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「技術的負債」が組織やエンジニアに与える影響とは?:The Linux Foundation Japanがホワイトペーパーの日本語訳を公開
The Linux Foundation Japanは、『技術的負債とオープンソース開発』の日本語訳を公開した。技術的負債について、「ソフトウェア開発時にメインブランチからの逸脱によって発生したソースコードの保守コスト」と説明している。
The Linux Foundation Japanは2020年9月1日、『技術的負債とオープンソース開発』を公開した。これは、The Linux Foundationが同年7月に公開した『Technical Debt and Open Source Development』(PDF)の日本語版。
技術的負債の発生を示す症状とは
技術的負債(Technical Debt)とは、ソフトウェア開発時にメインブランチからの逸脱によって発生したソースコードの保守コスト。技術的負債の発生は、新機能を提供するまでのリリース間隔が長くなったり、新規開発者がコードを理解、習得する時間が増加したり、セキュリティ問題が増加したりといった症状から特定できるという。
- リリース速度の低下:新機能が提供されるまでのリリース時間が長くなります。
- 新規開発者がコードを習得する時間の増加:「内部開発者だけがコードベースに精通している」というコードの複雑さのために、新規開発者のコードを習得するための時間が大きく増加します。この症状による第2の症状は、開発者の維持や新規開発者の採用が困難になることです。
- セキュリティ問題の増加:少なくとも、メインのアップストリームブランチよりも多くのセキュリティ問題が発生しています。
- コードベースを保守するための労力の増加:保守作業は、保守するコードの本体が大きく複雑になるほど、より時間がかかるようになります。
- アップストリームの開発サイクルとの不整合:保守のペースが維持できず、アップストリームの開発やリリースサイクルとも整合できていないことを示しています。
技術的負債がもたらす症状(出典:The Linux Foundation Japanのプレスリリース)
『技術的負債とオープンソース開発』は、Ibrahim Haddad氏とCedric Bail氏が執筆したホワイトペーパーで、技術的負債の原因とその結果を分析した。両氏は、オープンソースプロジェクトを使用することで、技術的負債の最小化を直接経験したという。ホワイトペーパーは、技術的負債の種類、技術的負債を特定して最小限に抑える方法、オープンソース開発の役割などを論じている。
ホワイトペーパーの日本語版はWebサイト(PDF)からダウンロードできる。
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