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「サブスク」でオンプレミスのハードウェアも調達する時代に――コストや契約はどう変わるのか?コストは5分の1、煩雑な契約手続きも不要

企業でクラウドサービスの活用が広まる中、オンプレミスのハードウェアも「サブスク」で利用する取り組みが広まりつつある。サブスクに移行するとどのようなメリットが生まれるのか。コストや契約はどう変わるのか。

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サブスク時代のインフラIT構成は「ハイブリッド」が定石に

 生活の中で、モノを「所有」するのではなく「利用」するサービス形態が当たり前の時代になった。多くの人が動画配信サービスを利用し、自動車やおもちゃまでもサブスクリプション(サブスク)で使える。これらの多くは月額料金で利用でき、不要になれば解約するのも容易だ。

 こうしたサブスクサービスのニーズは、ITインフラ領域でも同様だ。サーバやストレージなども購入し所有するのではなく、利用した分だけ支払い、使いたい。そうした背景もあり、企業でもサブスクで利用できるクラウドサービスの採用が増えている。

 だが、企業のポリシーや規制などで、クラウドサービスを採用できないケースももちろんある。セキュリティを確保する必要があるケースや、高いパフォーマンス、応答速度が要求されるケースでは、オンプレミスで運用したいシステムもある。結果的に、オンプレミスとクラウドを組み合わせる「ハイブリッドIT」構成が増えている。

 企業ごとにビジネス要件や環境が異なり、ビジネスのゴールも異なる中、現行のITインフラの状況も異なれば、目指すべきITインフラの姿も各社各様だ。ITインフラが複雑化し多様化している中、ハイブリッドITは定石といえるだろう。

オンプレミスではIT部門が対処すべきことがたくさんある

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富士通
インフラストラクチャシステム事業本部
統合商品事業部
LCMサポート部 シニアマネージャー
佐藤 晃氏

 「2006年ごろから大手サービスプロバイダーによるクラウドサービスの提供が始まり、2010年代前半には“クラウドファースト”の方針で多くの日本企業がクラウド利用を加速させました。多くの企業がクラウドを経験し、その良さも課題も認識した上で、現在はクラウド一辺倒ではなく、適材適所でITインフラを選択し利用している状況です」

 こう話すのは、富士通の佐藤 晃氏(インフラストラクチャシステム事業本部 統合商品事業部 LCMサポート部 シニアマネージャー)だ。

 クラウドのメリットとしては、利便性の高さと運用の容易さが挙げられる。ハードウェアを自社で保有せず、運用はクラウドベンダーに任せられるので、運用管理の負荷は減る。

 一方、オンプレミスの場合は、データを全て自分たちでコントロール可能で、高度なデータセキュリティやガバナンスを確保できる他、自社の要望通りに柔軟な構成が実現できる。

 クラウドを用いれば、AI(人工知能)など先端テクノロジーにも迅速に取り組めるが、より本格的にAIに取り組む場合はオンプレミスで構成した方が良いケースもあるという。

 「データをエッジに近い場所で処理するために、コンピュート処理させる環境をオンプレミスに用意し、AIエンジンを運用したいケースもあるでしょう。新しいAIの取り組みでも、適材適所でITインフラを選ぶ必要があります」(佐藤氏)

 一方、ハイブリッドITが広まる中で課題となっているのが、「オンプレミスとクラウドで契約形式や支払い方法の差異が生まれていること」だ。

 「多くのクラウドでは月額料金での支払いが基本であり、ストレージなどのサービスでは利用容量に応じた従量課金制がほとんどです。一方でオンプレミスの場合は、将来利用するリソースを予測し、導入時にそれを十分に満たせるリソースをあらかじめ調達する必要があります。変化の激しい時代ですので、将来自社が必要とするリソースを予測するのは難しくなってきており、また初期投資が大きくなることも問題です」(佐藤氏)

 見積もり予測が外れ、途中でリソースが足りなくなれば、時間と手間をかけて新たにリソースを調達して既存環境に追加しなければならない。

 また、ビジネス環境が変化したり、一部のシステムを途中でクラウドに移行したりしても、一度購入してしまったリソースは使い続けなければならない。クラウドのように使わなくなれば返却し、コストを最適化するような使い方はできない。

 そして、IT部門にとって大きな負担となるのが、5年ごとなどに訪れるITインフラの更改だ。「オンプレミスでは、やるべきことがかなりたくさんあります」と佐藤氏は言う。

オンプレミスとクラウドの“いいとこ取り”を実現する富士通のサブスクリプションモデル

 適材適所でITインフラを配置して利用するハイブリッドITのニーズがある一方、オンプレミスでの調達などにはさまざまな手間のかかる問題がある。それらオンプレミスの課題を解決してくれるのが、富士通が提供するITインフラの「サブスクリプションモデル」だ。

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富士通のサブスクリプションモデル(提供:富士通)《クリックで拡大》

 これは、サーバやストレージなどのハードウェア機器、さらにはソフトウェアをオンプレミスで使用しながら、支払いはクラウドと同様の月額払いにできるものだ。クラウドのメリットである利便性や柔軟性と、オンプレミスのメリットである性能やセキュリティの確保といった「双方の“いいとこ取り”をコンセプトとしたものです」と佐藤氏は言う。

 「顧客企業は機器やソフトウェアを利用した分だけ支払う形式です。リソースが不足した場合は、煩雑な契約手続きなしでリソースを拡張することが可能です。追加契約などで調達に時間がかかる問題などを回避できます」(佐藤氏)

 企業はITインフラの運用管理になるべく手間をかけず、業務アプリケーションを革新し、より良いサービスの提供に注力したい。しかし、多くのIT部門がオンプレミスのハードウェアの調達に手間がかかり、取り組めていない。「富士通のサブスクリプションモデルは、ITインフラ側から企業のIT部門の負担を大きく軽減する提案です」と佐藤氏。

 このサブスクリプションモデルを富士通では、2020年から提供している。多くの場合、初期投資は従来の購入/所有に比べ5分の1程度になるという。また、毎月一定額を支払う形での利用もできるため、IT運用コストの計画も立てやすくなる。一括購入に比べキャッシュフローが改善しやすく、多くの企業に評価されている。

 もう1つの評価ポイントが、過剰投資の抑止だ。ハードウェアを所有する場合は、導入時に余裕を持ち大きなリソースを購入する必要がある。その後、想定していた使い方にはならなかったりして、利用量の予想が外れることも多い。

 サブスクリプションモデルならば「利用に応じた課金となるため、予備ノードをあらかじめ準備しておき、必要になったら電源をオンにして直ちにそのリソースを使うことも可能です」と佐藤氏は説明する。このような仕組みで無駄なコストを抑制しつつ、必要に応じて柔軟にリソースを利用できるのでビジネスの俊敏性も損なわない。

 フレキシブルな契約が可能な点も、使いやすさにつながる。契約は毎月の自動更新となっており、数年間の利用を前提とした契約ではない。短期間での利用も可能で「使わなくなれば、ハードウェア単位でいつでも返却可能です」と佐藤氏。契約の縛りを極力減らすことで、柔軟で使いやすいサービスとなっている。

 数年間利用したオンプレミスのハードウェアが老朽化すれば、新たなシステムに移行する必要が生じる。移行期間には新旧システムを並行稼働させる必要もあり、その間は二重にコストがかかるのが一般的だ。そこで富士通は、移行時の旧システムのハードウェア利用料を最大1年間無償にしているという。「システム移行に当たってのコスト負担を軽減し、スムーズな移行が実現できます」(佐藤氏)

拡張性の高いストレージ「ETERNUS」もサブスクリプションモデル化

 富士通は、ストレージの「Fujitsu Storage ETERNUS」(以下、ETERNUS)もサブスクリプションモデルで用意している。ETERNUSは、豊富なラインアップをそろえ、顧客ニーズの変化に対応できる拡張性の高いアーキテクチャのストレージ製品だ。

 将来のデータ利用量の予測が難しい中、初期投資は低く抑えたい。ETERNUSであれば拡張性とサブスクリプションモデルの組み合わせで初期投資を抑えつつ、必要なときに柔軟に拡張してコストを最適化できる。特にファイルサーバとして導入する場合、インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー搭載の高い処理性能と信頼性を実現するETERNUS AX/HX seriesを選択し、コスト最適化、過剰投資抑制の観点から、サブスクリプションで導入する形態に注目が集まっている。

 2023年度からは、テープライブラリのETERNUS LT seriesと、データ保護/バックアップソフトウェアの「Veeam」もサブスクリプションモデルに追加している。「これにより、バックアップ対象となるサーバやストレージから、Veeamをインストールしたバックアップサーバ、信頼性を高めるためのもう1つのバックアップ先となるテープライブラリまで、企業内のバックアップ環境全体を統一されたサブスクリプションモデルで利用できます」と佐藤氏。

 システムのバックアップには、米国のCISA(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)傘下のセキュリティ組織US-CERT(United States Computer Emergency Readiness Team)が提唱した「3-2-1ルール」がある。「3つのコピーを作成し、2つの異なる媒体に保存して、1つのコピーはオフサイトに保存する」というルールだ。テープライブラリとVeeamが加わったことで、この3-2-1ルールに沿った安全なバックアップ環境をサブスクリプションモデルで利用できる。

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US-CERTの「3-2-1ルール」に準拠したバックアップ環境をサブスクで利用できる(提供:富士通)《クリックで拡大》

 Veeamは通常、データ量に応じて年単位でライセンスを購入して利用する。年単位での購入のため、データ量が予測より少なければ、過剰投資となってしまう。それを回避するためにスモールスタートも可能だが、途中でデータ量が増えれば追加購入が必要であり、手間がかかってしまう。サブスクリプションモデルなら、1回の契約でデータ量の変動を意識することなく利用できる。

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サブスクリプションモデルならライセンス管理コストの低減にも寄与(提供:富士通)《クリックで拡大》

 複数拠点を展開する組織でETERNUSをサブスクリプションモデルで採用し、過剰投資を大きく抑止した事例もある。他にも、大手製造業ではITインフラのコストを最適化しキャッシュフローを改善したとのことだ。

 「企業のITシステムに対するニーズは多様化し、それに対応するITインフラも複雑化が進んでいきます。必要なITインフラの課題をどう解決したいのかを改めて整理し、最適なITインフラを選択してほしいと思います。富士通では、ハイブリッドITを実現するための本記事でご紹介したETERNUSだけではなく、第4世代 インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載するPRIMERGYの最新モデルM7シリーズをはじめ、システム全体で柔軟な選択肢を用意しています。オンプレミスのITインフラに課題を感じているなら、ぜひ富士通にご相談ください」

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インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー搭載の製品ラインアップ(提供:富士通)《クリックで拡大》

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提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2024年1月10日

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