
IFRSのイロハ(1)
今なら聞いても遅くない!
IFRSにまつわる16の疑問(Q1〜Q8)
ダイヤモンド社
2010/6/22
会計をめぐる世界の標準争いの渦中にあるIFRS。今後、世界、そして日本での適用も増えると予測される。理解を助けるために、今なら聞いても遅くないIFRSに関する16の基本的な疑問に答える(今回はQ1〜Q8まで。週刊ダイヤモンド臨時増刊 2009年10月30日号から転載)
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Q1 そもそもIFRSってどう読むの?
A)International Financial Reporting Standardsの頭文字を取ったものがIFRSだ。じつは読み方はさまざまあり、会計の専門家のあいだでも、「アイファース」や「イファース」、あるいは「アイエフアールエス」と呼ばれるなど、統一されていないのが現状だ。同じ人でも使い分けることがあるほど。
日本語で正式に訳せば「国際財務報告基準」となるが、マスコミでは「国際会計基準」という名前が使われることが多い。IFRSの前身の会計基準であるIAS(International Accounting Standards)からきたもので、今でもその呼称のほうが通りがいいようだ。この特集ではどれも同じことを表していると理解していただいて結構だ。
また、IASがすべてIFRSに置き換わったわけではないのでこの2つの基準と、それぞれの解釈の指針を総称して「IFRSs」と表記されることもある。
Q2 誰が基準をつくるの?
A)おさらいになるが、今は国際会計基準審議会(IASB)がつくっている。だが、今後は、世界の流れを読んでいる米国も影響力を強めようとしており、当面は財務会計基準審議会(FASB)とIASBが共同でつくっていくことになりそうだ。米国のことだから、「いっそのこと、IASB自体を牛耳ってしまおうとしているのではないか」という見方さえある。
もし日本がIFRSを適用すれば、日本基準の設定主体だった企業会計基準委員会(ASBJ)は非上場企業のための基準の設定しかやることがなくなってしまう。基準をどう解釈するかという指針を出すのは国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC)だけが許されており、各国が独自の指針をつくるのは認められていない。上場企業に関連するASBJの仕事といえば、英文で出された基準や解釈指針の翻訳だけになる。もちろん、これはこれで決しておろそかにはできないが。
15人いるIASBの理事のなかで、日本人はたった1人だけ(2010年6月現在)。欧米が引っ張っている議論のなかで、今後日本がどう発言力を強めていけるのか真剣に考えなければならないだろう。
Q3 IFRSを導入したらどんな利点があるの?
A)投資先を求めて世界中をカネが駆け巡っているのは、よく知られていることだ。しかし、会計基準が国によって違っていれば、投資家は財務諸表を比較、分析しにくくなる。そこでIFRSという、世界で主流になりつつある共通のモノサシを使えば、こうした問題は解消される。
特に東京証券取引所は売買代金の外国人投資家のシェアが6〜7割に達することがあるほど、外国人の依存度が高い。彼らがそっぽを向いてしまえば、東京のマーケットは衰退してしまう。魅力あるマーケットに生まれ変わらせるために、基準を揃えるのは必要不可欠だというのが多くの市場関係者の主張だ。
海外で積極的に事業を展開している日本の企業にもメリットは大きい。現実には海外子会社がIFRS、本社は日本基準を採用しているという企業も多いが、これでは経営管理の効率性が下がってしまう。そこで、世界と基準を合わせれば、国際競争力を強化できるだけでなく、海外企業を買収する際にも比較の基準が揃うので積極的に動きやすくなるだろう。
Q4 日本の会計基準と根本的に何が違うの?
A)いくつかあるが、大きな違いを3つほど挙げてみよう。
まずは、日本基準が「規則主義」であるのに対し、IFRSは「原則主義」であるという点が違う。利益の面でも日本が「純利益」に着目しているのに対し、IFRSは「包括利益」なるものを重視している。また、日本は「収益費用アプローチ」を取っているが、IFRSでは、「資産負債アプローチ」を取っているという点が違う。

IFRS任意適用の要件緩和へ、企業会計審議会に新しい流れ
