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IFRS最前線(7)

IFRSの専門家が徹底解説!
目前に迫る中小企業会計の“大転換期”

小尾拓也
ダイヤモンド・オンライン
2010/7/22

IFRSの適用が迫るなか、多くの中小企業経営者は不安を抱えている。彼らにとって必要なのは、現状を正確に把握することだ。河ア照行・甲南大学会計大学院長が、転換期を迎えた中小企業会計の現状を解説する(ダイヤモンド・オンライン記事を転載、初出2010年02月18日)。

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――このようなトレンドは、中小企業にとってメリットがあるのか? 

 中小企業がIFRSを適用することには、メリットも多い。

 財務諸表の比較可能性が向上して投資家の意思決定が効率化されるし、財務諸表の信頼性が高まって企業経営も効率化できる。国内における直接金融だけでなく、国際市場での多様な資金調達も可能になるだろう。

 ただし、そのような中小企業はかなり限られている。前述のように、中小企業の性質は大企業とは異なる。上場企業や海外で手広くビジネスを行なっているような企業でなければ、適用のニーズは低いだろう。

 現行の「中小企業会計指針」はハイレベルなこともあり、それに従って会計処理を行なっている中小企業は、全体の1割も存在しないのが実情だ。

 また、会計の文化は国によって様々なため、欧米型の会計システムをそのまま導入すればよいというものでもない。日本の中小企業には、やはり税法基準をベースにした日本型の会計基準が最も適していると思う。

 ゆくゆくは、大企業と中小企業の会計指針を明確に分けることも視野に入れるべきかもしれない。そうでなくても、中小企業の現状に合った制度的対応は検討されていくべきだろう。

――諸外国には、理想的な制度的対応が行なわれているケースはあるのか?

 1つの試みとして挙げられるのが、企業に対して階層的な会計制度を構想している英国のケースだ。

 一口に企業と言っても、社会的説明責任の有無や資本金の規模など、様々な側面から区分けができる。上場している中小企業もあれば、非上場の大企業もあるため、そもそも「大企業と中小企業」という区分だけでは、線引きが難しい。

 その点、英国が検討しているアプローチは「3層構造」になっている。

 たとえば、上場企業や社会的説明責任を有する大規模企業およびその子会社には「完全版IFRS」を適用、社会的説明責任を有さない大規模企業および中規模企業には「中小企業版IFRS」を適用、小規模企業には英国独自の「小規模企業向け財務報告基準」(FRSSE)を適用、といった具合だ。

 日本でもこのようなアプローチを考えるなら、まずは「中小企業会計指針」の見直しを検討する必要がある。IFRSの適用が避けて通れなくなった現在、中小企業の会計を含め、わが国の会計制度を抜本的に改革する絶好の機会が訪れているとも言えるのだ。

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