Google Cloudの新AIエージェントツール、Google Agentspaceとは
Google Cloudが発表したAIエージェントツール「Google Agentspace」は、「NotebookLM」を拡張したもの。社内の情報を活用した日常作業を自動化できるという。具体的にはどういうものなのか。
Google Cloudは2024年12月15日(米国時間)、AIエージェント関連で「Google Agentspace」(以下、Agentspace)を発表した。早期アクセスの提供が開始となっている。これについて、グーグル・クラウド・ジャパンの説明を踏まえてまとめてみた。
Agentspaceは、企業内個人が生成AI、AIエージェントを活用できるキャンバス、あるいは作業スペースのような存在。社内の情報を活用した面倒な作業を、生成AIに任せて省力化することができるという。
Google Cloudの発表ブログポストは、次のように表現している。
「Google Agentspaceは、プランニング、調査、コンテンツ生成、アクションを必要とする、複雑なタスクの実行を、1つのプロンプトだけで助けられる。これにより、従業員は高い生産性を発揮できる」
だが、AgentspceについてのGoogle Cloudの説明は、社内情報の高度な検索を強調しているため、「社内情報に対応したAIチャットbotに留まり、AIエージェントとは呼べないのではないか」という印象も受ける。実際のところ、どうなのだろうか。
Google AgentspaceはNotebookLMを拡張したもの
Googe Cloudにおける企業内個人向けの生成AI機能といえば「Gemini for Google Workspace」もあるが、Agentspaceはこれとは別のサービス。Google Workspaceを導入しているかいないかにかかわらず、導入できる。
新ツールは、Googleが提供する「NotebookLM」を拡張したものだ。
NotebookLMは、「自分だけのAIチャットBotを作れる」情報整理ツール。ユーザーがドキュメントファイルやURLを渡すと、これらを横断的に検索し、要約や質問への回答ができる。回答には引用元が含まれ、ユーザー自身が確認できるようになっている。
Agentspaceはこれと同一のインタフェースで、社内情報の検索や利用ができる。その上で、AIエージェントについても活用が可能。データについては、社内情報へのアクセスが自動的に設定されるので、必ずしもユーザーがアップロードする必要はない。検索するだけで、適切な情報が自動的に引き出され、作業に生かせる。
情報ソースとしては、企業でよく使われている各種サービスをカバーしているようだ。対応サービスとして「Confluence」「Salesforce」「Box」「Jira」「GitHub」、そしてMicrosoftの「Microsoft Outlook」「Microsoft SharePoint」のロゴがリストされている。Google Cloudのサービスでは「Google Drive」「Gmail」しか見えないが、日本法人によると、例えば「Google BigQuery」にも対応するという。
Agentspaceでは、上記のような各種データソースへの接続により、仮想的な統一データ基盤が作れる。ユーザー単位で、アクセス権限がある情報のグラフインデックスが自動的に作成されることになる。ユーザー企業の管理者は、インデックスする情報の範囲などを制御できるという。
ユーザーはこれを社内情報AIチャットbotとして使い、特定のトピックに関する社内情報を調べたり、要約したりすることができる。
便利だが、これだけだと「AIエージェント」という言葉には結び付かない。どんな自動化が可能なのか。
このデモ動画では、生成AIと対話しながら、広報担当者が新製品発表のプレスリリースを作成するプロセスを示している。
ユーザーが過去の自社ハードウェア製品発表のプレスリリースやブランドガイドラインを検索し、使いたい情報をコンテキストとして設定。その上で「ウォーターボトル新製品『HydroCoupler』のプレスリリースのドラフトを作れ」とプロンプトする。
ここでAIエージェントが起動する。
Agentspace上のエージェントは、すぐにプレスリリースを作るのではなく、このためにどんなことを調べるかを提案し、次に社内およびインターネット上の情報を収集する。そして構成を決め、ガイドラインに従ってプレスリリースを作成する。
こうした複数ステップの処理を、AIエージェントが自動的に行っている。デモでは完全に自動化しているが、ユーザーが各ステップで介在できるようになるはずだ。
その後は担当者が引き続きAgentspace上で、プレスリリースの音声サマリーや添付する製品画像の編集・作成、ショート動画の作成までを実行できるというシナリオになっている。
デフォルトでどんなAIエージェント機能が使えるのかは分からない。また、Agentspaceにはユーザーが自らAIエージェントを作れる機能はないようだ。
Google Cloudには、ローコード/ノーコードで生成AIエージェントが作成できる、「Vertex AI Agent Builder」というツールがある。Agentspaceでは今後、Vertex AI Agent Builderで構築したエージェントを使えるようになるという。
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