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コーディングAIをもっと使いやすく、新標準「AGENTS.md」公開:いわばコーディングエージェント用の「README」Deep Insider Brief ― 技術の“今”にひと言コメント

コーディングエージェント用の新標準ファイル「AGENTS.md」の公式サイトが公開された。人間用の説明書「README.md」に相当するAI向けの指示書で、既に複数の開発ツールが対応を進めている。

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連載目次

 2025年8月20日、コーディングエージェント(=人間の代わりにプログラムを書いたり修正したりするAI)向けの新しい標準フォーマットの公式サイト「AGENTS.md」(https://agents.md/)が公開された。

AGENTS.md公式サイト(スクリーンキャプチャして引用)
AGENTS.md公式サイト(スクリーンキャプチャして引用)

 「AGENTS.md」ファイルは、ソースコードのリポジトリ内に配置する、AIエージェント向けの指示書のようなものだ。人間向けの説明書である「README.md」ファイルのように、AIに対してプロジェクトの全体像、重要なファイル、そして具体的な作業内容を伝える役割を果たす。

 これまで、AIエージェントへの指示を記述するファイル名はツールや開発者ごとに異なり、「.prompt」「instructions.md」「AGENT.md」などさまざまな名称が使われ、標準フォーマットは存在しなかった。「AGENTS.md」は、これらを標準化することを目指す。

乱立する「AIへの指示ファイル名」(左側:.mdファイル)と「MCP(Model Context Protocol)関連の設定ファイル」(右側:.jsonファイル)の例(Xポストから引用)
乱立する「AIへの指示ファイル名」(左側:.mdファイル)と「MCP(Model Context Protocol)関連の設定ファイル」(右側:.jsonファイル)の例(Xでの@shadcn氏のポストから引用)
左側の「RULES」では、instructions.md.rulesAGENT.mdCLAUDE.mdなど多種多様なファイルが乱立している。
一方、右側の「MCP」では、mcp.jsonconfig.tomlなど、ツールごとにバラバラに管理されている。
AGENTS.mdはこうした分断を解消し、シンプルかつ共通化された記述形式を提供することを目的とする(対象は左側のAIへの指示ファイルのみで、右側のMCP設定は含まれない)。

 この取り組みは、オープンソースコミュニティのプロジェクトとしてOpenAI CodexチームとAmp、Cursor、Jules、Factory、RooCodeなどによって共同で進められており、ファイル名は「AGENTS.md」という中立的な名称が採用された。既にOpenAI CodexやGoogleのJulesなど、複数のAIエージェントツールがAGENTS.mdをサポートしており、今後“事実上の標準”となっていく可能性が高いだろう。


一色政彦

 Deep Insider編集長の一色です。こんにちは。指示ファイルや設定ファイルの名前がバラバラだと、数カ月ごとに状況が大きく変わる「AIコーディングエージェント」や「AI開発ツール」を切り替えたいときに、都度、ファイル名を変更しなければならず不便ですよね。標準化の動きは開発者にとって歓迎すべきものであり、ぜひ普及してほしいと思います。


 最後に、AGENTS.mdファイルの内容例を参考までに示しておこう。

AGENTS.mdファイルの例(公式サイトより)

 以下は公式サイトの「Examples」セクションを日本語に翻訳して引用したものである。最初にGeminiにより機械翻訳したものをベースとしているが、読みやすさを考慮して一部表現を調整している。

# AGENTS.mdファイルのサンプル

## 開発環境のヒント
- `ls`コマンドでフォルダを探す代わりに、`pnpm dlx turbo run where <プロジェクト名>`を使って対象パッケージへ移動してください。
- Vite、ESLint、TypeScriptがパッケージを認識できるように、`pnpm install --filter <プロジェクト名>`を実行してワークスペースに追加してください。
- TypeScriptの型チェックが有効な新しいReact + Viteパッケージを立ち上げるには、`pnpm create vite@latest <プロジェクト名> -- --template react-ts`を使用してください。
- 正しい名前を確認するために、各パッケージ内にある`package.json`(プロジェクトの設定ファイル)のnameフィールドを確認してください。トップレベルにあるものは除きます。

## テストの手順
- `.github/workflows`フォルダ内でCI(継続的インテグレーション)の計画を見つけてください。
- そのパッケージに定義されている全てのチェックを実行するには、`pnpm turbo run test --filter <プロジェクト名>`を実行してください。
- パッケージのルートディレクトリからは、単に`pnpm test`と呼び出すことができます。マージ(変更の統合)する前に、コミット(変更の保存)は全てのテストに合格する必要があります。
- 一つのステップに集中したい場合は、`pnpm vitest run -t "<テスト名>"`のようにVitestのパターンを追加してください。
- テストスイート全体がグリーン(成功状態)になるまで、全てのテストエラーや型エラーを修正してください。
- ファイルを移動したり、インポート文を変更した後は、`pnpm lint --filter <プロジェクト名>`を実行し、ESLintとTypeScriptのルールに違反していないことを確認してください。
- 誰かに頼まれなくても、変更したコードに対応するテストを追加または更新してください。

## PR(プルリクエスト)の手順
- タイトルのフォーマット: `[<プロジェクト名>] <タイトル>`
- コミットする前には、必ず`pnpm lint`と`pnpm test`を実行してください。


AGENTS.mdファイルの例(公式サイトより日本語に翻訳して引用)

 このように、プロジェクト固有のルールを明記することで、AIエージェントは人間の開発者と同じ手順やルールに沿って作業を進められるようになる。


 より詳しくは、下記の情報元を参照してほしい。

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