IBMがグローバルでCFO調査
財務経理部と経営企画部は一緒になる運命か
2010/03/25
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日本IBMは3月24日、国内外の企業1900社以上のCFO、経理部長などを対象に行った調査結果を公表した。国内企業では128人が答えた。企業の財務経理部門は今後、業務の効率化とビジネス洞察力の2つの方向を強化する必要があるという。
業務効率化を促進する要因としてIBMは「グループ標準」「共通・共有データ定義」「勘定科目の共通化」「標準化/共通化された経理財務プロセス」の4つを挙げている。そのうえで、グローバルと日本企業の調査結果を比較。「経理財務部門は自動化や標準化に関する問題に起因する構造的な複雑さをいまもなお抱えている」(IBM ビジネスコンサルティング サービスの戦略コンサルティング 経理財務変革コンサルティング 松尾美枝氏)と指摘した。
調査結果によると、業務効率化の課題のうち、「財務諸表を手作業で作成」などについて悩んでいる企業の割合はグローバルと日本でほぼ同じだが、「業務処理に費やしている時間の割合」「グループ標準の欠如」「共通のデータ定義/業務プロセスの欠如」については日本企業の方が課題と感じている割合が高い。特に「共通のレポートプラットフォームの欠如」についてはグローバルでは36%の企業が悩むだけだが、日本企業では64%が課題と捉えている。
また、IBMによると効率的な業務を行っている企業は、収益成長率やEBITDA、投下資本利益率(ROIC)などが優れているという。松尾氏は「手でしてきたことを自動化するだけでなく、ビジネスがグローバル化する中でどう複雑な作業を効率化するかがCFOには求められている」と話した。また、日本企業がこれから対応を本格化させるIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)については、「IFRSがないときは、業務効率化が難しかった。日本企業からはIFRSによって業務効率化がやりやすくなるという声が聞こえる」と説明した。
調査のもう1つの観点であるビジネス洞察力については、グローバルと日本企業の間の差はさらに大きい。「業務計画及びフォーキャスティングの分析能力に不満」という回答はグローバルが55%なのに対して、日本企業は81%。「非財務指標を手作業で作成」することが課題と思っているのはグローバルでは53%だが、日本企業は72%だ。日本企業はこのような分析機能を経営企画部門に持たせていることが多く、財務経理部門の役割ではないこともこの数字には反映されている。しかし調査結果によると、優れた業績を残している企業ではCFOがこのような分析能力を持っている。松尾氏は「グローバルでは情報を握るCFOがよりビジネスサイドに寄ってきている。日本企業も組織の変化が必要かもしれない」と話した。
IBMは調査を基に、業務効率の高低とビジネス洞察力の高低から財務経理部門を4つに分類し、それぞれに名称を付けた。業務効率、ビジネス洞察力ともに高いのは「バリュー・インテグレータ」。グローバルでは23%の割合だが、日本では上記のように経営企画部門との役割分担もあり、8%にとどまる。松尾氏は「情報の分析やテクノロジの活用ができる人材の育成が急務だ」と訴えた。
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