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各スプリントの成果を向上させる「適切なスプリントゴール」の作成方法を解説作成に役立つ3つのアプローチ

TechTargetは、「スクラムにおけるスプリントゴールの作り方」に関する記事を公開した。スプリントゴールは、そのスプリントで実現する目標のことだ。本稿では、適切なスプリントゴールの作成方法とその効果について解説する。

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 TechTargetは2024年1月3日(米国時間)、「スクラムにおけるスプリントゴールの作り方」に関する記事を公開した。

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スクラムにおけるスプリントゴールの書き方(提供:TechTarget)

 スクラムに厳密なルールはないが、スクラムチーム(以下、チーム)が必ずしなければならないことがある。それは、スプリントプランニングのイベントが終わる前に、よく練られたスプリントゴールを明確にすることだ。適切なスプリントゴールはスプリントの成果を向上させることができる。

 だが、残念ながら、適切な作成方法を知っているスクラムチームはほとんどないように思える。そこで本稿では、効果的なスプリントゴールの作成方法について解説する。

スプリントゴールの目的

 優れたスプリントゴールは、以下の要素を実現している。

  • クリエイティビティ(創造性)を促進する
  • フォーカス(集中力)を強化する
  • アジリティ(敏しょう性)を高める機会を提供する
  • チームの団結を促す

 新しいスクラムチームにとって「適切なスプリントゴールを作成すること」は常に課題となる。スクラムの経験がない人がスプリントゴールの利点と、チームをやる気にし、推進させる方法を理解することは簡単ではないからだ。しかし、わずかなガイダンスとコーチングを受けるだけで、チームは適切なスプリントゴールの作り方を学べる。そうすればチームは繰り返し成果を出し続けることができるようになるだろう。

スプリントゴールを作成する方法

 適切なスプリントゴールを作成するためには、3つの有効なアプローチがある。

  • 機会(Opportunity)を発見する
  • リスクの高い仮定を特定する
  • 仮説を立てて検証する

 このアプローチを採用することで、チームは顧客中心で、適応力があり、革新的なものになるだろう。それぞれのアプローチを順に説明する。

機会を発見する

 “機会”を発見することは、有意義なスプリントゴールを作成するのに役立つ。

 このアプローチでは「チームが優先して構築すべきもの」を探す。評価、検証された機会に基づき、プロダクトオーナーやUX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナー、エンジニア、その他の主要なメンバーと共同でプロダクトを構築することで、その価値を高められる。注意点としてはプロダクトのバックログにあるものだけでなく、顧客が必要なものを理解することだ。

 あるチームがフィットネスアプリケーション(以下、アプリ)を開発するとしよう。調査したところ、対象ユーザーの間でマインドフルネスとメンタルヘルスに対する関心が同時に高まっていることを発見した。消費者はメンタルヘルスに関する明白なニーズと隠れたニーズの両方に対応するアプリを求めているということをこのチームは見つけられたわけだ。

リスクが高い仮定を特定する

 リスクが高い仮定とは、もし間違っていた場合、プロジェクトが頓挫したり、効果がなくなったりする可能性がある仮定のことだ。問題を引き起こす前にそのような仮定を特定することが、製品のリスクを軽減する最善の方法といえる。

 前述した例でいえば「ユーザーがアプリ内のマインドフルネス機能を利用するだろう」「この機能がユーザー維持にプラスの影響を与えるだろう」などがリスクの高い仮定となる。

仮説を立てて検証する

 “仮説”はスプリントゴールを作成する上での基礎となる、検証可能なステートメントだ。最もリスクの高い仮定に対処し、チームは特定の条件が満たされた場合に何が起きると考えているか(もしくは、そうなると信じているのか)を明確にする必要がある。

 再びフィットネスアプリ開発の例で考えてみよう。例えば「マインドフルネス機能をフィットネスアプリに統合し、ユーザーの30%が定期的に利用した場合、ユーザーリテンションは15%増加する」といった仮説を立てたとする。

 仮説を立てたら、次はいよいよスプリントゴール作成の核心に取り掛かる。仮説を検証する具体的な目標を立てるのだ。

 これらの目標は、仮定を検証するためのデータとインサイト(洞察)を収集するために設計すべきだ。フィットネスアプリ開発で例えるなら「アプリ内でマインドフルネス機能を開発し、今後2週間のユーザーエンゲージメントと保持率を測定する」が適切な目標になる。

 スプリント全体を通してユーザー、利害関係者、チームメンバーから積極的にフィードバックを収集しなければならない。このフィードバックのループは、進行状況を監視し、必要に応じて調整するために不可欠な作業だ。このループによって、包括的な仮説や市場の現実とスプリントゴールが一致していることが保証される。

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アジャイルスクラムのプロセスフローには計画から、毎日のスクラム、レビュー、振り返りまでの繰り返し可能なステップが組み込まれている

適切なスプリントゴールは顧客に焦点を当てている

 ここまで紹介した3つのアプローチは、顧客ニーズに基づいて機会を発見し、変化する市場の状況やユーザーの好みに合わせて柔軟に対応するといった考えに根差している。特に仮説検証とフィードバック収集からは、将来の反復のための貴重な洞察を得られるだろう。

 アジャイルソフトウェア開発においてスプリントゴールの設定は、単にタスクを割り当てるだけではなく、価値を創造し、イノベーションを起こす機会になる。スプリントゴールを設定する他の方法にもメリットはあるが、全体的で適応可能なアプローチは提供していない点に注意が必要だ。

 本稿で紹介した手法によってチームは顧客のニーズと戦略目標の両方に沿った価値を革新し、提供できるようになる。継続的に仮説をテストし、フィードバックを収集するチームは、スプリントゴールを微調整し、競争環境で優位に立つことが可能だ。スプリントゴールの作成は、各スプリントが長期的な成功を達成するための一歩になるだろう。

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