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レッドハットの2022年度、DXコンサルティングの強化と値下げで垂直、水平の市場拡大狙うコンテナ基盤のハードルを下げる

レッドハットが2022年度の事業戦略を発表した。組織文化の変革やアジャイル人材の育成で、顧客企業との関わりを深める一方、通信基盤やエッジの市場開拓に注力する。また同社は、興味深い値下げをしたことを明らかにしている。

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 レッドハットは、コンテナプラットフォーム製品の「Red Hat OpenShift Platform」(以下、OpenShift)で、企業におけるクラウドネイティブ基盤としての利用の拡大をさらに推進する一方、値下げも生かして新たな市場の開拓を進める。2022年4月12日、2022年度の事業戦略発表で明らかにした。

 新たな市場としてはまず、通信事業者の「MEC(Mobile Edge Computing)」などと呼ばれるエッジコンピューティングがある。レッドハットでは通信業界を専門に扱う組織を独立させ、グローバルの組織と連携するという。また製造業では、スマートファクトリーに向け、工場などにおける基盤を構築しようとする動きがみられる。こちらについても、専門にビジネス開発を行う部署を設置するという。

 企業における用途の拡大に関して、レッドハット社長の岡玄樹氏は、新たなマネージドサービスと値下げに言及している。

 OpenShiftは、ユーザー組織が自ら導入・運用できる他、クラウド上で運用されるものを「マネージドサービス」として利用できる。この、マネージドサービスとしてのOpenShiftで追加的に使えるサービスとして、Apache Kafkaおよびこれと連携する機械学習/AI基盤を販売開始したという。

OpenShift Kubernetes Engineなどを値下げ、その理由

 値下げは興味深い動きだ。2022年4月より、Kubernetes基盤部分の「Red Hat OpenShift Kubernetes Engine(以下、OpenShift Kubernetes Engine)」を平均 33%、オブジェクトストレージの「Red Hat OpenShift Data Foundation (Bare metal)」は40%値下げしたという。

 レッドハットによると、値下げの理由は次の通り。

 OpenShiftは、Kubernetesをベースとしつつ、企業におけるソフトウェア開発・運用に役立つさまざまなオープンソースツールをまとめて提供し、一括してサポートすることが特徴となっている。クラウドネイティブなアプリケーションの開発、デプロイ、運用のための環境としてOpenShift を利用したい場合は、いわば「全部入り」のOpenShift Container Platformが適しているとレッドハットは言う。

 一方、Kubernetes運用の経験があったり、コンテナアプリケーションの開発・デプロイ環境を独自で構築していたりする組織、あるいはISV(独立ソフトウェアベンダー)ソフトウェアの稼働基盤が欲しいといった場合には、「全部入り」の製品では機能が多すぎる。企業向けのサポートを受けられるKubernetes基盤だけで十分なのであれば、OpenShift Kubernetes Engineが適しているとする。

 OpenShift Kubernetes Engineの値下げは、後者の利用におけるハードルを下げる狙いがあるという。レッドハットは、ISVソフトウェアのコンテナ化や、前出のエッジコンピューティング用途での利用を促進しようとしている。

 ISVソフトウェアの基盤として考えた場合、「Kubernetesインフラとして、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)を導入するのとほぼ変わらない感じで導入できるようになった」と、レッドハットの岡下浩明氏(APAC Office of Technology、GTMストラテジスト)は説明している。

 また、オブジェクトストレージの値下げは、データの蓄積・処理や機械学習/AI で、OpenShift Kubernetes Engineと組み合わせて使う用途を想定したものだという。

アジャイルコンサルティングを強化

 企業におけるクラウドネイティブなアプリケーションの開発・運用については、学習や検討にとどまらない「本気のアジャイル」(岡氏)を促進するため、コンサルティング人員を大幅に拡充するという。また、販売パートナーにトレーニングコースを無償で提供、デジタルトランスフォーメーション(DX)のコンサルティングで協業していくという。これについては、例えば2022年3月に、富士通とDXコンサルティングでの協業を発表している。

 また、最上位の「Premier Businessパートナー」を新設した。各パートナーに専任のチームが、特定案件の集中支援や、アジャイル人材育成のサポートなどを行うという。

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