Google Cloudの初期構築を自動化する「Cloud Setup」 Googleが提供開始:ウィザード形式で選択するだけで初期構築完了
Googleは2025年8月2日、クラウド環境の初期構築を自動化する新機能「Google Cloud Setup」を発表した。プロジェクト作成からセキュリティ設定までをガイド付きで進められるため、開発者や運用担当者の導入負担を大幅に軽減するという。
Googleは2025年8月2日(米国時間)、同社の公式ブログにて新機能「Google Cloud Setup」を発表した。これは「Google Cloud」を使い始める際に必要となるプロジェクトやネットワーク、セキュリティ、監視などの初期設定を自動化するサービスだ。
IAM設定やファイアウォールルール作成などの設定が容易に
Google Cloud SetupはGoogle Cloudが推奨するベストプラクティスに基づいて設計されており、利用者がウィザード形式で選択していくだけでGoogle Cloudの初期構築を完了できる。設定できる内容には「IAM(Identity and Access Management)の設定」「組織ポリシーの適用」「VPC(Virtual Private Cloud)ネットワークやファイアウォールルールの作成」「Cloud Monitoringの有効化」などが含まれる。これによって「セキュリティやガバナンスを確保しつつ、手作業による設定漏れや不整合を防げる」とGoogleは説明している。
初期構築の範囲やレベルが異なる3つの構築フロー(セットアップフロー)が選択可能になっている。それぞれの特徴は以下の通り。
Proof-of-concept
軽量環境を手早く構築し、Google Cloudの探索や初期テスト、サンドボックス用途に適した最小限の設定。
Production
本番運用を見据えたセキュリティとスケーラビリティ重視の基盤設計。基本的なプロダクションインフラ設定を行う管理者向け。
Enhanced security
セキュリティやコンプライアンスの高い要求に対応するための設定。高度なセキュリティコントロールを盛り込んでいる。
これらのフローでは、前述した基本的な設定の他、必要に応じて「Cloud KMS AutoKey」(顧客管理暗号鍵の自動プロビジョニング)や「Security Command Center」(セキュリティ状況の集中管理と脆弱<ぜいじゃく>性スキャン)といったGoogle Cloudの機能が導入される。
同社によると、従来はクラウド環境の初期構築に数時間から数日を要するケースが多かったが、Google Cloud Setupを利用すれば数分で主要な設定を完了できるという。さらに「Terraform」などのインフラ自動化ツールとも連携可能なため、構築後の運用効率化につなげることもできる。
Googleは「多くの企業がクラウド導入に際して、何から始めればよいか迷う場面があったが、Google Cloud Setupは、そうした初期段階の不安を解消し、セキュリティと効率を両立する最適なスタートを提供する」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
日本のプロ野球もデータで楽しむ時代に NPBがホークアイとGoogle Cloudで構築したシステムの仕組みは?
日本のプロ野球で、ホークアイのデータを活用した基盤システムの運用が始まっている。プロ野球の新たな楽しみ方を開拓していくという。これはどのような仕組みなのだろうか。AIエージェント元年に考える、これからのITインフラやシステム戦略とは――調査から読み解く3つのAIエージェント活用フェーズと、欠かせない「仕組み」
Clouderaが実施した調査によるとグローバルで57%、日本でも43%の企業が過去2年以内にAIエージェントの導入を開始しており、2025年はまさに「AIエージェント元年」と呼べる年になります。ユーザーの意図を理解し自律的に推論、行動するAIエージェントは、既存のワークフローを再定義し、ITインフラやシステム戦略の抜本的な見直しを迫るものとなるでしょう。本稿では、AIエージェント導入のステップを3つのフェーズに分けて解説するとともに、導入を成功に導くためのインフラ、セキュリティ、データガバナンスの在り方を考えます。Googleが自律型コーディングエージェント「Jules」のパブリックβ版を公開
Googleは、非同期型のエージェント型コーディングアシスタント「Jules」のパブリックβ版を公開した。既存のリポジトリと直接連携でき、プロジェクトのコンテキストを理解した上での修正提案が可能だという。