【RHELとOpenShiftを直撃】LinuxカーネルにCVSS 9.8の緊急脆弱性、アップデートできないときの暫定策は?:外部から認証なしで攻撃可能
Linuxカーネルに、認証なしでネットワーク越しに攻撃できる深刻な脆弱性が見つかった。CVSSスコアは9.8で、悪用されればシステムのクラッシュやメモリ破損、さらには任意コード実行に至る恐れがある。Red Hatが警告するこの問題は、企業のLinuxサーバだけでなく、コンテナ基盤にも影響する。
Red Hatは2026年10月15日(現地時間、以下同)、「Linuxカーネル」のIPv4ネットワーク処理に関する脆弱(ぜいじゃく)性「CVE-2026-98432」を公開した。共通脆弱性評価システム(CVSS)v3.1のスコアは9.8で、深刻度「緊急」(Critical)と評価されている。
この脆弱性を悪用すると、認証や利用者の操作を必要とせず、ネットワーク経由で攻撃できる。これによってサービス運用妨害(DoS)やメモリ破損を引き起こす他、任意コード実行に至る恐れもある。2026年11月1日には、「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)向けの修正済みパッケージに関する情報が公開された。
認証不要でネットワーク越しに攻撃可能 対策・暫定的な軽減策は?
CVE-2026-98432の原因は、TCP接続要求の再送やソケットマイグレーション(ソケットの移行)などを並行して処理する際に発生する競合状態だ。
Linuxカーネルでは、接続要求に関連付けられたソケットオプションの所有権が子ソケットに移される一方、別の処理が同じメモリ領域を参照する可能性がある。この結果、解放済みメモリへのアクセス、いわゆる解放後使用(UAF)が発生する。
攻撃者は特別に細工したネットワーク要求を送信することで、この問題を悪用できる。ローカル権限や利用者の操作は必要なく、外部からTCP接続を受け付けるシステムが主な攻撃対象となる。
悪用された場合、システムのクラッシュによるDoSやメモリ破損を引き起こす恐れがある。さらに、任意コード実行を確実に実現するには精密なヒープ制御が必要だが、攻撃者がこれを達成すれば、システムで任意のコードを実行される可能性もある。
CVSSの評価項目では、攻撃経路はネットワーク、攻撃の複雑さは低、必要な権限と利用者の操作はいずれも不要とされる。機密性や完全性、可用性への影響も全て高く評価されている。
RHEL 8〜10は修正済み OpenShiftなど一部製品は依然として影響対象
Red Hatは2026年11月1日、RHEL 10、9、8のカーネルパッケージと、RHEL 8の「kernel-rt」(リアルタイムLinuxカーネル)などについて修正情報を公開した。勧告番号はRHEL 10が「RHSA-2026:93413」、RHEL 9が「RHSA-2026:93412」、RHEL 8のカーネルが「RHSA-2026:93414」、kernel-rtが「RHSA-2026:93415」だ。
一方、影響対象には「Red Hat OpenShift Container Platform 5」の「openshift/ose-rhel-coreos-9」、同4の「openshift/ose-rhel-coreos-8」「openshift/ose-rhel-coreos-9」が含まれる。また、「RHEL for NVIDIA 26」のkernelやRHEL 9のkernel-rtも影響対象として挙げられている。RHEL 7のカーネルパッケージは脆弱なコードが存在しないため影響を受けない。
Red Hatは、対象製品の旧マイナー更新系列についても、影響なしと明記されていない限り脆弱と見なすよう注意を促している。
また、修正パッケージの適用まで時間がかかる場合に備え、暫定的な軽減策として、IPv4ヘッダにIPオプションを含むTCPパケットをnftables(エヌエフテーブルズ)で遮断する方法も案内している。ただし、これは完全な修正の代替ではなく、適用時には既存の通信への影響を確認する必要がある。
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