四半期決算短信の30日ルール撤廃も提言
IFRSの決算短信はこうなる、東証が方針示す
2010/03/26
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東京証券取引所の上場制度整備懇談会ディスクロージャー部会は3月24日、IFRS適用後の決算短信の概要を提言する報告書を公開した。東証は提言を受けて、関連諸制度を改正する予定だ(報告書へのリンク【PDF】)。
IFRSでは包括利益が導入されるなど開示情報が日本基準と比べて大きく変わる。報告書ではIFRS適用後の短信のサマリー情報について、経常利益ではなく包括利益を開示することを提言。売上高、当期利益(損失)もこれまで同様に開示する。また、営業利益や税引前利益については「IFRS上で開示が強制されているわけではないが、売上高から当期利益に至るまでの途中の経過を示すことはIFRSでも重要」としていて、財務諸表で開示している場合はサマリー情報でも開示を求める。
そのほか、「親会社の所有者に帰属する当期利益」についてもサマリー情報での記載を求める。1株当たり利益についても当期利益に基づいて算定した数値を記載する。
サマリー情報の業績予想については、売上高と当期利益の予想値開示をすべての上場企業に求める。営業利益、税引前利益を使ったマネジメント体制を整えている企業に対してはその予想値の開示も要求する。ただ、包括利益の予想値については「公正価値や為替などの変動に大きく影響を受ける項目が多く、それらを合理的に予測し、開示することは困難」として求めない。
経営成績、企業集団の状況、経営方針などの定性的情報の開示は従来と同じ。財務諸表(本表)はIFRSに基づき作成する。ただ、注記については、IFRSで求められる注記をそのまま記載すると膨大な量となり、速報性が失われたり、実務上の負担が増大することから、「投資者に迅速に伝達する有用性が高いものに、限定して開示することが適当と考えられる」としている。具体的には、以下については開示を求めるが、それ以外の注記項目は重要性に応じて開示するという。
開示を求める注記項目
- 財務諸表の表示の基礎となる事項(IAS 1.112)
- 重要な会計方針・会計方針の変更(IAS 1.117/IAS 8.28,29)
- 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断・会計上の見積りの変更(IAS 1.122,125,129/IAS 8.39,40)
- 事業セグメント(IFRS 8)
- 1株当たり利益(IAS 33.70)
- 後発事象(IAS 10ほか)
- 継続企業の前提に関する注記(IAS 1.25)
- 初度適用の開示(IFRS 1)【IFRS適用初年度のみ】
30日以内の開示時期を撤廃
報告書はIFRS対応だけでなく、四半期決算短信の見直しについても提言した。これまで求めていた四半期末後30日以内という開示時期の目安を撤廃し、さらに開示内容についても「上場会社の判断によって、投資者ニーズに応じて的確な開示内容を選択することができるように見直す」としている。
見直し後の四半期決算短信ではサマリー情報のほかに、以下の項目を必須の開示事項とする。
- 四半期連結貸借対照表
- 四半期連結損益計算書(四半期累計期間)
- 継続企業の前提に関する注記
- 株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記
一方、以下の項目については投資者のニーズに応じて企業が開示を判断するとしている。
- 連結経営成績、連結財政状態、業績予想の状況に関する定性的情報(累計期間・会計期間問わず、投資者の投資判断に有用な説明)
- 四半期連結損益計算書(四半期会計期間)
- 四半期連結キャッシュフロー計算書
- セグメント情報
- 単体情報
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