるという。
  • Linuxを使ったことのないユーザーでも、RHELを簡単に利用できるようにするツールが「Web Console」。コマンドラインを使うことなく、Webブラウザでグラフィカルなインターフェースを用い、管理が可能。
  • セキュリティに関しては、OpenSSL 1.1.1およびTLS 1.3をサポートし、システム全体にわたって統一的に暗号化を適用できるようにした。また、ワークロードに必要なパッケージのみをデプロイできるようにしている。

 また、Red Hatはあらゆる開発者が利用可能なコンテナアプリケーションの基盤として、「Red Hat Universal Base Image」も発表している。RHELをベースとした軽量イメージで、性能、セキュリティ対応、ライフサイクルに関してもRHELと同一。RHELのサポートサブスクリプションを適用できるという。

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