仮想化の効果はコア数が多いほど高まる 〜DELL PowerEdge R900 |
仮想化ソフトウェアの普及によって、物理サーバの統合、アプリケーションライフサイクルの長期化、サーバ展開の迅速化、そしてサーバの冗長化などを実現する企業が増えてきた。しかし、仮想化システム導入の効果を高めるには、仮想化ソフトウェアの機能だけではなく、適したプラットフォームの採用が重要なポイントとなる。ここでは、デルが実施したベンチマークテストの結果を踏まえながら、仮想化プラットフォームとして適切なサーバがどのようなものかを見ていこう。 |
DELL PowerEdge R900 |
「DELL PowerEdge R900」は、インテルXeonプロセッサーを搭載する4Uラックマウントサーバだ。プロセッサー・ソケット×4を備えるハイエンド・モデルであり、特に仮想化の利用を想定した「"Virtualization-Optimization"(仮想化に最適化された)サーバ」と位置付けられている。元々は2007年にクアッドコア・プロセッサー×4ソケット構成で発表されたモデルだが、2008年9月に新たにヘキサコア(6コア)のXeonプロセッサー 7400番台をサポートしたことで、最大で24コアまで拡張できるようになった。また多数の仮想マシンの稼働や高負荷のワークロードを支える上で重要となるメモリ搭載量も十分な余裕を持たせてあり、FB-DIMMスロットを32本備える。例えば市場に流通している安価な1GB/2GBのDIMMを大量に積んでコストパフォーマンスの良いメモリ構成をとることも可能であるし、また8GBのDIMMを使用すれば最大メモリ容量は256GBに達し、ひとつのマザーボード上で超大容量のメモリを搭載することも可能である。もちろん優れた可用性を提供するために、PowerEdge R900のメモリ機能は、ECC (Error Check and Correct)、SDDC (Single Device Data Correction、旧名称:チップキル) メモリミラーリング、メモリスペアリングのすべてに対応している。また、仮想化の導入をシンプルにするために、VMware ESX3iなどのエンベデッド・ハイパーバイザの組み込みもオプションで利用可能だ。
仮想化によるサーバ統合を行う場合、統合先となる新しいサーバは、複数のサーバの稼働を支えるための十分なキャパシティを必要とするのはもちろん、可用性をきちんと担保してリスクを回避して構成することが必要だ。仮想化を活用したサーバ統合は運用管理コストの削減に大きな効果を発揮するが、単純にプラットフォームを選択するのではなく、拡張性や可用性、想定パフォーマンス/統合率などをより確実に考慮して、今後の本格的な仮想化の導入に備えたい。デルでは、仮想化サーバに求められる能力を明確化するために有益なベンチマークテストを行い、その結果をホワイトペーパーとして公表しているので、ここでその内容を簡単に紹介しよう。
やはりコア数が多いほうが統合効果も高まる | ||
ベンチマークテストでは、仮想化ソフトウェアとしてMicrosoft Hyper-Vを使用し、6コア・プロセッサーを搭載したDELL PowerEdge R900と、従来の4コア・プロセッサーを搭載した他社製サーバ(以後、A社)とでパフォーマンス比較を行っている。6コア・プロセッサーと4コア・プロセッサーの比較であり、コア数が異なることから、総合的な処理性能は6コア・プロセッサーを搭載したDELL PowerEdge R900のほうが高いことは当然なのだが、単純な処理性能の高低を比較するのが目的ではない。
プロセッサーのコア数が異なっているほか、FSBの帯域周波数が微妙に異なっているが、それ以外はメモリ搭載量やハードディスクの回転速度や搭載台数などの条件を同一にそろえた上での比較が行われている。テスト方法は、サーバ上のCPU使用率の合計が80%に達するまで仮想マシンを追加していき、その状態で最終的に稼働できた仮想マシンの数と、電力消費効率を比較するというものだ。
この結果、A社の4コア・サーバでCPU使用率合計が80%に達した時点で稼働している仮想マシン数は26で、仮想マシン内部で実行される処理数を指標化してワット当たりの処理性能として算出したOPM/W値は81.0となった。一方、DELL PowerEdge R900に6コア・プロセッサーを搭載した場合、CPU使用率合計が80%に達した時点で稼働している仮想マシン数は40で、OPM/W値は85.7となった。これはA社の4コア・サーバと比べて約27%の性能向上と約6%のワット性能比向上となる。
A社サーバ | DELL PowerEdge R900 | |
---|---|---|
コア数 | 4コア |
6コア |
仮想マシンの数 |
26 |
40 |
サーバのCPU使用率合計 |
80% |
80% |
OPMのパフォーマンス |
58355 |
74084
|
平均電力消費量 |
739 |
864 |
ワット当たりの電力効率 |
81.0 |
85.7 |
パフォーマンスと電力消費の測定結果 |
プロセッサー・コア数が増加することでサーバハードウェア自身の消費電力量も増加するが、その増加分は新たなサーバハードウェアを追加することに比較すればごくわずかに留まる。一方で、コア数が増えたことに伴って同時実行可能な仮想マシン数は顕著に増加するため、結果として仮想マシン当たりの消費電力量は減少するという結果になるわけだ。
現在、“グリーンIT”に注目が集まっていることもあり、IT分野での消費電力量削減はユーザーにとっても重要な課題となりつつある。処理能力の高いマルチコア・サーバを仮想化サーバとして使用し、従来複数のサーバに分散していた処理を統合すれば、直接的に消費電力量を削減し、合わせて運用管理負担も軽減できることになる。このとき、より処理能力の高いサーバにより多くの既存サーバを統合することで、統合の成果をより大きなものにすることが可能となるのである。これが、4コア・プロセッサー搭載サーバより6コア・プロセッサー搭載サーバを選択することのメリットである。
仮想化サーバとしての配慮 | ||
仮想化によるサーバ統合を実践する場合、プロセッサーの演算処理能力が高ければ高いほど、より多くの既存サーバを統合することが可能になり、統合の効果をより大きなものにしていくことができる。とはいえ、6コア・プロセッサーであればどれでも同じ、というわけにはいかない。
仮想化を見据え、余裕のあるメモリ量が搭載可能であるほか、ネットワークポート数などもベスト・プラクティスとして導かれた設計になっている |
多数の仮想マシンを実行する仮想化サーバでは、メモリ搭載容量のキャパシティも十分に備えておく必要がある。仮想マシンは実際のメモリをつかんで稼働するため、搭載するメモリ容量がパフォーマンスやサーバ統合率にも大きく影響する。また、多数の仮想マシンを動作させる場合、「NICを統合する」という観点からネットワーク・ポートも十分な数を確保する必要がある。また実際の仮想環境では仮想マシン用にアサインするネットワーク・ポートだけでなく、SAN(iSCSI、ファイバチャネル)への接続や管理用LAN、ライブマイグレーションもしくはハートビート用などより多くの独立したポートを確保する必要があるからだ。
デルがこれまで取り組んできた仮想化サーバの構築経験から得られたベスト・プラクティスとして、仮想サーバのネットワーク・ポートは8ポート以上が必要だという。とはいえ、ネットワーク・ポート×8を備えるサーバとなると、それなりに大型の筐体のモデルに限られてくる。このため、仮想化を活かしたサーバ統合を行うなら、CPUソケット×4、ネットワーク・ポート×8という辺りが最適解として浮上してくることとなる。デルのPowerEdge R900は、まさにそうした最適解を具現化した製品だといえる。もちろん、大規模なサーバ統合であれば、アセスメントサービスを利用したほうが良いのは言うまでもない(参考:デルの仮想化コンサルティングサービス)。
DELL PowerEdge R900の主な仕様 | |
---|---|
プロセッサー | 6コア Intel Xeonプロセッサー7400番台、4コア Intel Xeonプロセッサー7400/7300番台など |
メモリ |
最大256GB(FB-DIMMスロット×32) |
OS |
Windows Server 2008/2003、Windows Server 2008 x64 Small Business Server Standard Edition、Red Hat Linux Enterprise 4.5/5/5.2、Novell SUSE Linux9/10 |
検証済み仮想化技術 |
Hyper-V、 VMware ESX 3.5、Citrix XenServer |
内蔵ハイパーバイザ (オプション) |
VMware ESXi 3.5、Citrix XenServer |
最大内蔵ストレージ容量 |
5.0TB ホットプラグSAS(1TB×5) |
外部ストレージオプション | PowerVault MD3000i iSCSI SAN アレイ、EqualLogic PS5000E/PS5000X/PS5000XV、Dell | EMC CX4など |
I/O | PCI-Express×7 |
通信 | 内蔵ギガビットイーサネットNIC×4、オプションでPCI-E用NIC各種 |
フォームファクタ | 4Uラック |
仮想化の現実的な効果 | ||
現在のプロセッサー開発の技術トレンドは、かつてのクロック周波数向上競争からは完全に脱却し、消費電力量(ワット)当たりの処理性能向上に移行している。最新のプロセッサーでは、マルチコア化が進み、処理性能が向上すると同時に消費電力量が低下する傾向にある。そのため、新しいプロセッサーを搭載したサーバに移行すれば、それだけである程度の効率化が達成できる。さらに、向上した処理性能を活用して仮想化によるサーバ統合を行えば、サーバの台数ベースでおおむね10分の1から20分の1の統合が実現可能だと言われる。
サーバ統合のメリットはハードウェア関連コストの削減だけではない、と語る、デル株式会社エンタープライズ&ソリューション・マーケティング本部ブランドマネージャーの布谷恒和氏 |
例えば、PowerEdge R900の採用事例としてi.JTBが行った大規模なサーバ統合の例がある。i.JTBでは、それまで運用していた300台のサーバを、29台のR900で置き換えたという。サーバ台数で10分の1以下になっており、設置コスト・運用コストの大幅削減を実現したほか、各仮想化マシンの冗長化やサーバ展開の迅速化などの効果を挙げた。
また、サーバ統合のメリットはハードウェア関連コストの削減だけではない。例えば、ツムラはVMware Infrastructure 3を活用して137台あったサーバを12台に集約したが、アプリケーションのライフサイクルをきちんと確保できた効果が大きいという。個々のアプリケーションはOSやミドルウェアに依存しているが、こうした環境ごとカプセル化できるためだ。アプリケーションの運用・更新コストを下げることができるわけだ。
一方、仮想化によるサーバ統合には困難も伴う。その1つは、ストレージの対応だ。従来のようなサーバ内蔵ディスクやDAS型ストレージを中心とした構成では、システム環境を柔軟に動的に拡張可能な仮想化のメリットを活かすことは困難だ。信頼性の確保がますます重要になることと考え合わせれば、クラスタ構成されたネットワーク・ストレージの採用が必須ともいえるだろう。さらに、従来のファイバチャネルSANのように、固定的に容量を確保し、特定のサーバに対して固定的に割り当てる手法では、動的に拡張可能な仮想サーバ環境にストレージの柔軟性が追従できないという問題が生じる。このため、ストレージも仮想化して、仮想化サーバと組み合わせてシステム構築を行うのが望ましい。
デルでは、iSCSI対応の仮想化ストレージ EqualLogic PSシリーズによる安価で柔軟性に優れたストレージ仮想化技術を提供しており、必要に応じて柔軟に性能と容量を拡張できるスケールアウト型ストレージを実現できる。また、さまざまな仮想化/サーバ統合を実現してきた経験豊富な技術者による各種のアセスメントサービスも提供している。仮想化サーバ製品に加えてストレージ仮想化製品とサービスのラインナップにより、ユーザー企業にとって最適な仮想化環境をワンストップで提供できる体制を整えている。ヘキサコアのXeonプロセッサー搭載サーバは各社製品がそろいつつあるが、単にプロセッサーのコア数だけを比べるのではなく、多数の仮想マシンを同時実行することを想定した豊富なリソースが確保されているのか、ストレージやネットワーク、サービス/サポートの部分での実力までを比較する必要があるだろう。そうした総合的な評価を行えば、DELL PowerEdge R900が仮想化サーバとして極めて高い実力を備え、市場からも高く評価されている理由が明らかになるはずだ。
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提供:デル株式会社
企画:アイティメディア 営業本部
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2009年2月27日
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6コアプロセッサ搭載の最新サーバがHyper-Vの能力を最大限に引き出す | |
6コア搭載の新しいインテルXeonプロセッサ7400番台を採用したDell PowerEdge R900サーバと、4コアを搭載したサーバをHyper-V仮想化環境でテストし、比較してみた。果たして、どの程度の性能差があるのだろうか? | |
関連リンク |
デル | |
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