AIの民主化、サーバレスからローコード開発まで、AWS re:Invent 2021におけるデータ、機械学習、開発関連の発表12個:AWS re:Invent 2021まとめ(2)
AWSが2021年11月より開催した「AWS re:Invent 2021」における発表を、2回に分けてお届けしているこの連載。前回はインフラ関係の発表を7つに分けて紹介した。今回はデータ、機械学習、開発関連のニュースを12個にまとめて紹介する。
「AWS re:Invent 2021」におけるデータ、機械学習、開発関連の発表では、新しいユーザー層を開拓するものと、既存サービスを使いやすくするものが目立った。 キーワードは「AIの民主化」「サーバレス」「ローコード/ノーコード開発」「メインフレーム移行」「コスト最適化」「大規模な機械学習への対応」だ。
スタートアップ企業にとっては、「AWS Amplify Studio」「Amazon SageMaker Studio Lab」「Amazon Redshift Serverless」「AWS Amplify」の「AWS Cloud Development Kit(CDK)」統合、の4つが特に大きなメリットをもたらすと、アマゾンウェブサービスジャパン スタートアップ事業本部 部長でシニアソリューションアーキテクトの塚田朗弘氏は話している。
この4つは、「AWS やクラウドの知識・経験がなくてもサービスを開発・構築できる」「拡張性・柔軟性の向上でグロースフェーズのビジネス成長を加速する」といった点で貢献できるという。
本記事では上記を含め、データ、機械学習、開発関連の発表を12個に分けて紹介する。
1.Redshiftをさらにクラウド的に使える「Amazon Redshift Serverless」
AWSは、「Amazon Redshift Serverless」のパブリックプレビュー提供を始めた。東京でも使える。
Redshift Serverlessは、データウェアハウスサービス「Amazon Redshift」をサーバレスで使える機能。 演算リソースは、データのロードあるいはクエリが発生すると自動的に立ち上がり、処理量に応じて自動的にスケーリングする。処理がない時はシャットダウンされるため、料金が発生しない。
正確には、料金は演算リソースとストレージに分けた従量課金となっている。演算リソースについてはRedshiftの処理能力(Redshift Processing Unit:RPU)が秒単位で計算される。RPUは、日、週、月単位で上限を設定できる。これにより、演算リソースのコストはコントロールできる。
一方、ストレージのコストはRedshiftが管理するデータ量、およびスナップショットに使われるデータ量で計算される。
AWSは今回、データ関連サービスのサーバレス化で、他にも「Amazon EMR Serverless」「Amazon MSK Serverless」「Amazon Kinesis Data Streams On-Demand」を発表した。
2.利用量の変動が大きい機械学習の推論用サーバレス、「Amazon SageMaker Serverless Inference」
「Amazon SageMaker Serverless Inference」は、機械学習の推論をサーバレスで行える機能。 推論リクエストの量に応じて、自動的に演算リソースを割り当て、スケーリングして実行する。このため、演算リソースの準備や運用に時間と手間をかける必要がない。また、使った分だけ料金を支払えばいい。料金は、推論コードの実行時間および処理データ量に基づいて課金される。推論リクエストがない間は課金されない。
SageMaker Serverless Inferenceは、たまにしか実行されない推論や、利用量の変動が激しい推論で、メリットが大きいという。
AWSは、東京など幾つかのリージョンで、SageMaker Serverless Inferenceのプレビュー版を提供開始した、
3.推論で適切なインスタンス構成をアドバイスする「Amazon SageMaker Inference Recommender」
「Amazon SageMaker Inference Recommender」は、機械学習の推論フェーズで最適なMLインスタンスの構成を推奨するツール。 大規模なMLモデルを運用するMLOpsエンジニアを対象としている。機械学習の統合開発環境「Amazon SageMaker Studio」の一機能として、中国を除く全リージョンにおける一般提供が開始された。
モデルのリソース要件およびデータのサイズに基づくMLインスタンスタイプの選定、インスタンスタイプへのモデルの最適化、負荷テストとインスタンス構成のチューニング、といった作業に多くの手間と時間を費やして、試行錯誤する必要がなくなるという。
SageMaker Inference Recommenderでは「モデルに適したインスタンスタイプ」「インスタンス数」「コンテナのパラメータ」「モデルの最適化」を自動的に推奨する。 さらに複雑な構成作業をすることなく負荷テストを実行できる。 その実行結果から、「レイテンシー」「スループット」「コスト」のトレードオフを評価し、最適な構成を選択できるという。スライダーのようなインタフェースは提供されない。
4.いわゆる「ローコード開発」とは位置付けが異なる「AWS Amplify Studio」
AWS は、「AWS Amplify Studio」のプレビュー版を提供開始した。これは、アプリケーションのフロントエンドをビジュアルに開発できるツール。
いわゆるローコード/ノーコード開発ツールに似ているが、企業の業務部門が社内アプリケーションで使うものというより、「サービスを構築する開発者が、UI/UXデザイナーなどとの連携で、アプリケーションのプロトタイピングおよび構築を、少ない工数で高速に実行する」といったシナリオを想定している。
Amplify Studioでは今回、「Figma」というUIプロトタイピングツールと連携。アプリケーションのユーザーインタフェース(UI)をGUIで開発できる。
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