オラクルなどのパートナーコンソーシアムが公表
3つの経営モデルで考える、IFRS対応のあるべき姿
2009/10/07
PR
日本企業のIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)適用支援を目的に、日本オラクルのパートナー39社が設立した「IFRSパートナーコンソーシアム」は10月7日、9月末で終わった第1期の活動成果としてIFRSに対応するうえで想定できる3つの経営モデルを発表した。コンソーシアムは第2期として活動を継続していて、今後はIFRS適用に向けた実務的な議論を活発に行っていくという。
コンソーシアムに参加するのは会計コンサルティングファームや、ERP、会計パッケージに強いシステムインテグレータなどで、監査法人も協力している。約半年の議論を経て公開したのは「ABCモデル」と呼ぶ3つの経営モデル。IFRS適用をどう行うかを示すモデルで、ユーザー企業がIFRS対応を進めるうえでのゴールとして考えることができる。
3モデルは「アドバンスモデル」「バランスモデル」「コンプライアンスモデル」。アドバンスモデルはIFRS対応を契機にグローバルレベルで経営基盤を再構築する考え方。業務とITシステムをグローバルで標準化し、全体の効率化と競争力の向上を目指す。コンソーシアムを代表して説明したヒューロン コンサルティング グループのマネージングディレクターで、公認会計士の櫻田修一氏は「主に年商1兆円クラスのグローバル企業を想定している」と話した。
バランスモデルはIFRS対応でビジネス基盤の再構築を行うが、すべての拠点や業務を対象にするのではなく、経営上の重点領域から段階的に刷新する考え方。実現できる経営管理レベルとその投資対効果を見積もりながらプランを練っていくモデルだ。コンプライアンスモデルは「IFRSによる財務報告ができる必要最低限のレベル」で、現状の業務やITシステムの変更は抑えながらIFRS対応を行う。初期投資は少なくできるが、現場担当者の負担が増加したり、会計処理のレベルが一定しないなど別のコストが発生する可能性はある。
3つのシステムモデルも公表
コンソーシアムは同時に、ABCモデルに対応する会計システムのモデルも示した。会計システムのどの段階でIFRSへの組替えを行うかによって分かれるモデルで「連結システム」「個社会計システム」「個別業務システム」の3つがある。連結システムは最も簡易な方法で、日本基準ベースで上がってきた財務データを連結処理時にIFRSに組替えて、IFRSベースの連結財務諸表を作成する方法だ。櫻田氏は「大多数の企業はこれを選ぶだろう」と話した。
個社会計システムは、グループ各社が作成する総勘定元帳を各社ごとにIFRSに組替えて、その後に連結処理を行ってIFRSベースの連結財務諸表を作成するパターン。個別業務システムはすべての会計処理や業務プロセスをIFRSベースに統一するモデル。各社ごとにIFRSと日本基準など複数の総勘定元帳を持ち、会計処理ごとに複数の総勘定元帳に記帳する。IFRSの総勘定元帳からはIFRSの連結財務諸表を作成する。コンソーシアムは経営のABCモデルと、3つの会計システムモデルとの相関を示す図も公表した。
コンソーシアムの第2期は200人規模のセミナーを複数回開催する予定。連結・予算、実装方式などテーマ別のセミナーも計画している。コンソーシアム参加企業による分科会や、コンサルティングとシステム導入サービスを組み合わせたソリューション開発などを行う。コンソーシアム会員のアビタス 代表取締役 三輪豊明氏は「今期は会計基準の理解が中心だったが、来年度からは、より実務的な取り組みが必要になってくるだろう」と話した。
また、櫻田氏は「中核メンバーの共通の思いはIFRSの適用は単に会計基準の問題ではなく、日本の企業経営が国際水準に追いついていない領域を変換する大きなチャンスになるということ」と説明した。ただ、平均的な多くの日本企業にとってはIFRS適用は「ハードルが高い」といい、コンソーシアムには「みんなの英知を結集して日本企業を支援し、日本経済に何らかの貢献ができるのではないかという思いが根底にある」と強調した。
関連リンク
関連記事
情報をお寄せください: