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「未認識項目」をモニタリングし意思決定に生かす

IFRSの退職給付を統合管理、IICパートナーズとオラクルが協業

2011/05/24

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 IICパートナーズと日本オラクルは5月24日、グループ企業向けの退職給付制度の統合管理業務で協業したと発表した。オラクルの人事・給与のERPパッケージと、IICパートナーズのコンサルティングサービスを組み合わせることで、IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)における退職給付の管理を一元化する。

 IFRSの退職給付(退職年金や退職一時金)では、日本基準における「未認識項目」(過去勤務債務、数理計算上の差異、会計基準変更時差異)も即時にバランスシートに計上する方向で議論が進んでいる(IAS第19号の改訂)。日本基準からIFRSに会計基準を変更した際に、この未認識項目が財務諸表に影響を与えることを心配する声は大きい。IICパートナーズのシニアコンサルタント 渡部善平氏は、今回の協業で提供するサービスを利用することで「未認識項目をモニタリングし、影響が出る前に意思決定を迅速に行える」と説明した。

iicoracle02.jpg IICパートナーズのシニアコンサルタント 渡部善平氏
iicoracle01.jpg 日本オラクルのアプリケーション事業統括本部 ディレクター 桜本利幸氏

 協業して提供するサービスはオラクルのERPパッケージ「Oracle E-Business Suite」「PeopleSoft Enterprise」を活用し、従業員や退職者の情報を登録・管理する。このデータをIICパートナーズ側と連携させて、運用のための金利計算などを実施する。ERPを使うことで本社だけでなくグループ全体で退職給付の情報を統合管理できる。

 渡部氏は「退職給付債務も年金資金も金利状況や資本市場に応じてリアルタイムで管理する必要がある」と指摘。ERPを使うことで退職給付の情報をリアルタイムに管理し、本社が迅速に意思決定できるようになるとしている。

 日本オラクルのアプリケーション事業統括本部 ビジネス推進本部 ディレクター 桜本利幸氏は退職給付管理について「グループ全体の従業員、退職者の情報を一元管理するのが理想」と指摘。特にグループ企業内異動などの履歴を正確に蓄積する機能が重要になるとして、「オラクルのERPは過去の退職者データを永久に保持し、退職後の情報も履歴管理が可能だ」と話した。

 両社が提供する退職給付の統合管理サービスはERPのライセンスや退職給付のコンサルティングサービスなどを含んだ最小構成価格で2000万円から。両社の既存顧客でIFRS適用を検討している企業を中心に拡販する。

(IFRSフォーラム 垣内郁栄)

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