「強いパスワードが分かる」だけでは危険、“24問のテスト”で見えたセキュリティ知識の穴:公共Wi-Fiや生成AIの使い方にも盲点
強いパスワードの見分け方は知っていても、フィッシングサイトを見分ける方法は正しく理解していない――。サイバーセキュリティに関する知識は、基本的なテーマでも知識に偏りがあるようだ。世界167カ国を対象に実施したテストからその実態が明らかになった。
サイバー攻撃や個人情報の漏えいが相次ぐ中、システムやインターネットを安全に利用するための知識はますます重要になっている。サイバーセキュリティ企業のNordVPNは2026年9月24日、サイバーセキュリティに関する知識を測定する「ナショナルプライバシーテスト2026」の結果を発表した。
サイバーセキュリティに関する24問の設問があり、日本は総合スコアで世界9位だった。個別の設問では、強力なパスワードを正しく識別できた回答者は92%だった一方、フィッシングサイトの識別方法を正しく回答できたのはわずか8%となるなど、基本的な知識に偏りがある状況も見られた。
“24問のテスト”で見えたセキュリティ知識の穴
日本の回答者は、どのようなセキュリティ知識を持ち、どの分野が苦手なのか。具体的な設問や、回答の傾向、求められる対策などを見ていこう。
同テストには世界167カ国から2万3181人が参加。日常のデジタル生活やプライバシー、サイバー攻撃への対処などに関する24問への回答を分析した。
世界1位となったのはシンガポールの52点だった。次いでポーランドが51点、ドイツとフィンランドが50点で続いた。
24問の設問を個別に見ると、日本の回答者が比較的高い正答率を示したのは、「強力なパスワードの識別」(92%)や、「SNSでフォロワーに公開するコンテンツの範囲」(91%)だった。「閲覧データを収集する可能性のある企業」についても76%が正しく回答した。
「フィッシングサイトの識別方法」など世界平均を下回る
一方、「フィッシングサイトの識別方法」に関する設問の正答率は8%で、世界平均の20%を12ポイント下回った。
「銀行から身に覚えのない出金を知らせる連絡を受けた際の対応」では、適切な行動を回答できたのは62%で、こちらも世界平均の82%を大きく下回った。「ブラウザにクレジットカード情報を保存するリスク」についても、日本の正答率は69%で、世界平均の87%より18ポイント低かった。
「仕事でAIを利用する際のプライバシーリスク」は正答率3%
生成AIに関連する設問でも、正答率に大きな差が見られた。
「AI技術を悪用した一般的な詐欺」を正しく識別できた日本の回答者は56%で、世界平均の74%を18ポイント下回った。「ディープフェイクコンテンツの主な兆候」については47%で、世界平均の50%を下回った。
一方、「AIツールに共有すべきではない情報」については66%が正しく回答し、世界平均の57%を9ポイント上回った。ただし、「仕事でAIを利用する際に考慮すべきプライバシー上の問題」を正しく回答できたのは、わずか3%だった。
「SNSへの投稿がAIモデルの学習に利用される可能性」を理解していた回答者は77%で、世界平均の91%を14ポイント下回った。
AIに入力すべきではない情報について一定の知識がある一方で、業務利用に伴うプライバシー上の問題については、正しく回答できた人が極めて少なかったことになる。
プライバシー保護について正答率が低い傾向に
AI以外の分野でも、具体的なプライバシー保護の方法に関する設問は正答率が低かった。例えば「安全な公共Wi-Fiの利用方法」は正答率が3%、「アプリへのデータアクセス許可」については9%、「Cookieの主な目的」については17%だった。
セキュリティとプライバシーに関する24のチェック項目
実際にどのような知識が問われたのか。24問の設問内容は次の通りだ。
- アプリにどのデータへのアクセスを許可すべきか
- SNSでフォロワーに公開するコンテンツの範囲
- アプリやオンラインサービスの利用規約・プライバシーポリシー
- オンライン上のプライバシーを守るツール
- アプリをアップデートすることのセキュリティ上のメリット
- 公共Wi-Fiを安全に利用する方法
- 使わなくなったオンラインアカウントの管理
- Metaによる非利用者からのデータ収集
- 強力なパスワードの識別
- パスワードを安全に保存する方法
- インフォスティーラーが窃取する可能性のある情報
- マルウェアの感染経路
- AI技術を悪用した一般的な詐欺
- 閲覧データを収集する可能性のある企業
- フィッシングサイトの識別方法
- Cookieの主な目的
- 仕事でAIを利用する際のプライバシー上の問題
- ディープフェイクコンテンツの主な兆候
- ブラウザにクレジットカード情報を保存するリスク
- 銀行から身に覚えのない出金を知らせる連絡を受けた際の対応
- AIツールに共有すべきではない情報
- SNS投稿がAIモデルの学習に利用される可能性
- 公共USB充電ステーションのセキュリティリスク
- 公共の場所にあるQRコードを読み取る際のセキュリティリスク
ナショナルプライバシーテストは誰でも無料で受験できる。挑戦したい場合は、ナショナルプライバシーテストの公式サイトから受験できる。
NordVPNが推奨する6つの対策
NordVPNは、AI時代にオンラインセキュリティとプライバシーのリスクを低減するために、次の対策を推奨している。
- 強力なパスワードを作成し、安全に保管する
- アカウントごとに異なるパスワードを使用し、信頼できるパスワードマネジャーで管理する。利用可能な場合はパスキーも有効にする
- 多要素認証(MFA)を有効にする
- 重要なアカウントに追加の認証手段を設け、パスワードが漏えいした場合でも不正アクセスを防げるようにする
- プライバシー保護ツールの役割を理解する
- VPN、パスワードマネジャー、トラッカーブロッカー、エンドツーエンド暗号化を利用するメッセージサービスなど、それぞれの用途や保護範囲を理解する
- アプリの権限を見直し、最新の状態に保つ
- 位置情報や連絡先、マイク、写真などへのアクセスを必要な範囲に限定し、不要な権限を削除する
- 公共Wi-Fiを安全に利用する
- 接続先のネットワークが正しいことを確認し、不明なネットワークでは機密性の高い操作を避ける。必要に応じてVPNを利用する
- AIツールに共有する情報を慎重に判断する
- 適切な保護と利用許可が確認できない限り、パスワードや財務情報、社外秘の文書、顧客データなどを入力しない
今回の調査では、基本的なセキュリティ知識に関する設問と、具体的なリスクへの対処やプライバシー保護の方法に関する設問で、正答率に大きな開きが見られた。個々の脅威を知るだけでなく、サービスやツールがどのような情報を扱い、どこまで保護できるのかを理解することが重要だ。
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