「サーバ調達に数カ月」からどう脱却? ナブテスコが実現した“待たないITインフラ”とは:利用していたDCサービスの終了が刷新のきっかけに
サーバの増強に時間がかかり、新技術の導入も容易ではなかったナブテスコ。DCサービスの終了を機にITインフラの刷新を決断した同社は、サーバ調達の迅速化と運用負荷の軽減を実現したという。どう進めたのか。
ナブテスコは、中大型産業用ロボット向けの精密減速機で知られる制御機器メーカーだ。同社はSAPのERP(統合業務)パッケージ「SAP R/3」など、全社の基幹業務を支えるシステムを、10年以上にわたってデータセンター(以下、DC)のサービスで運用してきた。
利用していたDCサービスの仕様や制約により、コンピューティングリソースやネットワークを必要に応じて増強しづらく、サーバの調達に数カ月を要することもあった。新しい技術を導入する際も、必要なITインフラを用意するまでに多大な時間とコストがかかっていたという。
数カ月待ちから脱却する“待たないITインフラ”、どう実現?
そうした中、利用していたDCサービスの提供が終了することになり、ナブテスコはシステムの移行先となるITインフラを新たに用意する必要に迫られた。新しいITインフラに移行した結果、サーバ調達にかかる時間の短縮や運用・保守の工数削減といった成果が現れているという。どう実現したのか。
ナブテスコは、従来のDCサービスで稼働させていた約280台のサーバのうち、「Windows Server」搭載サーバをMicrosoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」に、物理サーバを国内DCに移行した。2022年後半に要件定義を始め、2024年12月に新しいITインフラへの移行を完了させた。
東日本に置いた本番サイトとは別に、災害時に備えた災害対策用サイト(以下、災対サイト)を西日本に用意した。システムの優先度に応じて、一部のシステムでは災対サイトをアクティブ化(平常時から稼働状態にすること)して可用性を高めた。新たなITインフラのバックアップには、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)の被害リスクを減らす対策を実装した。
運用体制も再整備し、新たなITインフラの常駐/リモート運用業務や、インターネットゲートウェイ(社内ネットワークとインターネットの接続口)の運用業務、ヘルプデスク業務、リモート監視業務を、コベルコシステムに委託することにした。これまで複数のベンダーに依頼していた運用・保守の依頼先を1社に集約した形だ。
ナブテスコはITインフラの刷新に際して、4社にRFP(提案依頼書)を提示し、各社の提案を比較した。要件の充足度やコスト、提案内容を評価してコベルコシステムの提案を選んだという。特に既存のWindows Serverのライセンスを活用しやすい、Azureへの移行案を評価した。従来のDCサービスでシステム運用を任せていたのがコベルコシステムであり、既存システムに関する知見を期待できたことも、選定を後押しした。
サーバ調達を短縮、想定外のコスト増も最小限に
新たなITインフラでは、従来は数カ月を要していたサーバの調達が、短時間で完了するようになった。Azureに加わる新機能を即座に利用・検証できるようになり、新技術を導入する際の障壁が下がった。東日本と西日本にサイトを分けたことで、大規模災害時の事業継続性も向上した。これまで複数のベンダーに依頼していた運用・保守の窓口が1つになり、担当者の工数を削減できた。
移行期間中には、ナブテスコが移行前から利用していたサーバの利用料金が、約10倍に上昇する事態が起きた。ナブテスコは社内調整の上で、コベルコシステムの協力を得て新しいITインフラへの移行スケジュールを前倒しすることで、コスト増大を最小限に抑えたという。
ナブテスコは今後、全社での生成AI活用を見据えて、ITインフラを拡充する。グループ内に分散しているITインフラの段階的な集約も進める考えだ。コベルコシステムが2026年8月19日、本事例を公開した。
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