空転の48時間は何だったのか――導入6時間で一発解決
アプリケーション品質を「丸見え」にした
性能監視ソリューションとサムライズ
2012/2/29
Webアプリケーションの性能、特にエンドユーザー向けサービスの性能は、ビジネスの死活問題になりつつある。これまであまり有効な手立てがなかったWebアプリケーションのパフォーマンスを「丸見え」にし、問題解決を支援する性能監視ソリューション「CA APM」の真価を紹介する。
システムを活用して業務やビジネスを行う場面が日増しに増えている。中でも効率は重要な尺度で、そのパフォーマンスはユーザーの大きな関心事だ。特に、昨今主流のWebアプリケーションでは、いつもより動きが遅いだけでもユーザーは精神的なストレスを受け、ただちに声を上げる。しかし、その報告を受ける側の情報システム部門や運用担当事業者は、これまでなかなかうまく対応できなかった。
その理由と解決方法とは何か。Webアプリケーションの性能監視分野に詳しいサムライズに話を聞いた。
これまでの性能監視アプローチでは解決できない
Webアプリの性能問題
なぜWebアプリケーションの性能問題は対処が難しいのか。サムライズ Wily APM ビジネスユニット ビジネスユニット マネージャー 富田誠氏は次のように語る。
「どの企業もシステム監視ツールを導入し、サーバやネットワーク、ルータやスイッチなどといった単位で日々モニタリングを行っています。しかし、“遅い”といわれて調査する案件の中には、そのいずれにも問題と思われる兆候がまったく現れないケースが多々あり、“何とかしろ”といわれても、“どうしていいか分からない”というのが実情なのです」
だがシステムの遅滞はすなわち業務の遅滞であり、場合によっては多大な機会損失を招く。何とかしなければならない。
そこでよく取られた対応策は、すでに解散したシステム開発チームのエース級人材、他のシステム開発にアサインされているエース級人材など、問題解決に貢献しそうな関係者をとにかく全員集めるというものだ。そうして、OS、アプリケーションサーバ、データベース、ネットワーク機器などのログをかき集め、互いを突き合わせながら、あれかこれかと皆で原因を推測する。考えられる原因を片っ端から列挙して、一つ一つしらみつぶし的に当たっていくのだ。
しかし、いつも出力しているログから分かることには自ずと限界があり、問題を解決できない場合も多い。そこで、さらに詳細に調査すべくメソッドレベルでのログ出力を試みる。そうして時間と工数をかけてソースコードを修正するも、実行オーバヘッドが増大しただけで、結局詳細は判明しない。時間だけがいたずらに経過し、そうこうするうちにまたパフォーマンス遅滞の問題が再発……と、堂々めぐりが続く。
これでは埒が明かないと、大規模な再現実験を検討する企業もある。しかし、開発環境はすでにテスト中の次期システムが占有していて利用できるめどが立たなかったり、利用できたとしても現象が再現しなかったり、と、ここでもさまざまな壁に阻まれる。これらの事態は、サムライズに相談を持ちかける企業の多くが経験していることだという。
知るべきはサービスや業務単位でのアプリケーション品質
トラブルに悩まされるのは、性能監視に対して、サーバ、ネットワークなどシステムコンポーネント単位で区切るという旧来のアプローチを取っているからだ。
しかし、ユーザーが体感するパフォーマンスを把握するには、アプリケーション全体を包括的に監視する必要がある。そうでなければ問題の核心は見えない。見えない問題は解決できない。まさにこれに対処するために存在する性能監視ソリューションが「CA APM」だと富田氏は語る。
この製品は、本番環境で提供しているURLなどのサービスや業務単位でのユーザー品質、つまりパフォーマンスを非常に低い負荷で計測、把握でき、その結果を利用して業務の特性に即した応答時間などのサービスレベルを規定できる点に大きな特徴がある。また、ビジネスインパクトに応じて発生インシデントに優先度を付けることができるため、常に重要な問題から迅速に対処することが可能になる。
図1 CA APMの製品構成と特徴(クリックすると拡大します) |
さらに、開発・テストプロセスで利用することによって、アプリケーションの品質を詳細に可視化し、さまざまな切り口でリアルタイムにパフォーマンスを把握できる。これを基にボトルネックを検出してソースコードを修正するまでの時間を大幅に短縮し、本番業務に耐えられる品質の高いアプリケーションを作り上げることができる。
その意味で、CA APMはWebアプリケーションのパフォーマンス低下問題を抱える企業に対し、サムライズが自信を持って勧めるソリューションであるという。
CA APMで豊富な実績を誇るサムライズ
サムライズは、前身組織のアイ・ティ・フロンティア ソフトウェアプロダクト事業部であった時代から、この製品の日本における総販売代理店を務めてきた。ソリューションの提供実績は10年に上る。
CA Technologiesのソリューションパートナーとしての活躍を含め、CA APMに関して、800ライセンス以上の製品導入とその運用を行ってきた。この経験により、同社スタッフの製品活用スキルやWebアプリケーションパフォーマンス問題解決に関するナレッジは極めて豊富で、企業の直面した難局の突破に力を尽くしている。
ゴルフダイジェスト・オンラインを見舞った大トラブル
ゴルフダイジェスト・オンライン(以下、GDO)のケースもまさにそうだった。
GDOは、日本最大級のサイトを運営しており、ゴルフ用品のインターネット販売をはじめとしたリテールビジネス、ゴルフ場予約やゴルフ場の営業サポートを行うゴルフ場ビジネス、ゴルフ関連ニュースを掲載するメディアビジネスなど、幅広く展開している。月間1.5億ページビュー、会員数は約200万人を誇り、現在も毎月2万人ペースで新規会員が増加中。ゴルフファンが知りたい情報を満載した大規模サイトだ。
トラブルのきっかけは2011年のサイト全面リニューアルだった。ユーザーの利便性を高めるべくサイト構成およびデザインを一新したのだが、大々的にリニューアルキャンペーンを打ったこともあり、予想をはるかに超えてアクセスが集中してしまった。そのため、主要な機能がほとんど動作しなくなってしまった。
それがオープン初日の水曜日午前中のことだ。GDOのビジネス基盤グループ システム部部長の渡邊信之氏によると、GDOの情報システム部門では、さまざまなシステムログを基に、考えられる限りの原因を列挙していった。OS、ネットワーク、データベースアクセスなど、30以上の検討項目数を挙げ、それらを片端から当たって調査し、解決を期待しながら対応を講じていった。
しかし、その全てを行った後も、サイトの状況は大して改善しなかった。いたずらに時間だけが過ぎていった。
金曜日。すでにトラブル発生から48時間が経っていた。16名の情報システム部門スタッフは不眠不休状態。経営トップは、午後6時までに事態が解決しなければサイトを全面停止することを決断していた。期限の時刻が迫る中で、ひらめいたのがCA APMだった。2010年春、将来的な活用にとサムライズを通じて試験導入していたのだが、これで問題が特定できるかもしれないと、サイトに適用してみることにしたのだ。
48時間かかっても原因不明だったトラブルが
製品導入後6時間で完全復旧
ただちにサムライズとCA TechnologiesがGDOへ駆け付け、あいさつもそこそこに製品導入を開始した。
GDOのサイトは、Javaアプリケーションと.Netアプリケーションなどが混在している。ポータルサイトとして多種多様な外部サイトと密接に連携する必要があり、プラットフォームを限定した状態ではその機能が果たせないからだ。
その両方に対して、サムライズの技術担当者が「プローブ」と呼ばれるエージェントを、実行中のWebアプリケーションやアプリケーションサーバ内のさまざまなコンポーネントに対して差し込み、性能に関する測定値を収集し、可視化可能な画面で見ていく。その結果、数時間も経たないうちに原因を特定できた。
分かってみれば非常に単純なことだった。問題は、リニューアルを機に導入したECサイトパッケージの設定にあったのだ。そのパッケージに、OSの設定を上書きしてしまう集中抑制機能があり、それが作動するようになっていた。ブラックボックスになりがちなJavaアプリケーションのソースコードにエージェントを差し込むことのできるCA APMだから、その事実をつかむことが可能だった。
いざ設定を変更してみると事態はうそのように収束し、製品導入から6時間後には完全復旧のメドが立った。サイト全面停止という最悪の事態を免れたのである。
CA APM活用で強靭なポータルを目指せる体制に
この出来事を契機として、GDOではCA APMの積極的な活用を決定した。ECサイトを含むポータルサイトビジネスにおいては、サイトの安定的な性能維持こそが収益維持のカギであると経営トップも認識、投資を了承したのである。
2012年に入り、GDOの情報システム部門は、製品の持つ多彩な機能を検証しながら、本格的な性能監視体制を整備し始めている。トップページなど主要なページに設定されたレスポンススピードは1秒未満。目下この達成を目標に、サムライズの技術支援の下、計測調整を進めているところだ。サムライズの富田氏は同社における導入ステータスを次のように語る。
図2 継続的な改善でサービスレベルの向上へ |
「GDO様は、CA APMでアプリケーション性能を可視化することで、問題を予兆の段階で発見して対策が打てるという点に気付かれ、それを最終的な目標としています。自ら積極的に“こういうデータが見たい”と計測の角度を探っておられ、また当社にもよく質問されるなど、製品習熟に非常に熱心です。またレポートも、現場エンジニア向け、マネージャ向け、経営者向けと、視点の異なる3種類を用意しようと考えられており、現在、その作成支援も行っているところです。これから本格的に使い込んでいくことで、サイトの成長、会員数の増加に対処しつつ、性能についても一切妥協しない強靭なポータルサイトを実現されていくと思います」
サムライズでは、CA APM活用に関して、導入前のシステム性能モニタリングサービスから、導入時の導入支援サービス、プロダクトトレーニングサービス、ルールブック作成支援サービス、導入後のプロダクトサポートサービス、ソフトウェアQA対応サービス、コンサルティングサービス、運用までを含んだカスタマイズサービスなど、包括的なサービスを提供している。Webアプリケーションの性能に不安を抱えているという企業は、一度相談してみてはいかがだろう。
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提供:株式会社サムライズ
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2012年3月28日
ホワイトペーパーダウンロード |
インターネットサイトやイントラネットサイトを問わず、エンドユーザーにとって特定画面の動作や表示時間の遅さはストレスになる。 特にインターネットサイトの場合、悠長なことをしていては、そのまま機会損失になりかねない。鍵となるのは、迅速なアプリケーション性能の可視化だ。 |