Rust製コードエディタ「Zed」、オープンソース化を発表:「Atom」や「Tree-sitter」の開発者がチームで開発、GitHub Copilotをサポート
Zed Industriesは、Rust製コードエディタ「Zed」をオープンソース化した。
Zed Industriesは2024年1月24日(米国時間)、コードエディタの「Zed」をオープンソース化したと発表した。ZedのソースコードはGitHubで公開されている。
コンポーネントごとにライセンスが分かれており、エディタがGPL(General Public License)、サーバサイドコンポーネントがAGPL(Affero General Public License)、UIフレームワークの「GPUI」がApache License 2.0となっている。
Zed Industriesは、世界で最も先進的なコードエディタを開発し、数百万人の開発者に届けることを使命に掲げており、最大限の協力を得てこの使命に取り組むために、ユーザーであるプログラマーのコミュニティーにZedを開放したとしている。
Zed Industriesは、エディタの「Atom」や構文解析フレームワークの「Tree-sitter」の開発者を中心とした少人数のチームだ。開発者とそのチームのために世界最高のエディタを作るというビジョンを持ち、より良いコードを書くための前提として以下を挙げている。
- ミッションクリティカルなツールはハイパーレスポンシブであるべき
- リアルタイムコラボレーションがより良いソフトウェアを生み出す
- コードの近くで会話が行われなければならない
- エディタは、邪魔にならないものでなければならない
Zedの特徴
Zedは、こうした前提に基づいて開発されており、以下をはじめとする特徴を持つ。
- パフォーマンスを重視して設計されており、全てのCPUコアとGPUを効率的に活用し、瞬時の起動、ファイル読み込み、レスポンスによって軽快な操作性を提供する
- GitHub Copilotをサポートし、コンテキストを切り替えることなく、AI(人工知能)と対話しながら作業ができる
- 複数の開発者が共有ワークスペース内でコードをナビゲートし、編集でき、リアルタイムの会話ができる。チームで議論や計画作成、プロジェクトの追跡、共有などをできるチャンネルが用意されている
- GPUアクセラレーションを備えたGPUIにより、3DビデオゲームのようにGPU上でウィンドウをラスタライズし、高速で信頼性の高いスムーズな表示を全てのフレームで実現する
- マルチコア時代に対応した設計により、Rustのユニークな機能を利用して、複数のコアにわたって作業を並列化できる
macOSに対応
Zedは現在、macOSしかサポートしていない。最新の安定リリースはZed 0.119.19となっている。Zed Industriesは小規模なチームであるため、費用対効果やメンテナンスのオーバーヘッドを考慮し、対応プラットフォームを絞り込んでいるとしている。
Zedが1つのプラットフォームで成熟し、オープンソース化を経て開発チームの規模が拡大するとともに、他のプラットフォームへの対応も目標に入ってくるだろうとの見通しを示している。
Zedのビジネスモデル
Zed Industriesは、Zedを構築、維持するには、開発の先頭に立つフルタイムのチームに投資を続ける必要があり、そのための最善の方法は、Zedを持続可能なビジネスモデルと結び付けることだと考えている。
Zedはスタンドアロンエディタとして無料で提供し続ける一方、チームやコラボレーション用のオプション機能は、将来的にサブスクリプションでの提供を計画している。オープンソース化と併せて発表した「Zed Channels」という新機能は、こうしたオプション機能の一例だ。
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