AI活用の担当者が「MCP」に感じる不安とは クラウドエース調査:ほとんどの企業が「標準規格の必要性」は感じているが……
クラウドエースは、MCPに関する意識調査の結果を発表した。AIの単体利用から、AIとシステムの連携にかじを切る動きがある中、AI活用の担当者はMCPのどんな部分に課題を感じているのか。
クラウドエースは2025年8月5日、MCP(Model Context Protocol)に関する意識調査を公表した。AI(人工知能)と業務システムを連携させて利用中(もしくは利用検討中)の企業に所属する、情報システム部門、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進部門、AI活用推進部門の担当者を対象に実施したもので、110人から有効回答を得た。
94.6%が「標準規格の必要性を強く感じる」
AI連携の効率化と安全性を両立できることが、MCPを導入するメリットだが、調査結果からは、MCPの普及や導入に対する慎重な見方があることが分かった。
そもそもの課題として、AIと業務システムを連携させることについて懸念を持っている企業は多く、調査対象のうち、37.3%が「非常に感じる」、51.8%が「やや感じる」と回答した。具体的な課題(懸念)について聞くと、「セキュリティやガバナンスに不安があるから」(60.2%、複数回答、以下同)、「AIツールやシステムの提供企業ごとの独自仕様によるロックインが発生するから」(51.0%)、「ツールやシステムごとの仕様が異なり統合が難しいから」(37.8%)などが上位に並んだ。
ここで挙がった「ベンダーロックイン」や「ツールやシステムごとの仕様の違い」といった課題についてはMCPのような標準規格が重要な役割を果たす。
調査結果でもほとんどの回答者が標準規格の必要性を実感しており、94.6%が「標準規格の必要性を強く感じる」(「非常に強く感じる」が36.4%、「強く感じる」が58.2%)と回答している。回答者にその理由を尋ねたところ「複数AIの柔軟な組み合わせによる高度な業務自動化が実現できるから」(59.6%)、「セキュリティやガバナンスの強化ができるから」(45.2%)、「ベンダーロックインからの脱却ができるから」(45.2%)などの回答が多かった。
一方で、MCPの導入や普及に対しては懸念の声も上がっている。MCPの導入や普及に際して不安に感じる点を尋ねたところ、「セキュリティ管理が難しそう」が最も多く、52.7%。次いで「専門知識がないと使いこなせなさそう」(41.8%)、「技術人材の確保や育成が難しい」(39.1%)などが続いた。他には、プロトコルや仕様の理解の難しさ、MCP対応製品やツールの少なさ、導入工数や初期コストの負担を不安視する回答もあった。
これについてクラウドエースは、「AI連携の効率化と安全性を両立するためには、統一された規格の普及だけでなく、導入を支援する環境整備が不可欠だ。特に、実践的な開発ツールの提供や成功事例の共有、専門的なサポート体制の構築など、企業が安心してAI連携を推進できる基盤作りが求められている」と述べている。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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