2010年にはコンバージェンス版
「ZeeM 会計」のIFRS版を2011年にリリース、クレオ
2009/10/20
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クレオは10月20日、中堅企業向けの会計パッケージ「ZeeM 会計」のIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)対応計画を発表した。単体の会計パッケージをIFRSに対応させる複数帳簿機能などを含む「アドプション対応版」を、2011年12月にリリースする計画だ。
同社の代表取締役社長 土屋淳一氏はIFRSについて「顧客法人の社内プロセスに相当な影響がある」と指摘し、「このところの法人の最大の関心はIFRS対応」と説明した。
クレオはZeeM 会計のIFRS対応を3段階で考えている。1段階目は東京合意に基づく会計基準のコンバージェンスに対応させる機能追加。2010年3月に資産除去債務(解説記事)と、セグメント情報の開示に対応した機能を追加し、2011年3月には過年度遡及修正に対応させる。資産除去債務対応では、除去費用の割引現在価値を自動算出し、債務計上を支援する機能、減価償却費を自動算出する機能などを追加する予定。セグメント情報の開示では、セグメント情報を活用した経営分析(ビジネス・インテリジェンス)機能を強化する。
複数帳簿に対応
2011年12月には2段階目のアドプション対応版として4つの機能を追加する。機能の1つである複数帳簿対応では、総勘定元帳への記帳を3パターンで対応可能にする。パターン1はIFRSと日本基準の両方の総勘定元帳を作成し、記帳する方式。IFRSの総勘定元帳は連結決算に利用し、日本基準の総勘定元帳は税務申告などに使う。パターン2はIFRSで記帳し、それを日本基準に組替え仕訳する方式。パターン3は日本基準で総勘定元帳に記帳し、その後にIFRSに切替え仕訳する方式だ。
クレオはいずれのパターンにもZeeM 会計を対応させる考え。同社執行役員の林森太郎氏によると「ZeeM 会計のシステム構造なら大幅な変更をせずに対応できる」という。
アドプション対応版にはほかに、財務諸表の表示をIFRSの財政状態計算書、包括利益計算書などに対応させる機能、親会社と子会社の財務諸表を同一日付で作成可能にする期ずれ対応機能、複数台帳管理に対応した固定資産/リース資産への対応機能を追加する予定。固定資産/リース資産への対応機能では、減損の兆候判定や損失の戻入れなどに対応するという。
ただ、アドプション対応版の機能は「最低限のIFRS対応」(林氏)といい、クレオはZeeM 会計の3段階目の機能追加を予定している。3段階目では、任意適用した顧客の要望を取り入れ、2015年4月までに必要な機能を順次追加するとしている。
クレオはまた、社内の開発、導入支援、サポート、営業などの人員からなる「ZeeM IFRS対応推進室」を設立した。IFRSについての社内やパートナーの情報を一元的に管理し、顧客からの要望に迅速に応えられるようにする。5〜6人の人員でスタートし、顧客ニーズに応じて増員させる考えだ。
他社パッケージとの連携も検討
林氏は他社パッケージベンダやシステムインテグレータとも協力し、IFRSについて包括的なソリューションを提供することを検討する考えを示した。ZeeM 会計は単体の会計システムと固定資産管理システムを機能として持つが、IFRSでは、ほかに販売システムや連結会計システムも対応が必要。この分野で他社と協力することを検討している。また、コンサルティングサービスを提供するSIerとの連携も検討するという。
林氏によると、ZeeMとその前身製品であるCBMSを合わせた導入社数は1790社。うち、ZeeM単体では約300社という。300社のうちIFRSに直接影響する上場企業は約20%だが、「IFRS対応というメッセージを出すことで、リプレースなどを検討する新規顧客を開拓したい」と意気込んでいる。
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