ネットワークのブラックボックス化が招く致命的な被害とは 有線・無線を一括制御して、トラブル復旧を速める秘策:セキュリティとネットワーク運用を融合させ、障害対応の属人化を打破する
物理的な配線状況さえ把握できていない「見えないネットワーク」は、トラブル発生時の業務停止を長期化させるだけでなく、セキュリティ侵害時の致命的なリスクとなる。リソースが限られる中堅・中小企業にとって、属人的なスキルに頼った復旧作業はもはや限界だ。UTMを核として拠点全体を可視化する方法と、トラブルの原因特定をAIアシスタントとの対話で「ものの数分」に短縮する運用手法を紹介する。
かつて企業のネットワークは数台のサーバ、PC、ネットワークスイッチをイーサネットで接続するところから始まった。接続範囲は次第に拡大して複数拠点を結ぶようになり、オフィス内には無線LANが普及して、バックボーンの大容量化も進んだ。並行してネットワーク機器の機能は高度化し、サイバーセキュリティの脅威増大に伴ってセキュリティ対策製品も逐次実装するようになった。
こうした発展を経て、今は高速で安定した通信が「不可欠なインフラ」となった。しかし複数ベンダーの機器を場当たり的に導入した結果、管理ツールも複数を併用することになり、ネットワークは継ぎはぎ状態で複雑化している。これでは接続機器とデバイスの総数や設定状況を正確に把握しにくい。見通しのきかなくなったネットワークには、どのようなリスクがあるのか。
継ぎはぎ構成の運用限界 「ベストオブブリード」は正解とは限らない
継ぎはぎのネットワークでも、問題なく動いているうちはいい。だが障害が起こると、運用を担うIT担当者は接続関係の再確認を強いられる。
「『つながりにくい』『Web会議が遅い』などの申告があるたびに、ネットワーク構成図と現状の差を特定して、影響範囲を調査する工程が発生します。原因の特定から復旧までに数時間、場合によっては1日を費やすこともあります」と、フォーティネットジャパンの能見元英氏は指摘する。ましてやランサムウェア(身代金要求型マルウェア)などのセキュリティ侵害が発生すると、原因特定と対処の遅れが致命的な被害をもたらしかねない。
社内LAN導入から20〜30年が経過した企業の場合、当初は設計通りの構成だったとしても、業務上の必要から機器追加や設定変更を繰り返すうちに構成図の更新に抜け漏れが生じる例は多いという。「IT担当者の交代時に詳細な設定情報が引き継がれず、物理的な配線状況さえブラックボックス化している現場もあります。構成の不透明さは、トラブル発生時の業務停止時間を長期化させる要因です」と、同社の井上祥二氏は考察する。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進展するほど通信の停止は直接的な機会損失を招いて、ネットワーク構成の複雑化は運用コスト増大に直結する。IT予算や人材の不足が深刻な中堅・中小企業では、管理対象を単一のベンダー製品に集約してネットワーク構成を簡素化する手法が再評価されている。
「以前は機能ごとに最適な製品を選択する『ベストオブブリード』が主流であり、複数ベンダー製品の混在は一般的でした。しかし今は、その複雑さが運用限界を招いています」と能見氏は語る。1人または少人数のチームでインフラを管理するIT担当者にとって、バラバラの管理画面を行き来することは、技術的な負荷以上に精神的なプレッシャーになっている。能見氏はこう付け加える。「前任者から引き継いだ不明瞭な構成図しかない状況で、トラブルのたびに休日を犠牲にするIT担当者の負担は計り知れません。私たちは技術によってこうした『見えない苦労』を解消したいと考えています」
FortiGateを「脳」にして一元管理 セキュアネットワーキングが導く可視化
フォーティネットは、UTM(統合脅威管理)アプライアンス「FortiGate」をネットワーク全体の制御を担う「脳」と位置付け、有線LANと無線LANを統合管理する「セキュアネットワーキング」のアプローチを提案する。これは従来の「ネットワークを構築した後にセキュリティを付加する」という継ぎはぎの作り方から脱却して設計段階から融合させることで、通信全体をFortiGateで一元的に制御する概念だ。「FortiGateを中核に据えることで、ネットワーク構成を簡素化して運用負荷を抑制しつつ、一貫したセキュリティレベルを維持できます」と井上氏は話す。
セキュアネットワーキングを具体化する製品群が、FortiGateにLANスイッチ「FortiSwitch」と無線アクセスポイント「FortiAP」を連携させる「LAN Edgeソリューション」だ。FortiGateをネットワークの結節点とすることで、管理画面上は接続端末のOS種別(iOS、Windows、Linuxなど)や、ネットワークスイッチの何番ポートに物理接続されているかもリアルタイムで特定可能になる。こうすれば構成図を手作業で更新しなくても、ネットワークの現況を正確に把握できる。
この一環として、LAN Edgeソリューションを拠点単位で展開して本社から一括管理する「セキュア SD-Branch」という設計も選択できる。多くの拠点を抱える企業では、IoTデバイスやクラウドサービス利用の急増によって、WANだけでなく拠点内のアクセスエッジ管理が複雑化している。セキュア SD-Branchを採用すれば、FortiGateがセキュリティ、SD-WAN、有線LANと無線LANの全てを統制するハブとして機能する。これによって各拠点に専門のIT担当者がいなくても、本社から一貫したセキュリティポリシーを適用して、管理負荷を軽減できるのがメリットだ。
このアーキテクチャではFortiGateがネットワーク全体の異常を検知するセンサーの役割も兼ねる。管理の目が届きにくいIoTデバイスの接続を検知したり、その挙動から異常を把握したりできる。「FortiOS」の標準機能としてこれらの統合管理を実現できるため、専用のコントローラーやライセンスの追加購入が不要な点も、リソースの限られた企業にとっては現実的な選択肢となるだろう。
セキュリティ対策でもLANとの連携は実効性を高める。FortiOSに組み込まれたNAC(検疫ネットワーク)機能を活用すれば、感染が疑われる端末の通信を遮断するだけでなく、該当端末の通信を仮想LAN(VLAN)の隔離環境に自動で移動させたり、ネットワークスイッチのポートを閉鎖したりして被害の横展開を抑制できる。これらの対処は、普段から利用しているFortiGateの画面で実行できるため、障害の切り分けから封じ込めまでの工程が短縮されるのがポイントだ。
IT予算や要員の制約から一括のリプレースは難しいものだが、FortiGateを導入済みの企業ならば段階的な移行が可能だ。「機器更新の周期に合わせてネットワークスイッチを順次入れ替える、あるいは重要なサーバ群が属するセグメントから優先的に適用するといった展開をお勧めしています」と能見氏は話す。
新設したFortiSwitchやFortiAPはLANに接続するだけで、FortiGateから設定情報やVLAN情報が自動的に配信される。これは複数の機器で構成したLAN Edgeソリューション全体を、論理的に1つのネットワークとして扱えるようにする「FortiLink」技術によるものだ。技術者の派遣コスト抑制に寄与するゼロタッチプロビジョニングのメリットは大きい。
IT担当者を障害対応から解放 AIが支援する「止まらないインフラ」
この先ますます生成AI技術が普及すれば、エッジを中心にトラフィックは増加して、今まで以上にネットワークの安定運用を要求される。こうした将来像を見据えても、ネットワーク全体を可視化してトラブル対処の質と速度を上げるセキュアネットワーキングの役割は高まると考えられる。
LAN EdgeソリューションによってFortiGateにネットワークの情報を集約してAIで分析することで、トラブルシューティングはより容易になる。AI技術を使ってネットワーク運用の自動化を支援する製品の一つが「FortiAIOps」だ。定常時の通信パターンを学習してベースラインを策定し、そこから逸脱した挙動を異常として検知する。生成AIを活用した「FortiAI」を組み合わせれば、最適な設定や構成に関するアドバイスを参照する、脅威情報を分析して制御する、といった予防的な運用も可能になる。「従来はエンジニアが数時間を費やしてログを解析していたトラブルでも、AIアシスタントに質問すると、ものの数分で原因と推奨対策を特定できます。これによって個人のスキルに依存しない迅速な対応が可能になるだけでなく、経営層やエンドユーザーに客観的なデータに基づいた説明ができ、説明責任を果たせるようになります」と井上氏は述べる。
ネットワークは、オフィス業務だけでなく、工場の制御や流通など幅広くビジネスを支えている。これらのAI技術による運用自動化は、IT担当者を日々の障害対応から解放して、DX推進などの戦略的な業務にリソースを投入する変革の土台になるだろう。
「ネットワークは水道や電気と同じように当たり前の存在となっている一方で、その安定性と安全性を維持する側は多くの労力と時間を費やしています。私たちの技術でIT担当者の負担を少しでも軽くすると同時に、『止まらないネットワーク』を実現して企業の創造的な時間を守ることに貢献したいと考えています」(井上氏)
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2026年6月19日






