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「開示すべき重要な不備」が優勢か

「重要な欠陥」の言い換えは? 内部統制制度の改訂案公表

2010/11/25

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 金融庁の企業会計審議会 内部統制部会は11月25日に会合を開き、見直しを進めている内部統制報告制度について初めて実際の改訂案を示した。これまでに議論してきた内部統制報告制度の明確化、簡素化の内容を「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」「実施基準」「監査基準」に反映させた。

これまでの記事

内部統制制度の簡素化で「事例集」追加、金融庁
内部統制報告書から「重要な欠陥」が消える
金融庁が内部統制制度を見直し、より簡素・明確に

 明確化、簡素化の内容自体はこれまで公表された内容と大きくは変わらない(金融庁の公表資料)。多くは既存の説明に(注)を付けることで対応している。例えば全社的内部統制の評価範囲の決定では、「財務報告に対する影響の重要性が僅少である事業拠点」の判断について、「例えば、売上高で全体の95%に入らないような連結子会社は僅少なものとして、評価の対象からはずすといった取扱いが考えられる」などと説明する。

 (注)で示されている明確化、簡素化の内容はいずれも「企業の創意工夫を活かした監査人の対応の確保」「内部統制報告制度の効率的な運用手法を確立するための見直し」という今回の見直しの基本方針に沿った内容。見直しは中堅・中小の上場企業向けの簡素化、明確化も含み、すでに公表されている「内部統制報告制度に関する事例集」(仮称)に加えて、実施基準でも(注)として説明を加えている。例えば、業務プロセスにおける内部統制の運用状況評価の実施方法では「事業規模が小規模で、比較的簡素な構造を有している組織等の運用状況の評価」について、「特に、それぞれの組織の状況等に応じ、評価方法を工夫して効率的に実施することができる」として、

 「例えば、適切な全社的な内部統制が整備及び運用されていることを前提に、一律に、通期において業務プロセスに係る内部統制については運用状況の評価が求められるものではないこと、また、組織内における各階層(例えば、部長レベル、担当者レベル等)において必ず評価が求められるものではないことに留意する」

 などとしている。

 そのほかITを利用した内部統制の評価では、(注)で「過年度の評価結果を継続して利用できる場合、一定の複数会計期間に一度の頻度で運用状況のテストを実施する方法も含まれる」と追記し、「ローテーションによる運用状況のテストが可能なことをさらに明確にした」(金融庁)。

「重要な欠陥」をどう言い換える?

 今回の会合で時間をかけて議論されたのは「重要な欠陥」の言い換えについてだった。内部統制の不備を意味する重要な欠陥は、「企業自体に欠陥があるとの誤解を招く恐れがある」との指摘が企業側からあり、見直しが検討されていた。

 言い換える用語としてはこれまで「開示すべき重要な不備」と「重要な要改善事項」が挙がっていたが、今回の部会の議論では「開示すべき重要な不備」が優勢だった。金融庁が今回公表した基準や実施基準の改訂案の中でも「開示すべき重要な不備」を採用。加えて、部会の委員の間からも「投資家に開示すべき不備があることを強調する意味で、賛成」などの声が多かった。部会長の八田進二氏も賛意を示した。

 金融庁の企業開示課長 古澤知之氏は開示すべき重要な不備について、「重要な欠陥とレベルは変えない、定義も変えない。目線も同じ」と説明した。現行の基準では重要な欠陥の定義を「財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高い内部統制の不備をいう」としていて、すでに「不備」という用語が含まれている。次回(12月10日予定)の部会で示される予定の公開草案では用語が決定される見通しだ。

関連リンク

(IFRSフォーラム 垣内郁栄)

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