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Google CloudはAnthosで「次のVMware」になろうとしている FFGはCloud Spannerで次世代銀行システムを開発Google Cloud Next Tokyo ’19(1/2 ページ)

Google Cloudのイベント「Google Cloud Next Tokyo ’19」では、分散データベース「Cloud Spanner」の利用が、金融基幹システムにも広がりつつあることが示された。一方マルチクラウドコンテナ環境の「Anthos」でGoogle Cloudは、アプリケーションのモダナイゼーションツールとしての役割を強調した。Google CloudはAnthosで、「次のVMware」になろうとしている。

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 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)は、Google Cloud Platform(GCP)で稼働するクラウドベースの金融基幹システムを開発中だ。FFGが次世代バンキングシステムの研究・開発のために設立した戦略子会社、ゼロバンク・デザインファクトリーの取締役COO、永吉健一氏が2019年7月31日、Google Cloudのイベント「Google Cloud Next Tokyo ’19」で紹介した。

新しいアプリケーションでは、金融業界でもCloud Spannerの事例が増加

 「金融業界は大洪水レベル。これを乗り越えていくためにはノアの箱舟のようなものが必要」(永吉氏)


永末氏は、FFGにおける次世代バンキングシステムのテーマを、このように説明した

 この次世代システムは、アクセンチュアが開発した金融基幹システム「MAINRI」をベースとしているという。アクセンチュア 代表取締役副社長の関戸亮司氏によると、MAINRIは「与信や決済などの基幹系機能をはじめとした、金融機関のミッションクリティカルなサービスを実現するフルクラウドのプラットフォーム」。

 第3次オンラインから約30年がたち、大競争時代を迎えている現在、「効率化のみを大義名分に(密結合な旧来の)システムを更改する時代は終わった。われわれは、金融機関が決済、与信、資産管理といった根源価値を中核に、新たなエンドツーエンドの顧客体験をデザインする時代が来たと考えている」と、関戸氏は訴えた。

 MAINRIは、GCPのコンテナサービス「Google Kubernetes Engine(GKE)」、データウェアハウスサービス「BigQuery」、分散データベースサービス「Cloud Spanner」を活用するなど、全てがGCP上で稼働するように設計されている。

 前出の永吉氏は、「われわれが開発しているのはコアバンキングシステム。金融をマイクロサービスでどうスケールさせるか。GKEとCloud Spannerで、これを提供してくれるのがGCPだと思っている」と話した。

 Cloud Spannerは、Google Cloudが2017年2月に発表し、同年5月に東京リージョンで提供を開始した、グローバルなOLTPを可能にする分散データベースサービス。国内企業の間で、これを採用する事例が目立つようになってきた。

 特にゲーム業界での活用例が増えている。基調講演では、ガンホー・オンライン・エンターテイメントのCTO、菊池貴則氏が、「mspo(エムスポ)」でCloud Spannerを採用したことを紹介した。また、Google Cloudは、スクウェア・エニックスが2019年の正式版リリースを目指すドラゴンクエストウォークで、このデータベースサービスを採用していることを明らかにした。コロプラがMySQLからCloud Spannerへの移行を進めていることも知られている。

 一方、金融サービスでは、メルペイも同サービスを支えるデータベースとしてCloud Spannerを使っているという。

 同社取締役CTOの會川景介氏によると、メルペイでは、アプリケーションをマイクロサービス化し、GKE上で稼働させている。これに伴い、サービスごとのデータベースを各チームが運用しなければならないという課題が生まれた。だが、Cloud Spannerにより、金融サービスに求められる可用性、拡張性、パフォーマンスなどの要件を満たすデータ基盤を、データベースエンジニアが統合的に提供できるようになったという。


メルペイの會川氏は、GKEとCloud Spannerを中核として、サービスを構築したと説明した

 Cloud Spannerの利用の広がりについて、Google Cloudテクニカルインフラストラクチャ担当シニアバイスプレジデント、ウルス・ヘルツル(Urs Hölzle)氏は、次のように話した。

 「Cloud Spannerは、新しいアプリケーションのためのデータベースだ。急速に拡大する大規模なユーザーベースを支えられる。このため、ゲーム業界や次世代金融システムに利用されている。ただし、エンタープライズにおける浸透率はまだ非常に低い。アプリケーションの完全な書き直しが必要になるからだ。ほとんどの組織では、『Anthos』などのような、もっと気軽に実行できるアプリケーションのモダナイゼーション手法を求めている」

 Cloud Spannerが新しいアプリケーションのためのプロダクトであることは当初から明らかだが、オンラインゲームのような用途だけでなく、金融の基幹システムを支える基盤として利用されつつあることは、Google Cloudが目指すエンタープライズへの浸透という観点で、大きな進歩であることは確かだ。

「気軽に実行できるアプリケーションのモダナイゼーション手法」としてのAnthos

 Google Cloudが、今回のイベントで最も強くプッシュしたのは、ヘルツル氏が上述のコメントでも言及しているAnthosだ。「気軽に実行できるアプリケーションのモダナイゼーション手法」という表現が、同社の狙いを示している。

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