脳活動を基に「楽曲の特徴」を可視化し、ヒット要因を把握する技術 NTTデータなど3社が開発:「言語化できない脳の反応」を利用
NTTデータなど3社は、楽曲の特徴を捉えてヒットソングがヒットした要因を把握するなど、楽曲の脳情報化に関する技術を開発した。人が楽曲を聴いているときの脳活動を推定して、楽曲の特徴を抽出し、可視化する。
NTTデータとNTTデータ経営研究所、阪神コンテンツリンクは2020年9月3日、楽曲の特徴を捉えてヒットソングがヒットした要因を把握するなど、楽曲の脳情報化に関する技術を開発したと発表した。
3社は、NTTデータの人間の脳活動を推定する技術「NeuroAI」と、阪神コンテンツリンクの総合ソングチャート「Billboard JAPAN HOT 100」のデータを活用した共同研究を2019年9月から実施している。これは、楽曲チャートデータと脳情報通信技術を組み合わせて、音楽に対する人間の反応を科学的に把握しようとするもの。人が楽曲を聴いているときの脳活動を推定して、楽曲の特徴を抽出し、可視化する。
脳情報を基にしたプレイリストの制作が可能に
NeuroAIは、映像や音声から人間の脳活動を推定する技術。共同研究では、NeuroAIで楽曲の音声から1秒ごとの脳活動を予測するとともに、音声の周波数を解析して楽曲の特徴を抽出した。脳情報には、言語では表現できない人間が感じる音楽への反応が含まれる。こうした情報から、音楽のジャンルや音声信号処理に依存しない新たな楽曲の特徴を定量化した。さらに、脳情報や歌詞、コード進行といった楽曲の特徴と、その歌手の前週のチャートデータから、チャートポイントを分析する「チャートモデル」を構築して、週単位の楽曲のトレンドを定量的に把握できるようにした。
NTTデータとNTTデータ経営研究所、阪神コンテンツリンクの3社は「現在の楽曲トレンドの特徴を把握し、今後のトレンド推移を定量的に評価することが可能になる」としている。なお3社は、レコード会社やストリーミング事業社などに向けて、チャートデータや脳情報を基にしたプレイリストの制作支援など、新たなサービスの試験提供を2020年9月に開始する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 電柱のメンテナンスもテレワーク対応? NECがAIと光ファイバーで遠隔から「電柱のひび割れ判定」に成功
NECはAIを使ってコンクリート電柱のひび割れの有無を判定することに成功した。既存の通信用光ファイバーを振動センサーにする「光ファイバーセンシング技術」で関連するデータを遠隔から取得できる。 - ヒトの多様な脳内情報表現の可視化と解読に成功 NICT CiNet
NICTに属するCiNetのグループは、認知機能と脳活動の関係を説明する定量的な情報表現モデルを構築することで、ヒトの多様な認知機能をつかさどる脳内情報表現の可視化と解読に成功した。これにより、脳内認知情報表現のより総合的な理解や個人の発達や加齢などに対応した、認知機能の比較定量手法の開発が期待される。 - 「エンジニアの本当の技量が問われる、だから楽しい」――コーディングを楽しむCTOがエンジニアに伝えたい“焼脳”とは
コンテンツ配信を担う「U-NEXT」でCTOを務めるLi Rutong(リー・ルートン)氏。一番大切な仕事は「自分がいらないシステムを作ること」と語るルートン氏がエンジニアに伝えたい“焼脳”とは何か。