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Microsoft Azureのデータ分析基盤「Microsoft Fabric」にRDBを投入、その正体とは「Microsoft Fabric SQL Database」

Microsoftが年次イベントで、データ分析SaaSの「Microsoft Fabric」におけるリレーショナルデータベースの提供を発表した。これはどのようなもので、どんな利用価値があるのか。MicrosoftのAzure Databases担当コーポレートバイスプレジデントに聞いた。

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 Microsoftは2024年11月19日(米国時間)、年次イベント「Microsoft Ignite 2024」で、データ分析SaaSの「Microsoft Fabric」にリレーショナルデータベース(RDB)を組み込む「Fabric Databases」を発表した。

 なぜMicrosoft Fabricで新たにRDBを発表したのか。このデータベースの実体は何なのか。これについて、MicrosoftのAzure Databases担当コーポレートバイスプレジデントであるシリーシュ・トータ(Shireesh Thota)氏に聞いた。

 Microsoft Fabricは、データの管理から処理、分析までを統合的に行えるサービス。データウェアハウス、データレイク「OneLake」やデータ処理の「Azure Data Factory」、セルフサービスBIツールの「Power BI」など、さまざまなコンポーネントが相互に連携した単一のプラットフォームとなっている。SaaSであり、面倒な設定や構成、運用の作業をすることなく、データ分析のプロセスをエンド・ツー・エンドで行えるというのがコンセプト。

 構造化データは、データウェアハウスやデータレイクで既にカバーしている。今回、Microsoft FabricにRDBを投入した理由について、トータ氏は次のように説明する。

 「リレーショナルデータベースでデータを更新し続けながら、ホットなデータと古いデータを別々にではなく、統合的にクエリしたいユースケースがある。Fabric Databasesでは、データをコピーすることなく、こうした大量データの高速分析ニーズに対応できる」(トータ氏、以下同)

あらゆるデータを統合活用するAIアプリケーションを構築できる

 今回、リレーショナルデータベースへのリアルタイムアクセスを取り込んだことで、Microsoft Fabricは「全てのデータをカバーする」データ分析の統合基盤になったという。

 「AIアプリケーション構築で、あらゆるデータを活用したいという顧客は多い。Microsoft Fabricには、レポート用データについてはPower BIがあり、アナリティクスのためのデータではデータウェアハウスがある。リアルタイムのストリーミングデータが欲しければ、『Azure Event Hubs』やKafkaを用意している。足りなかったのは4つ目の要素、オペレーショナルデータだ。システムで運用中の構造化データへの即時アクセスが、これまで欠けていた」

 今回の発表で、4種類全てのデータを使うAIアプリケーションが構築できる 。コピー作業は不要で、利用体系やガバナンスは統一される。

 「さらに言えば、Microsoft Fabricは統合的な分析基盤という存在すら超えた、統合データ基盤になりつつある。オペレーション、インテリジェンス、データサイエンス、データエンジニアリング、リアルタイム、これら全てが1カ所でできる」

 トータ氏は、新しいデータベースエンジンをMicrosoft Fabricに導入するつもりは全くないと話した。では、Fabric Databasesの実体とは何なのか。今回はまず、「Azure SQL Database」を提供するという(Microsoftは「Microsoft Fabric SQL Database」という名を与えている)。

 これは、既存のAzure SQL DatabaseをMicrosoft Fabricに持ってきただけではない。さまざまな機能を追加したとトータ氏は説明した。

 「サーバレスで容易に立ち上げられ、その後も自律的な運用ができる。オートインデックスやインテリジェントなクエリ処理といった点でも強化を加えた。さらに、ベクトルデータタイプ/ベクトルインデックスなど、AI対応の機能を追加した。ベクトル対応は、どこで動くAzure SQL Databaseにも提供されることになるが、Microsoft Fabricではネイティブに使える」

 では、既存のAzure SQL Databaseユーザーは、Microsoft Fabric上のSQL Databaseをどう考えればいいのか。

 「これまでの利用に満足してくれているなら、既存のSQL Databaseをそのまま使い続けてほしい。こちらにも新機能は次々と拡張されていく。一方で、例えばメッセージング、レポーティング、その他さまざまなデータを統合活用するAIアプリケーションを新たに構築するなら、FabricのSQLが適している。いずれにしても、既存のAzure SQL Databaseが消えてなくなることはない。PaaSとSaaS、双方の形態での提供を続けていくつもりだ。ただし、オンプレミスからIaaS、PaaS、そしてSaaSへというのは自然な流れだ。その意味で、Fabric SQL Databaseはより進化した存在だと言える」

 今回はAzure SQL Databaseを発表したが、今後「Azure Cosmos DB」など、他のデータベースも追加していく方針だと、トータ氏は話している。

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