Microsoft、フルマネージドのカオスエンジニアリングサービス「Azure Chaos Studio」の一般提供を開始:本番環境で疑似的な不具合を引き起こす
Microsoftは、「Azure Chaos Studio」の一般提供を開始した。本番環境で疑似的な障害を意図的に引き起こし、アプリケーションのレジリエンス(回復性)を向上させるための実験プラットフォームだ。
Microsoftは2023年11月15日(米国時間)、「Azure Chaos Studio」の一般提供を開始したと発表した。本番環境で疑似的な不具合を引き起こすことにより、アプリケーションのレジリエンス(回復性)を向上させる実験プラットフォームだ。
Azure Chaos Studioでは、現実世界の障害(ネットワークの遅延、予期せぬストレージ障害、シークレットの期限切れ、データセンターの停止のような)に対するアプリケーションの応答を評価できる。Azure Chaos Studioを使用することで、アプリケーションのレジリエンスをプロアクティブに向上させる方法をよりよく理解するために、幅広いエージェントベースの障害(リソース内を破壊する)とサービスベースの障害(コントロールプレーンのリソースを破壊する)による実験を設計、実施できる。
プレビュー期間での機能強化
Azure Chaos Studioでは、プレビュー期間に顧客からのフィードバックに基づいて、以下のような機能強化が行われた
- 実験テンプレートにより、可用性ゾーン内のVMSS(仮想マシンスケールセット)インスタンスのシャットダウンや、「Microsoft Entra ID」(旧称:Azure Active Directory)の停止など、一般的な設計の実験を素早く立ち上げて実行できるようになった
- ID管理の改善により、ユーザー割り当てのマネージドIDやカスタムロール割り当て機能をカオス実験で利用できるようになった
- 動的ターゲットにより、タグ、リソースグループ、リソースタイプなどの実行時クエリを用いて、Azureサブスクリプション内のリソースを選択できるようになった
- Azure Chaos Studioの実験で、ロードテスト障害を使用して、「Azure Load Testing」のテストケースを開始、停止できるになった
Azure Chaos Studioは、事業継続(BC)や障害復旧(DR)の訓練などを手動で実施したり、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)パイプラインの一部として、コードフローを制御したりするために使用できる。既存のモニタリングツールやオブザーバビリティツール(「Azure Monitor」やそのApplication Insights、Log Analyticsなど)と統合し、実験の影響を可視化することもできる。
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