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ノキア シーメンス ネットワークス ソリューションマネージャー 柳橋 達也氏 |
ブロードバンドサービスの普及・拡大を背景に固定通信、移動通信を問わず、トラフィックが急増しています。例えば固定通信では、光アクセス網を介して大容量のアプリケーションをやり取りする企業や家庭が増えています。また、移動通信ではより高速なLTEサービスが本格的に始まろうとしており、通信事業者は中継局を結ぶ大容量のデータ伝送をいかに効率よく、低コストで実現するかが課題になっています。
こうした大容量伝送の要求に応える光ネットワーク技術として知られているのがWDM(波長分割多重)です。WDMは、1本の光ファイバ上に波長の異なる複数の光信号を多重化して大容量データを伝送します。既存の光ネットワークを有効活用してコストを抑えながら、大容量トラフィックに柔軟に対応でき、すでに多くの通信事業者に導入されています。
ノキア シーメンス ネットワークス(以下、NSN)では、旧シーメンス時代からWDM/DWDMの開発、生産に取り組み、1998年に40GbpsのDWDMデモンストレーションを世界に先駆けて実施。当社のDWDM装置「hiT 7300」は40Gbpsの光信号を最大80チャネル多重化でき、ロングホール(長距離伝送)市場の40Gbpsトランスポンダ出荷台数において世界トップクラスのシェアを獲得しています。
これまでDWDMは、適用領域であるメトロ、ロングホール市場のそれぞれに特化した機能を提供する製品が一般的でした。ノード間をポイント・ツー・ポイントで伝送するロングホールでは、10Gbpsや40Gbpsの光信号を数10波多重化することで伝送容量を飛躍的に拡大できます。近年は、ブロードバンドアクセスや高速モバイル通信サービスの拡大に伴い、WDMはメトロでの利用が急速に広がっています。
hiT 7300は、各種モジュールを組み合わせることでメトロからロングホールまで単一のプラットフォームで対応するマルチリーチが特長です。通信事業者は設備投資のムダをなくすだけでなく、同一の管理手法でメトロ、ロングホールの双方を運用できる利点があります。
光ネットワーク技術の革新が進む中、当社では新技術の開発に取り組み、最先端の機能を製品に実装するなど、DWDMシステムの進化に貢献しています。例えば、光ネットワークの再構成が可能な光信号の挿入・分岐多重化技術であるROADM(Re-configurable Optical Add Drop Multiplexer)もその1つです。従来、光ネットワークの経路を再構成する場合、現場でDWDM装置の設定変更を行う作業が必要でした。ROADM機能を製品に実装することで、通信事業者はリモート操作で経路を再構成できます。この結果、手間と時間のかかる現場作業を減らし、運用コストの削減も可能です。
また、hiT 7300はITU-T(国際電気通信連合-電気通信標準化部門)で現在標準化が進められているOTN(Optical Transport Network)スイッチング技術に対応。メトロなどで利用されるイーサネットとWDMの親和性の問題を解決しています。OTNスイッチング技術は、ODU(Optical Data Unit)と呼ばれるレイヤでイーサネットを多重化し、WDM装置に直収できます。ネットワーク構成がシンプルになるうえ、ルータやスイッチにPOS(Packet over SONET)などの高価なインターフェイスが不要になり、設備投資を抑えられます。現在、40Gbpsのイーサネットに対応するODU-3が規定され、当社も製品の開発、実装に取り組んでいるところです。
運用コスト削減に役立つプランニングツール「TransNet」 |
NSNのDWDMソリューションの特徴は、hiT 7300システムのみならず、プランニングツール「TransNet」の提供を含め、トータルに光ネットワークをサポートしていることです。これまで、通信事業者は伝送路の帯域拡張の要求に対し、どのような設備がどこに必要となるのか、何波まで多重できるかといったWDMネットワーク特有のプランニングに多くの時間と労力を費やしていました。また、このプランニングでは、一般に設計マージンを多めに取る傾向にあるため、シミュレーション結果は必ずしもコスト的に、あるいはオプティカルネットワークのパフォーマンス的に最適化されたものとは限りませんでした。
TransNetは、通信事業者が保有する光ネットワークの構成や光ファイバの特性など各種入力データに基づき、最適なネットワーク設計や機器構成などのシミュレーションを自動化します。これにより、余分なマージンを取ることなく、既存の光ネットワークを最大限に有効活用することも可能です。
また、TransNetは調達に必要な機器のリストを一覧表示できます。そのリストに応じて当社工場でDWDM装置を組み立て、出力されたコンフィグレーション情報を設定、動作を検証した後、出荷しています。通信事業者はノードにDWDM装置を設置して光ファイバを接続するだけですむなど現場作業を大幅に軽減でき、光ネットワークの早期開通やアップグレードの要求に対応します。
DWDMソリューションは光ネットワークの導入・運用コストを低減する経済性はもちろん、高い拡張性や堅牢性を備えています。hiT 7300のモジュールは、2.5Gbps、10Gbps、40Gbps対応のSONET/SDH、10Gイーサネット、SAN、TDMなどのアプリケーションをサポート。さらに、当社では40Gbpsに加え、標準化が進む100Gbpsを見据えた新たな変調方式(CP-QPSK)による実証実験を既に実施しています。新変調方式によるネットワークプランニングを行うことで、将来的に100Gbpsを収容する際にも、40Gbps用のプランニング結果をそのまま適用することができ、スムーズな移行を可能にします。
NSNでは、メトロからロングホールまで世界の通信市場で豊富な導入実績を持つhiT 7300及びTransNetの優位性を日本の通信事業者に提案。高効率のDWDMソリューションを通じ、光ネットワークの革新を支援していきます。
プランニングの自動化やコストの最適化をサポート |
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提供:ノキア シーメンス ネットワークス株式会社
企画:アイティメディア営業企画
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2010年6月30日
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