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続・PalmでJavaアプリケーションを動作させる ―MIDP for Palm OS 1.0正式版はここが変わった― 服部隆志 http://www.sinsen.org/ http://www.ngy1.1st.ne.jp/~takashi/sinsen_index.html 2001/11/16
2001年7月中旬に公開された記事「PalmでJavaアプリケーションを動作させる」で「MIDP for Palm OS Early Access版」を紹介しました。本稿では、そのEarly Access版と、2001年10月下旬に公開された「MIDP for Palm OS 1.0正式版」との変更点を紹介します。 前回の記事で扱ったMIDP for PalmのバージョンはEarly Access版(β3)で、記事の公開後、新たにEarly Access版(β)が公開されました。Early Access版(β3)からEarly Access版(β)へのバージョンアップによる変更点がいくつかあったため、前回の記事によって戸惑われた方もおられたかと思います。申し訳ありませんでした。現在は前述のように正式版が公開されました。
MIDP for PalmOSは、KDDIのezplusやJ-フォンのJavaアプリで採用されている携帯Java規格「MIDP」(Mobile Information Device Profile)をPalm OS上で動作させるプログラムです。2001年11月現在、以下のサイトにて無償でダウンロードすることができます。 PalmデバイスでMIDletを動作させるには、MIDletが含まれるJARファイルをPalmのファイル形式であるPRCファイルに変換し、MIDP for Palm OS 1.0付属のMIDP.prcをインストールしたPalmデバイス(Palm OS 3.5以上)へ転送します。Early Access版(β3)、あるいはEarly Access版(β)のMIDP.prcがインストールしてある環境では、それらを削除した後、改めてMIDP for Palm OS 1.0のMIDP.prcをインストールする必要があります。
前回の記事の時点では、J2ME Wireless Toolkitのバージョンは、1.0.2 Early Access 2でした。2001年11月上旬に、「J2ME Wireless Toolkit 1.0.3正式版」が公開されました。Early Access版からの大きな変更点はないものの、PC上のMIDPエミュレータとしてPOSE(Palm OS Emulator)を使う部分には、本稿で取り上げているMIDP for Palm OS 1.0が使われています。 ただし、POSE(Palm OS Emulator)によるPC上でのエミュレータ実行には、Palm OSのROMイメージが必要となります。これはPOSEに含まれるROM Transfer.prcを使うことでPalmデバイスから吸い出せます。ただし、ROM TransferはUSBクレードルに対応していないため、シリアルクレードルを用意する必要があります。 POSEをMIDPエミュレータとして設定するには、KToolBarを立ち上げ、[編集→設定]で「POSEロケーション」にPOSEの実行ファイル「Emulator.exe」の場所を設定します。これにより、そのほかのエミュレータと同様に扱うことができます。 また、[ファイル→ユーティリティ]で表示されるダイアログの[Palm→Generate PRC]を選択することで、PRC Converter Toolを立ち上げることができます。
PalmでMIDPのアプリケーション「MIDlet」を動作させるにはMIDPのJADファイルとJARファイルをPRCファイルというPalm独自のフォーマットに変換する必要があることは、前回の記事でも書きました。 コンソール版のMakeMIDPAppは、Early Access版(β)からは、Conveter.jarのJARファイル中に含まれるようになりました。 また、MakeMIDPAppを使う場合はクリエイターIDというものが必要となります。クリエイターIDとはPalm ComputingのWebサイト(CreatorID Database)で登録できる英数4文字から構成されるアプリケーションごとに決められるIDで、この値を比較することでアプリケーションの競合を防ぎます。サンプルの作成などでは適当な値を入力しておいてもよいのですが、本格的な配布をする場合はクリエイターIDを登録して設定することになります。
■カラーアイコンの移植ツール 「-icon」オプションによって設定できるアイコンは、Palmデバイスのアプリケーションメニューに表示されるアイコンです。このオプションで設定できるのは32×32ドットまでの白黒画像(bmp、pbm、bin)だけで、カラーのアイコンを設定することはできません。また、オプションを設定しない場合にはデフォルトのカラーアイコンが使われます。これでは、せっかく力を入れて作ったアプリケーションでも、その効果を十分に発揮できません。 そこで、デフォルトのカラーアイコンを使用しているPRCファイルを編集し、任意のカラーアイコンを代わりに移植するコンソールツールを作ってみました。指定したPRCファイルのデフォルトアイコン部分を、指定された画像(GIFまたはJPEGで、22×22ドット限定)に置き換えます。筆者のWebサイトにて公開していますので、興味のある方は使ってみてください。
Early Access版(β3)ではJavaManagerと呼ばれていたKVMのJava実行環境は、Early Access版(β)からJavaHQという名前に変わりました。Palmにインストールする実際のファイルはMIDP.prcで、これをインストールしないとPRCファイルに変換したMIDletを実行することはできません。 JavaHQは、デフォルトの状態でGlobal設定(色数、描画速度、メモリ、ネットワーク)だけしか設定することはできません。しかし、MIDP for PalmOS 1.0に付属しているDeveloper.prcをPalmデバイスへインストール・設定することで、Developer設定(ヒープ情報、出力情報)ができるようになります。また、MIDletを起動中に、Palmのメニュー→optionsでApplication設定(各種操作ボタンの表示、色数、描画速度)が行えます。
■日本語のサポート Early Access版でも正式に日本語表示のサポートはされておらず、裏技的方法によって何とか日本語表示を行えました。しかし、今回のバージョンではこれまでの方法を使っても日本語の表示ができなくなっています。今後何か別の方法が見つかるかもしれませんが、MIDP for PalmOS 1.0のドキュメントにも「対応は英語のみ」となっており、あまり期待しない方がいいかもしれません。今後のMIDP for Palmのバージョンアップで、日本語表示がサポートされることを期待します。 ■256色以上のカラーサポート 256色以外に、Thousands(6万5536色)とMillionsの2つのカラーモードが増えました。2001年11月現在、6万5536色以上の表示をサポートしているPalmデバイスは存在しませんので、Millionsが実際どれだけの色数を表示できるのか分かりませんが、色数が増えることは歓迎すべきことです。 ■Canvas#keyReleased() KVMのデモンストレーションのころから機能していなかったCanvas#keyReleased()ですが、ベータ版から機能するようになりました。これでMIDP仕様に忠実な環境となりました。 ◇ MIDP for Palm OS 1.0ではKVMの構成、パフォーマンス、使用可能色数、そしてバグフィックスなどさまざまな変更がありました。しかし、KVM自身がPalmアプリケーションとして配布されるという特徴から、以前のバージョンで動作した環境であれば問題なく使用することができます。組み込みJavaという言葉から抜け出したこのシステムは、常に最新のMIDP環境で動作させることが可能であるだけでなく、今後出てくるMIDPの各種拡張APIをテストすることも可能にします。 また、世界的に普及しているPalm OSはMIDPの互換性を保つことにも関係します。MIDP仕様にそったアプリケーション「MIDlet」を作成する場合はもちろん、新たなMIDP環境の実装をする場合にも無視することはできないものとなります。 こういったことから、PalmでのMIDP動作環境はMIDPという仕様の将来を考えるにあたって、非常に重要な土壌(プラットフォーム)であると言えるのではないでしょうか。
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