「理論上のデータ速度は変わらない」 Wi-Fi 8はWi-Fi 7と比べて何が変わるのか?:ASUSがパフォーマンス比較テストを公表
ASUSは、「Wi-Fi 8」に対応するコンセプトルーター「ROG NeoCore」を発表した。Wi-Fi 7とWi-Fi 8のパフォーマンス比較テストも公表している。
PC・周辺機器メーカーのASUSTeK Computer(以下、ASUS)は2026年1月6日(台湾時間)、次世代規格「Wi-Fi 8」に対応するコンセプトルーター「ROG NeoCore」を発表し、実環境での「Wi-Fi 7」とWi-Fi 8のパフォーマンス比較テストの結果も公表した。
今回のテストは、Wi-Fi 8技術がコンセプト段階から実用化へと移行する新たな時代の幕開けを示すものだという。
Wi-Fi 7とWi-Fi 8のパフォーマンス比較テスト
同社によるWi-Fi 7とWi-Fi 8のパフォーマンス比較テストによると、「理論上のデータ速度は変わらない」ものの、実環境におけるスループットは大幅に向上することが確認されたという。Wi-Fi 7と比較したWi-Fi 8の主な性能向上は、以下の通り。
- 中距離スループット:最大2倍に向上
- IoTカバレッジ:2倍に拡大
- P99レイテンシ(全体の99%のリクエストが完了するまでの時間):最大6倍低減(インテリジェントなマルチAP〈Access Point〉/マルチクライアント運用による)
Wi-Fi 8ルーターが解決する4つの接続課題
同社によると、Wi-Fi 8は「単なる速度のアップグレードにとどまらず、接続の安定性と応答性を根本的に変革する」という。Wi-Fi 8ルーターは、以下の4つの主要な接続課題を解決するために設計されている。
- 速度低下の抑制と接続の安定化
ルーターの設置場所がリビングや屋上、裏庭でもスムーズなパフォーマンスを確保する - 低電力デバイスとの双方向通信の強化
スマートライトやコントローラーなどのIoT(モノのインターネット)デバイスに対して安定した接続を提供する - 干渉環境下でのパフォーマンス維持
集合住宅などルーターが密集する環境において、「インテリジェントなスペクトル調整」によって安定した性能を維持する - ネットワーク混雑の解消
スペクトル効率の向上と動的スケジューリングにより、帯域幅を効果的に活用してレイテンシと全体のスループット(データ転送速度)を改善する
ASUSのテンロン・デン氏(バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャー)は、「Wi-Fi 8は単にピーク速度を追求するものではなく、あらゆる接続をよりスマートで信頼性が高いものにすることを目指している」と述べている。スマートホームやAI(人工知能)アシスタント、クラウドサービス間のシームレスな連携を可能にし、いつでもどこでも安定したパフォーマンスを提供するという。
ASUSのWi-Fi 8ルーターは、クラウドストリーミングやリアルタイムの音声通信、マルチデバイスでのチームプレイといったシナリオでWi-Fi 8の可能性を最大限に引き出すことを目指して設計された。新しいアーキテクチャとインテリジェントなスケジューリングにより、「ゼロに近いレイテンシの応答性と信頼性を実現する」としている。
ASUS Networking部門は、Wi-Fi 8に対応するホームルーターおよびメッシュシステムの最初のラインアップを2026年にリリースする計画だ。独自の「AiMesh」(複数のルーターを連携させて広範囲をカバーするメッシュWi-Fi技術)と「ASUS AI Network Engine」を搭載し、「AI時代に向けた新しいワイヤレス体験の提供」を目指す。
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