バックアップコストは技術で下げる 最大50分の1にデータを減らせる! |
コストに厳しいこの時代、データのバックアップ関連で予算を割くことはますます難しくなっている。しかしそう言っている間にもデータはどんどん増え、しかもいざというとき、バックアップしたデータから短時間で確実に復旧しなければならないニーズは高まっている。
こうしたシステム運用担当者の悩みに応え、EMCは自社のバックアップ・ストレージ製品で2つの重要な機能を投入した。省エネ技術と重複除外である。
省エネによるコスト削減で、EMCが採用したのは「ディスク・スピンダウン」と「省電力・ディスクドライブ」だ。
ディスク・スピンダウンとは、読み書きの行われないディスクドライブをスリープ状態にする機能のこと。ドライブのRAIDグループごとに適用する。バックアップ・ストレージでは、いったん書き込みが行われると、読み出しが必要となるケースはあまり多くない。この性質を生かして、アクセスされていないディスクドライブ群の回転を停止しておくことは、実際には意外なほど省エネ効果がある。最大で19%の電力消費削減が可能だ。
回転を止めてしまったディスクドライブにアクセスがあったとしても、ディスクドライブをスリープ状態からすぐに復帰させ、利用できるところがEMCのスピンダウン技術の特徴だ。
図1 ディスク・スピンダウンで電力消費を19%減らし、さらに省電力・ディスクドライブでそこから32%減らすことができる |
もう1つの省電力・ディスクドライブとは、一般的に利用される7200rpmのドライブでなく、5400rpmという回転数を抑えたディスクドライブを使うというものだ。これで32%の省エネ効果が期待できる。回転数の低いドライブを使うとパフォーマンスに問題が生じるのではないかという心配をする人もいるだろうが、1次ストレージではなくバックアップ・ストレージ製品に利用するため、問題にはならない。バックアップに掛かる時間が大きく低下することもない。
この2つの技術を使って最大47%もの省電力化が可能だ。
さらにコスト削減のカギとしてEMCが製品に導入したのが重複除外の技術だ。
重複除外は、書き込みの際にデータを非常に細かい単位に分割して考え、すでに保存されているものと重複しない部分だけを新たに書き込むようにする技術によって、ディスク容量を節約する。データの種類によって節約効果は異なるが、データ量を最大で50分の1に減らせる。
このためディスクドライブを追加するペースを劇的に下げることができ、ドライブ購入コストを減らせる。このことはさらに、バックアップ・ストレージの消費電力や設置スペースの節約にもつながる。
新世代のバックアップを実現する重複除外 |
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EMCは2種類の方法でこれらの新技術を実現した。新製品の 「EMC Disk Library 3D 1500/3000」(以下、DL 1500/3000)と、既存製品「EMC Disk Library 4000」(以下、DL 4000)の新機能「3Dエンジン」だ。
8月1日に販売開始のDL 1500/3000は、LAN接続で使うバックアップ専用ストレージ。最近のバックアップ・ソフトウェアでは、テープではなくディスクにバックアップする方式を選択できるようになっているが、これを利用してバックアップ・データを保存できる製品だ。
この製品は、標準で重複除外機能を搭載している。ポリシー設定で、重複除外の効かせ方をきめ細かく制御できるのも大きな特徴だ。
重複除外という機能は、データの種類によって効果が大きく異なる。メールやCADデータなどでは大きな効果が得られるが、圧縮されている動画や静止画のデータはあまり減らない。そこで、重複除外が効きにくいデータを保存しているサーバについては、バックアップ時に重複除外機能をオフにすることができる。さらに、データベースなどでバックアップ時間をできるだけ短くしたい場合には、まず重複除外を効かせないでバックアップを終え、指定日時にDL 1500/3000上で重複除外を実行することができる。
複数拠点をカバーする統合的なバックアップ環境を構築すると、重複除外はさらに効果を発揮する。例えばある企業の5つの支社のバックアップ・データを、本社で統合管理することを考えるとする。5つの支社と本社にそれぞれDL 1500/3000を導入すれば、まず支社のDL 1500/3000にバックアップをとった時点で重複除外によりデータ量を減らせる。減ったデータをWAN経由で本社のDL 1500/3000に複製すれば、送信所要時間は短縮でき、WAN帯域の消費も抑えられる。さらに、この構成では各支社のDL 1500/3000が本社のDL 1500/3000上のデータとの重複をチェックすることで、ほかの支社がすでに本社に送ったデータとの重複も除外できる。これでさらにデータ量を減らすことができる。
図2 各拠点のデータを重複除外後に統合すると、二重に重複除外のメリットを得られる |
DL 1500/3000は、定評のあるストレージ製品「EMC CLARiX CX3」をベースにしているため、CX3の99.999%という信頼性をそのまま引き継いでいる。また、LAN接続によるバックアップではパフォーマンスに心配がある場合、ファイバチャネルSAN接続もオプションで選択できる。
DL 4000ユーザーは省エネも利用できる |
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DL 4000はすでに販売されている仮想テープライブラリ(VTL)製品だ。VTLなので、ディスクドライブによるシステムでありながら、バックアップ・ソフトウェアからはテープのように扱うことができる。この製品の新たなオプションとして、前述のディスク・スピンダウンと省エネ・ドライブ、そして重複除外が加わった。
DL 4000ではディスクドライブを備えた3Dエンジンを追加購入することで、重複除外を活用できる。すでに使っているDL 4000で、データがあふれそうになっているなら、新しいデータはすべて重複除外にかけて3Dエンジンに移す、といった使い方ができる。DL 4000を新規に導入する場合、DL 4000のストレージはバッファ領域分だけにしておき、すべてのデータを重複除外して3Dエンジン側に保存していくこともできる。
前述のように、重複除外はデータの種類によって効果が異なる。このため、EMCでは事前にヒアリングによって効果を予測するツール「3Dサイジング・ツール」を提供している。これによって重複除外のメリットを、事前に無料で知ることができる。
重複除外を適材適所で選べる |
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実はEMCは、DL 1500/3000以外にも、バックアップ/リカバリ製品群で重複除外機能を広く提供している。
用途 |
ユーザーの要求 |
EMCの提供するソリューション |
アクティブ アーカイブ |
プロダクションデータを自動的にアクティブアーカイブに移動させ、バックアップを軽減させたい |
Centera シングル・インスタンス・ストレージ |
遠隔地オフィスのバックアップ | 既存WAN環境を経由してバックアップを集約化したい | Avamar ソース側でのグローバル重複除外 |
VMware環境の バックアップ |
バックアップに必要なリソースとバックアップウィンドウをできるだけ少なくしたい |
Avamar ソース側でのグローバル重複除外 |
従来からの バックアップ |
スケジューリング、保存期間などを使い慣れたソフトウェアで管理しながら重複除外バックアップを実現したい | AvamarとNetWorkerの統合 NetWorkerで重複除外処理を 一元化 |
SAN経由の仮想テープバックアップ | 既存のバックアップ・ソフトを流用しながら大規模ディスクバックアップを導入したい |
Disk Library with 3D |
LAN経由のディスクバックアップ | SAN環境のパフォーマンスを必要としないバックアップ要件に対し、簡単にディスクバックアップを実現したい |
DL 3D 1500/3000 |
表 EMCの重複除外技術ポートフォリオ |
ソフトウェアの「EMC Avamar」では、DL 1500/3000やDL 4000のような重複除外機能をソース側で適用できる。
アーカイブ・ストレージの「EMC Centera」では、完全に同一のファイルを1度だけしか保存しない「シングルインスタンス・ストレージ」という機能を提供している。
このように、利用環境によって最適な重複除外を選べるのが、EMCの大きな特徴だ。今後もEMCは、この技術をさまざまな製品で生かしていく考えだ。
提供:EMCジャパン株式会社
企画:アイティメディア
営業局
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2008年8月13日
関連リンク
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EMCジャパン |
記事リンク
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“IT予算が増えない企業に重複除外を”、EMC(@ITNews) | |
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