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腐ってきたな、自分――評価されないジレンマに苦しんだエンジニアの今マイナビ転職×@IT自分戦略研究所 「キャリアアップ 転職体験談」

「転職には興味があるが、自分のスキルの生かし方が分からない」「自分にはどんなキャリアチェンジの可能性があるのだろうか?」――読者の悩みに応えるべく、さまざまな業種・職種への転職を成功させたITエンジニアたちにインタビューを行った。あなたのキャリアプランニングに、ぜひ役立ててほしい。

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 自学もして、成果も上げて、同期の何倍も成長している。なのに、給料は年功序列。

 近藤容司郎さん(26歳)は、「ノースサンド」に転職して、「人の成功を喜べるようになった」と言う。頑張っても頑張っても認められた感を得られない社会人生活を送っていた彼に起こった“心の変化”とは――。


【転職者プロフィール】 近藤容司郎さん(26歳)

ノースサンド コンサルティング事業部 システムアーキテクト(2018年2月入社)

【転職前】 ネットワーク系に強みを持つ大手SI企業(東証一部上場)にて、インフラ系エンジニアとして活躍。クラウド環境の構築、ブロックチェーンを利用した金融システム基盤の実証実験などを手掛ける。

【転職後】 ITコンサル企業のシステムアーキテクトとして、通信事業者である顧客の課題を解決するシステムの提案から、技術選定、構築、運用までをトータルに担当。大きな裁量を持ち、プロジェクトチームを率いてプロジェクトを推進している。

友人が人生観を変えた

 子どものときから家にPCがあり、小学校3年生になるころに「お古になった」端末を親からもらい、ネットやゲームに興じていた。

 「MMORPGなどにハマっていたのですが、ゲームでズルをするために、匿名掲示板などで情報をあさって、メモリデバッガを使ってみたのがきっかけでプログラムに興味を持ちました」

 アセンブラを使ってコード自体を書き換えれば、もっといろいろなことができるらしいと知った近藤さんだったが「アセンブラを覚えるのが難しくて」断念したという。

 だが、高校進学時は情報系の学科がある学校を選んだ。コンピュータと向き合う時間が好きだったのだ。授業ではVisual Basicを使ったプログラミングを学んだり、マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)を取得したりしたという近藤さんだが、趣味でプログラミングにハマるというようなことはなかった。

 「高校時代はバイクが好きで、免許を取り、自分のバイクをDIYでいろいろといじって楽しんでいました」

 「勉強があまり好きではなかった」という近藤さんは高校卒業後の進路についても「好きではない勉強をするよりも、実践的な技術を学び、社会に出よう」と考え、大学ではなく専門学校に進むことに決め、高度情報学科という3年制のコースを選んだ。

 この専門学校で大きな影響を与えてくれた人物に出会う。

 「目標をしっかりと持っていて、授業を熱心に聞き、さまざまな資格を次々と取っている人でした。感心すると同時に、いつしか、そいつの背中を追うようにして、自分も勉強をするようになっていきました」

 近藤さんも基本情報処理、DBスペシャリスト、Oracle Master Goldなど、次々と資格を取得していったという。「やればやるほど視野が広がり、他の人との差も広がっていく」ところに、勉強することの面白さも見いだせたそうだ。

 近藤さんは「今でもその友人を目標に頑張っている部分がある」と当時を懐かしむ。

優れた人たちと一緒に働ける喜び

 そして就職の時期を迎える。近藤さんが選んだのは、東証一部上場のネットワーク系を強みとする大手SI企業だった。2014年4月、近藤さんが21歳のときのことだ。

 ちなみに近藤さんは、専門学校時代、DBをはじめとするミドルウェアを中心に勉強しており、決してネットワーク分野が得意だったわけではなかった。それなのに、なぜこの会社を選んだのだろうか。

 「実は、サブネットマスクのところがあまりよく分かっていなくて、つまずいて以来、深く学んでいませんでした(苦笑)。そこで、ネットワークをもっと理解したいと思い、ネットワーク分野に強い会社を選びました」

 「一度折れて(挫折して)からの、再起が強い」と自己分析する近藤さんならではの選択といえるかもしれない。

 入社後、近藤さんはネットワークの知識をぐんぐんと身に付け、ミドルウェアの知識と合わせ、顧客にネットワーク、サーバ、ストレージなどをまとめて提案できるエンジニアになっていった。

 1年目は、統合ログ管理ソリューション「Splunk」を使ったログの可視化に取り組み、プライベートクラウドのRFP(提案依頼書)の提案対応なども行った。

 2年目には、金融系クラウド基盤の刷新プロジェクトで、クラウド上でのサーバオーケストレーションなどを手掛けた他、海外企業とのアライアンスによるブロックチェーン技術の導入を手掛けるなど、新しい技術にも積極的に取り組んでいった。

 そのころ、大きな信頼を寄せる人物たちにも出会う。同じチームで働く営業、SE、上司であるマネジャーの3人だ。

 「3人ともとても優秀で、この人たちとずっと一緒に仕事をしていたいと思いました」

腐っていく自分、そして仲間との別れで転職を決意

 しかし、数年がたったころ、近藤さんはふと気づいた。社内の評価に見合った昇給がなく、現状のテーブルではすぐに頭打ちになったのである。同社では当時、年次が上がらないと、いくら優秀でも昇給の振れ幅が少ないという給与テーブルを採用していたのだった。

 「これでは、いくら頑張っても割に合わないと感じました」

 近藤さんのモチベーションは次第に低下。同社ではVDI(仮想デスクトップ環境)による在宅のテレワークも認められていたため、仕事内容によっては会社に顔を出さない日も増えていったという。自身でも「腐ってきているな、自分」と実感していたそうだ。

 そのころから、少しずつ転職を考えるようになっていた。といっても転職サイトに登録し、興味本位に求人広告をのぞいてみる程度で、まだ真剣に転職を考えたものではなかった。

 しかしある日、ゆらぐ気持ちにとどめを刺す出来事が起こった。信頼を寄せてきた3人が昇格や異動などで現場を離れ、一緒に仕事ができなくなってしまったのだ。「あの3人と仕事ができるなら」と近藤さんを会社につなぎとめていた糸が、ぷつんと切れた瞬間だった。

 「営業パートナーが代わると、営業の質が下がり、プリセールス活動の中で営業のフォローが多くなり、仕事を楽しいと思える時間が減るのを感じました」

 自分の頑張りは会社に正しく数字として反映されていない。給与は変わらず仕事量が増える。この状況に納得がいくはずもない。こうして近藤さんは転職活動に本腰を入れるようになった。

コンサル会社の中の人に会ってみると……

 「転職先選びの基準は『自分が成長できるかどうか』。『どこで働くか』よりも『誰と働くか』が重要だと考えていたので、会社名で選ぶようなことはしませんでした」

 そんな折、転職サイトから送られてきたプレミアムスカウトメールを開くと「ノースサンド」という会社名が書かれていた。「聞き覚えはないが、どんな会社だろう?」と思い、メールを開くとITコンサル会社だった。

 当時の近藤さんは、コンサルタントが何をするのかよく分かっていなかった。「頭が良い人たち」と思ってはいたが、どことなく怪しいイメージもあったので、「コンサルって何だろう?」と興味が湧き、面接に臨むことにした。

 一次面接はカジュアル面談で、面接官は元ネットワークエンジニアだった。

 「面接官と話が盛り上がり、いろいろと話をしていくうちに『ちゃんとした会社だ』と分かりました(笑)」

 入社を決意したのは二次面接だった。面接官は、同社コンサル部門の責任者で取締役も勤める人物だった。

 「私は人から褒められるよりも『あなたのここは良くないので、こうした方が良い』とハッキリ指摘される方を好むのですが、面接官から、まさにそうした指摘とアドバイスを受け、とても衝撃を受けました。当時尊敬していた上司と同様の内容を、短時間で指摘されたからです」

 企業は、採用する気がない相手にわざわざ欠点を指摘して面接の場の雰囲気を悪くする必要はない。これから一緒に仕事をしていく上で、相手のことを真剣に考えるからこその指摘であるはずだ。近藤さんには、そのことが分かっていた。

 近藤さんは「この人たちとなら一緒に働きたい」と思ったそうだ。

 余談だが、近藤さんが前職時代の会社で退職を検討していた折「飛び級」の話も社内で上がっていた。新人事制度としての「成果給」の制度も整えているという。しかし、近藤さんは「この会社で出世しても自分は幸せになれない」と判断し、転職に踏み切った。

承認欲求が満たされた、その先に

 ノースサンド入社後は、通信事業者の公衆Wi-Fiサービス関連のプロジェクトを担当している。

 近藤さんが同社で最も気に入っているのが、顧客との関係性だ。会社に縛られることなく、自身の自由裁量で仕事を進められる部分が多い。結果を出すことで、その裁量がさらに大きくなる。

 「会社の看板ではなく、自分の力がお客さまから評価されるのがうれしいです。コンサルという仕事の面白さがよく分かりました」

 近藤さんは同社で、チームを束ねるリーダーも務めている。前職時代なら後輩や新人の面倒を見ることを「余計な仕事が増えた」と捉えていた。しかし最近、近藤さんの心境に変化があったという。

 「メンバーにミスがあってもイライラしなくなりました(笑)。しかも、チームの新人が社内で賞をもらったときに、わがことのようにうれしくなったんですよ、自分。驚きました」

 こうした変化を近藤さんは次のように自己分析している。

 「前職時代は頑張っても給与が上がらず『認められていない』という思いが強かったんです。しかし今は、社内はもちろん、お客さまからも私の仕事がきちんと評価される。もちろん昇給もします(笑)。私の承認欲求が満たされているのだと思います」

 自身の欲求が満たされたことで、新人たちに目を向け、導いていく心の余裕が生まれたようだ。

 ノースサンドへの転職で、より一層の高みに上った近藤さんに、今後の目標を聞いてみた。

 「アイデアを実現するためのチームを作り、世の中の仕組みを変えられるようなサービスを提供していけるようになりたいですね。笑われるかもしれませんが、雑誌『Forbes』に載りたいと思っています」

採用を担当した取締役 執行役員の佐々木耕平さんに聞く、近藤さんの評価ポイント

 近藤さんは20代とは思えないスキルの高さと、落ち着きが当時からありましたね。

 昔はジャックナイフのような対人コミュニケーションをとる人でした。今ではバターナイフですが……。会社の可能性を広げてくれる逸材だと思い、必死に口説いたことを覚えています。

 コンサルタントとしても人間としても大きく成長し、今では弊社になくてはならない存在となりました。もう、腐ってなんかいません(笑)。

 今後のますますの成長と活躍を期待しています。


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写真:浦本康平


提供:株式会社マイナビ
アイティメディア営業企画/制作:@IT自分戦略研究所 編集部/掲載内容有効期限:2019年9月30日

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