2024年インターネットトレンド、「ChatGPT」「Starlink」「Log4Shell」の使用状況は? Web開発で人気の言語や技術は? Cloudflare調査:人気サービス、接続、速度、セキュリティなどを網羅
Cloudflareは、インターネットのトレンドやパターンをさまざまな指標で分析した5回目の年次報告書「Cloudflare Radar 2024 Year in Review」を発表した。
CDN(Content Delivery Network)やインターネットセキュリティサービスなどを手掛けるCloudflareは2024年12月9日(米国時間)、Cloudflareのグローバルネットワークで1年を通じて観測されたインターネットのトレンドやパターンをさまざまな指標で分析した5回目の年次報告書「Cloudflare Radar 2024 Year in Review」を発表した。
同報告書は、「トラフィック」「採用状況と使用状況」「接続」「セキュリティ」「電子メールセキュリティ」の5つのセクションに分かれており、情報をインタラクティブに掘り下げられるグラフを多用しながら、分析結果を示している。
Cloudflareは同日、この報告書の概要を解説したブログ記事「Cloudflare 2024 Year in Review」も公開した。以下では、このブログ記事で挙げられた年次報告書のハイライトを紹介する。
2024年、インターネットはこう動いた 年次報告書ハイライト
トラフィック
- 2024年の世界のインターネットトラフィックは17.2%増加した
- インターネットサービスの「一般」カテゴリーでは、「Google」が2023年に続いて最も人気のあるサービスとなった。「ChatGPT」が「生成AI」のカテゴリーで、「Binance」が「暗号通貨サービス」のカテゴリーで、「WhatsApp」が「メッセージング」のカテゴリーで、「Facebook」が「ソーシャルメディア」のカテゴリーで、それぞれ首位を維持した
- SpaceXの「Starlink」の世界トラフィックは2024年に3.3倍に増加し、2023年の増加率を上回った。2023年7月にマラウイでサービスを開始した後、同国からのStarlinkのトラフィックは2024年に38倍に増加した。Starlinkが新たに市場参入した地域では、いずれもトラフィックが急速に増加した
- Googleの検索エンジンクローラーである「Googlebot」は、2024年にCloudflareへのリクエストトラフィックの中で最大量を占めた
- AI botおよびクローラーについて見ると、ByteDanceの「Bytespider」のリクエストトラフィックは2024年に徐々に減少した。Anthropicの「ClaudeBot」のリクエストトラフィックは、2024年4月に継続的なクロール活動の兆候を示し始め、5月と6月に最初のピークに達した後に減少した
- TLS 1.3トラフィックの13.0%がポスト量子暗号を使用していた
採用状況と使用状況
- 世界全体では、モバイルデバイスのトラフィックの約3分の1がAppleのiOSデバイスによるものだった。Androidは29の国/地域でモバイルデバイストラフィックの90%以上を占め、iOSがモバイルデバイストラフィックに占める割合は最大でも65%台にとどまった。iOSの割合が60%台の国/地域は8つあった
- 世界全体では、Webリクエストの約半数がHTTP/2を使用し、20.5%がHTTP/3を使用していた。両バージョンの使用率は2023年からわずかに増加した
- アクセスの多いWebサイトで2024年に最もよく使われていた技術を分野別に見ると、JavaScriptフレームワークでは「React」、プログラミング技術では「PHP」、JavaScriptライブラリでは「jQuery」、マーケティング自動化では「HubSpot」、Webアナリティクスでは「Google Analytics」、CMS(コンテンツ管理システム)では「WordPress」、Webフレームワークでは「Next.js」だった
- 自動でAPIをリクエストするクライアントの開発に最もよく使われていた言語は「Go」で、2位が「Node.js」となり、2023年から順位が逆転した
- 「Google」は、全てのプラットフォームで世界的に圧倒的な人気を持つ検索エンジンだ。2番目に人気のある検索エンジンは、モバイルデバイスおよびOSでは「Baidu」、デスクトップおよびWindowsデバイスでは「Bing」、macOSでは「DuckDuckGo」だが、いずれもGoogleに大差をつけられている。シェアはプラットフォームや国/地域によってばらつきがある
- ブラウザ全体では、「Google Chrome」の人気が圧倒的で、macOSデバイスでも同様だが、iOSデバイスでは「Safari」の使用率がChromeを大きく上回っている。Windowsでは「Microsoft Edge」が2番目に人気があり、これはプリインストールされ、初期設定でデフォルトブラウザになっているからだ
接続
- 2024年には、世界で225件の大規模なインターネット障害が観測された。その多くは、政府の指示による地域や国レベルでのインターネット接続の遮断に起因していた。ケーブルの切断や停電による障害も多かった
- 2024年全体では、IPv6対応のリクエストのうちIPv6経由で送信されたものは、28.5%にとどまった。だが、インドとマレーシアでは、この割合がそれぞれ68.9%、59.6%に達した
- 国/地域別のインターネット品質を4つの指標(ダウンロード速度、アップロード速度、アイドルレイテンシ、ロードレイテンシ)で測定したところ、平均ダウンロード速度の上位10カ国は、いずれも200Mbpsを上回った。スペインがダウンロード速度、アップロード速度で首位、ロードレイテンシで2位を占めた
- 世界のトラフィックの41.3%がモバイルデバイスからのもので、デスクトップからのトラフィックが58.7%だった。100近くの国/地域では、モバイルデバイスからのトラフィックの方が多かった
- TCP接続の20.7%は、有用なデータが交換される前に突然停止された
セキュリティ
- 2024年には、世界のトラフィックの6.5%がCloudflareのシステムによって、有害な可能性があるとして、あるいは顧客が定義した理由から、軽減された(ここでの「軽減された」は、「終了」アクションが適用されたことを指す)。米国では軽減されたトラフィックの割合が5.1%に増加したが、韓国では8.1%にわずかに減少した。44の国/地域で、トラフィックの10%以上が軽減された
- 世界のbotトラフィックの3分の1以上が米国で発生した。12.7%がAmazon Web Services(AWS)、7.8%がGoogleから送信された
- 世界全体で最もサイバー攻撃を受けた業種はギャンブル/ゲームだった。2023年に最も攻撃を受けた金融がわずかな差でこれに続いた
- 2021年に発見された「Apache Log4j」に関する脆弱(ぜいじゃく)性、通称「Log4Shell」が根強い脅威となっている。2024年を通してこれを狙ったサイバー攻撃が活発に展開された
- ルーティングセキュリティ(RPKI《リソース公開鍵インフラ》の有効なルートの割合と、カバーされたIPアドレス空間の割合として測定される)が、2024年も引き続き世界的に改善した。RPKIの有効ルートが6.4%、有効IPv4アドレス空間が4.7%増加した
電子メールセキュリティ
- 2024年には電子メールの平均4.3%が悪意ありと分類された。この数値は、3月、4月、5月にこうしたメールの急増が観測された影響を受けている可能性がある。悪意ある電子メールメッセージで最も多く見られた脅威のタイプは、偽装リンクとなりすましだった
- .bar、.rest、.unoのトップレベルドメイン(TLD)から送信され、Cloudflare Email Securityが処理したメールメッセージの99%以上が、迷惑メールまたは悪意あるメールと判断された
調査方法
Cloudflare Radar 2024 Year in Reviewのデータは、世界のインターネットのトレンドや洞察を誰でも無料で閲覧できる「Cloudflare Radar」の観測に基づいている。
Cloudflare Radarは、120を超える国/地域の330以上の都市に広がるCloudflareのグローバルネットワークで生成されたデータを、Cloudflareの補完的ツールから得られるデータと組み合わせることで、インターネット全体のパターンやトレンドを独自にほぼリアルタイムに可視化している。
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