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東洋大学導入事例

仮想化サーバとしてCisco UCSを採用、
700台のVDI基盤として追加した理由

2012/10/01

125年の歴史を誇る東洋大学。今年の箱根駅伝で優勝した記憶も新しい国内有数の私大だ。同校では、近年学内事務システムを一新するプロジェクトが動いていた。その背景には、10年前に導入した大学向け統合パッケージによるベンダロックインからの脱却があった。従って、刷新の際にはベンダロックインを避けるためにマルチベンダ方式を採用。各種アプリケーションを支えるインフラ部分としては、シスコシステムズの「Unified Computing System(UCS)」を採用したと言う。その背景を担当者に聞いた。

ベンダロックインの落とし穴にはまった旧事務システム

東洋大学
2012年で創立125周年を迎える東洋大学。
白山キャンパスでは125周年に向けて新校舎や記念研究棟などが工事中だ

 東京都文京区に本部を構える東洋大学は、2012年で創立125周年を迎えた日本でも屈指の歴史を誇る私立大学。現在では本部のある白山キャンパスをはじめ、関東一円に5つのキャンパスを構え、約3万人の学生が大学生活を送っている。

 そんな同校で近年、学内事務システムの一大刷新プロジェクトが断行された。システム刷新の背景について、東洋大学 情報システム課 課長 青山敦史氏は次のように説明する。

青山氏
東洋大学 情報システム課
課長 青山敦史氏

 「2002年に、大学業務向けの統合パッケージ製品をハードウェアとともに一括導入したのですが、導入時にカスタマイズを多く施したため、パッケージのバージョンアップが事実上できない状態に陥っていました。それに引きずられてミドルウェアとハードウェアのバージョンアップも見送られ、やむなく老朽化したハードウェアを運用し続けてきました」

 こうした状況を打破するため、東洋大学は2009年に次期事務システムの検討プロジェクトを立ち上げる。そこでは、過去のベンダロックインによる苦い経験を繰り返さないために、次期システムは統合パッケージではなく、各業務ごとに個別にシステムを構築する“マルチベンダ方式でシステムを調達する”という基本方針が立てられた。しかし、マルチベンダ方式にも欠点はある。アプリケーションはともかく、ハードウェアまで各システムごとに個別調達してしまうと、インフラの運用管理が煩雑になってしまう上に、コスト効率も悪くなってしまう。

 そこで同校が採用したのが、いわゆる「プライベートクラウド」に近いアプローチだ。OSから上のレイヤ、つまりミドルウェアとアプリケーションに関しては、各業務部門がそれぞれのニーズに最適と思われるものを個別に調達・運用する。しかし、ハードウェアとOSに関しては、サーバ仮想化技術を駆使してインフラを一元化し、情報システム部門が一括管理する。こうしたやり方なら、インフラの調達や運用管理を極力効率化しながら、アプリケーションのレイヤでは業務部門ごとの要件を満たすことができる。青山氏は、こうしたアーキテクチャを採用するに至った経緯について、次のように補足する。

 「運用管理の省力化や、限られた要員体制の中でシステムの運用管理をしていくためには、サーバ集約が必要でした」

新事務システムの仮想化基盤サーバとして
「Cisco UCS」を採用

 以上のような方針に則り、2010年5月からインフラ構築ベンダの選定が始まった。

 具体的には、大学側からベンダに対してRFIを提示して、RFPを作成。複数社のプレゼンを経て、ハード、ソフト、導入ベンダの構築体制、フォロー体制などを総合的に評価したと言う。選考を重ねた結果、Cisco UCSでの構成と従来型のブレードでの構成を提案した2社に絞り込まれた。

藤原氏
東洋大学 情報システム部 情報システム課 主任
藤原喜仁氏

 シスコでは、大学関係者向けに定期的に大学分科会を開催し、同社のソリューション紹介を行っている。同プロジェクトがスタートする前の2009年の分科会の席上でリリースされたばかりのCisco UCSの説明を受けた東洋大学 情報システム部 情報システム課 主任 藤原喜仁氏は、直感的に「これは良い」と感じたという。

 「非常にシンプルなアーキテクチャで、背面の配線もすっきりしている。一技術者として、とても惹かれるものがありました。しかしそれにも増して、基本的なスペックが非常に高く、仮想化を前提とした作りになっているので、より多くの仮想サーバを効率よく集約できるはずだと感じました。そして、1つのコントローラで複数のブレードシャーシを管理できるという管理性の高さが魅力的です」

 選考時点ではまだ採用事例が少なかったCisco UCSを導入することに対して部内で議論が交わされる中、藤原氏は粘り強く説得に当たった。

 「決して目新しい技術に惹かれただけでなく、基本的なアーキテクチャや性能に優れているからこそ、Cisco UCSを推しました。また当時であっても、大規模ISPでの採用例や、大学での採用例も出てきていたので、実績が無いわけではありませんでした。唯一、製品が今後も安定的に供給されるかどうかだけが心配でしたが、これもシスコの方々とじっくり話し合った結果、本気で長期的に取り組む覚悟があることを知りました」(藤原氏)

 こうして、最終的に同校は次期事務システムのサーバ基盤として、Cisco UCSでの構成を提案したCTC(伊藤忠テクノソリューションズ)を選定することになった。

 また、シスコがストレージベンダや仮想化ソフトウェアベンダと密接に連携するオープンな戦略をとり、製品の組み合わせを事前検証して動作を保証していた点も、Cisco UCS採用の大きな決め手になったという。ちなみに、今回のシステム刷新に当たって同校が選択したストレージ装置はEMC製品、仮想化ソフトウェアは「VMware vSphere」が採用された。青山氏は、当時行われた検討の過程を振り返って、次のように述べる。

 「検討を始めた当初は、インフラをマルチベンダで構成することへの不安も確かにありました。しかし、構築パートナーも含めた各ベンダ間の連携が非常に強いことを知り、そうした不安も最終的には解消されました」

サービスプロファイル機能のおかげで
ハード障害から迅速に復旧

 こうして2010年、Cisco UCSによるサーバ基盤を中核に据えた新事務システムの構築がスタートした。実際に導入されたサーバ製品は、ブレードシャーシ「Cisco UCS 5108」が3台に、ブレードサーバ「Cisco UCS B200 M2」を12基(うち2基は予備用)格納し、その上で計25台の仮想サーバを稼働させるという構成が採用された。

 導入・設置作業はスムーズに進み、2010年12月には早くも入試システムとが本番稼働を開始。続いて人事システムが2011年4月から、卒業生システムが同12月、会計システムも2012年5月に稼働を開始した。これらに加えて2012年9月には学務システムも稼働を始め、プロジェクトで当初予定していたシステムは全て構築された。

 本番運用を開始して約1年半以上が経つが、その間ハードウェアのトラブルはほとんどなく、極めて安定的に稼働しているという。ただし1度だけ、ブレードサーバの障害が発生した。青山氏は、そのときのことを次のように振り返る。

 「入試システムが稼働するブレードに障害が発生したのですが、VMware HAの仕組みが動作して、何の問題もなく縮退運転に移行できました。さらに、UCS Managerの簡単な手順に従ってサービスプロファイルを予備ブレードに読み込むだけで、迅速に本番機として立ち上げることができました。その間、エンドユーザーは障害が起こったことに一切気が付いていないはずです。入試システムという重要なシステムが稼働していただけに、これが物理サーバだったら大変なことになっていたかもしれません。このときは、Cisco UCSを選んでおいて本当に良かったと思いました」

教育用のシンクライアント端末700台のVDI化を決定

 こうしたCisco UCSの安定した運用実績とパフォーマンスを実感した同校では、今後、事務システム以外の周辺システムもCisco UCSをシステム構築の際の検討基準にしていくという。すでにサーバだけでなく、クライアント環境もCisco UCS上で稼働させるプロジェクトも進行している。

青山氏
東洋大学 情報システム部 情報システム課
松島功樹氏

 同校では2008年、「パソコン教室」で利用していた主要なPC端末を、ネットブート方式のシンクライアント環境に移行した。これは、PC端末の運用管理の負担を減らすための措置であり、その意味では一定の成果を上げたものの、徐々に課題も浮かび上がってきていた。このシンクライアント環境の運用管理を担当する同校 情報システム部 情報システム課 松島功樹氏は、次のように説明する。

 「運用を続けていくうち、シンクライアント端末の製造時期によって、異なるクライアント環境のイメージを複数用意して管理する必要が出てきました。それにも増して問題だったのが、ブートにかかる時間です。授業では学生が一斉に端末を立ち上げるため、ネットワークに一挙に高い負荷がかかり、ブートが完了するまで時間がかかってしまいます。この問題が年々顕著になってきており、教員や学生から改善を求める声が挙がっていました」

 そこで、こうした問題を解決するために同校が目を付けたのが、近年導入例が増えてきた仮想デスクトップ、いわゆる「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)」のソリューションだ。VDIでは、クライアント環境はすべてサーバ上の仮想マシンとして稼働させるため、ネットブート方式のシンクライアントと比べ、ブート時にネットワークインフラにかかる負荷は少なくて済む。

 しかし、現在約700台あるシンクライアント環境すべてを、一挙にVDIに移行するのはリスクが高すぎる。そこで同校では2011年夏、授業ではなく自習用に用意されている教室に設置されているシンクライアント端末の1/4を、試験的にVDI環境に移行した。

 その後、約1年間の試験運用を続けた結果、細かなトラブルは幾つかあったものの、VDIが持つさまざまなメリットが高く評価され、最終的にはすべてのシンクライアント端末をVDIに移行することが決まった。

仮想化基盤の安定性からVDI基盤にもCisco UCSを採用

 しかし、限られた規模の試験環境とは異なり、700台分のVDI環境となると、自ずとインフラに求められる性能や可用性のハードルも高くなる。そこで白羽の矢が立てられたのが、既に見た通り事務システムで着実に実績を積み重ねていたCisco UCSだった。

 「既にCisco UCSがかなり安定して稼働しており、またせっかく習得した運用スキルを有効活用したいという思いもあり、Cisco UCSを新たなVDI環境のサーバ基盤に採用することにしました。また同じ理由から、仮想化ソフトウェアも事務システムと同じヴイエムウェア製のVMware Viewを採用しました」(藤原氏)

UCS
東洋大学に導入されたCisco UCSの様子。
導入後8カ月で問題はほとんど起きていないという

 さらにストレージ製品に関しても、VDIソリューションで高い実績があり、フラッシュメモリのキャッシュ機能など、VDIのパフォーマンス向上に有利なアーキテクチャを備えるEMC製品が採用された。かくして事務システムと同様、VDI導入プロジェクトにおいても「VMware、Cisco、EMCを組み合わせたソリューション」となった。

 さらにもう1点、特筆すべき点として挙げられるのが、シンクライアント端末としてシスコの「VXC(Virtualization Experience Client) 2200シリーズ」が採用されたことだ。この製品を採用した理由について、松島氏は次にように説明する。

 「試験導入したシンクライアント端末には専用OSが入っていたのですが、バグやバージョン違いにまつわるトラブルに悩まされました。その点、シスコのVXCには最小限のソフトウェアしか搭載されていないため、ソフトウェア関連のトラブルがかなり減るのではないかという期待がありました。また、すべての端末をWebの管理コンソールから一括管理できる点も魅力的でした。トラブルがあったときに迅速に現場に駆け付けて調査するには、物理的に行くだけでも時間がかかります。しかし、リモートから端末の状態を把握できれば、現場のスタッフに的確に指示を出すことができるので、現場へ行かずともその場で対応してもらえるようになります。このような初動時間の短縮、リモートによる状況把握も、積み重ねると大きな効果です」

 また、VXCが備える「PoE(Power over Ethernet)」の機能にも大いに期待していると言う。現在、パソコン教室のシンクライアント端末の電源シャットダウンは、スタッフが人手で1台1台行っている。しかし、Cisco EnergyWiseテクノロジーを活用して、VXCのPoE機能をCatalystスイッチから集中管理すれば、使われていない間は自動的に電源供給を停止することができ、こうした手間や時間を大幅に減らすことができる。

 同校では現在、このVDI環境の構築作業を順次進めており、2013年4月からの本番稼働を目指している。これに加え、学内の事務用PC約700台のVDI移行も計画しており、最終的には学内に存在するクライアント環境すべてを、Cisco UCS上のVDI環境に移行することを視野に入れている。

VXC
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提供:シスコシステムズ合同会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2012年10月31日

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