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[Analysis]

国際会計基準はこの6〜7月に注目だ

2009/06/01

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 この6月から7月は日本の企業会計の歴史において、とても重要な決定が行われるかもしれない。それは国際会計基準(国際財務報告基準、IFRS)のアドプション(採用)に向けたロードマップが本決まりする可能性が高いからだ。

 30社以上のITベンダやコンサルティングファームが参加する業界団体「IFRSコンソーシアム」が5月28日に開催したセミナーで講演した、監査法人トーマツのIFRSアドバイザリーグループリーダー パートナーの手塚正彦氏は「我々は2015年3月期から強制適用と考えている」と話し、早期に対応準備を始める必要性を説明した。

 金融庁の企業会計審議会・企画調整部会が2月4日に発表した「我が国における国際会計基準の取扱いについて」(中間報告・案)では、すべての上場企業を対象にIFRSを強制適用するかどうかの判断を2012年に行うとしている(参照記事:国際会計基準、2009年度から任意適用可能に)。

 強制適用する場合は、2012年から少なくとも3年をおいた上で適用するとしていて、最短では2015年と見られる(任意適用は2010年3月期からを提言)。しかし、この2015年は2015年度を指すのか、2015年3月期を指すのか不明だ。6〜7月にも開催される企画調整部会で最終報告が示され、そこでアダプションへのロードマップがより鮮明になると見られる。

 IFRSを適用する場合は並行開示として「過去3年分のバランスシート(IFRSでは財政状態計算書)と2年分の損益計算書(IFRSでは包括利益計算書)の開示が求められる」(同セミナーで講演した日立コンサルティング シニアディレクターの伊藤雅彦氏)といい、強制適用が2015年度からか、2015年3月期からかは準備する企業にとって大きな違いとなる。

 トーマツの手塚氏が2015年3月期からの強制適用を説くのは、米国が一部企業対象に2014年からIFRS適用を義務化するロードマップを示しているからだ。2015年3月期からの強制適用であれば、3月期決算企業の場合、実際にIFRS対象年度が始まるのは2014年4月から。2014年1月から適用を始める米国とのずれは3カ月となる。

 しかし、2015年度(2016年3月期)からの適用となれば1年以上遅れることになる。手塚氏は「米国から1年遅れることはないと判断している」という。

 手塚氏は「アドプションへの流れは、(1990年代後半からの)会計ビッグバンに始まる日本の会計基準の国際化の集大成といえる」と説明する。「会計ビッグバンを思い起こせばIFRSのアダプションが単なる会計の話ではないことが分かる」とも指摘し、IFRSが企業経営に与える影響の大きさを強調。

 ただ、同時に財務会計に公正価値の考えを大幅に導入するなど日本企業へのインパクトが大きいのは事実で、「IFRSの思想は日本の伝統的な経営者には受け入れがたい」(手塚氏)とも考えている。

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