
市場環境変化の波を捉え、確実にビジネスチャンスを獲得していくためには、迅速かつ合理的なICTシステムの構築・運用が不可欠となる。その実現のカギとなるのが、システムの柱の1つとなるミドルウェアの選択だ。その点、富士通では同社の3つのミドルウェア、Interstage(インターステージ) 、Symfoware(シンフォウェア)、 Systemwalker(システムウォーカー)に、ビジネスの俊敏性・柔軟性を担保する“3つのポイント”を盛り込んでいるという。では、その3つのポイントとは具体的には何なのか? 富士通がミドルウェアに込めた“独自のこだわり”を聞いた。 |
市場環境変化が激化している近年、ビジネスを支えるICTシステムの構築にも一層のスピードが求められている。だが言うまでもなく、スピードさえ速ければ良いというわけではない。シビアな市場で勝ち残るためには、コストや労力の無駄を抑えながら、迅速・確実に必要なシステムを運用できることが前提条件となる。そうした運用環境を実現する上で、大きなカギとなるのがシステムの中核を担うミドルウェアの存在だ。
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富士通 ミドルウェア事業本部 部長 仁藤滋昭氏 |
富士通 ミドルウェア事業本部 部長の仁藤滋昭氏は、昨今のシビアな経営環境を振り返り、次のように語る。
「事実、弊社の約3万5000件に上るSI案件を振り返っても、ビジネス変化への柔軟な対応と業務効率/サービスレベルの向上が強く求められています。一方で、重複投資排除によるコスト削減、システム運用負荷の軽減、また拠点・部門単位でサイロ化しがちな状況を受けて、グループ内のICTガバナンス強化、ICT投資の透明性向上も課題となっています。こうした攻めと守り、両面の課題をいかに同時に解決するか――弊社が提供する3つのミドルウェア製品は、まさしくこの点を見据えて開発・ご提供している点が大きな特長です」
3つのミドルウェア製品とは、SOAに基づいてサービスを整理し、業務システム全体の最適化を実現するアプリケーション基盤「Interstage」、大量データの統合・活用を支援する高速性・高信頼性を両立したデータベース「Symfoware」、そして仮想化・クラウドなどによって複雑化したシステム全体の効率的な運用管理を実現する「Systemwalker」である。
「これらはそれぞれ異なる製品ですが、開発・ご提供に当たって“ユーザー企業における最優先課題”を念頭に置いた点は共通であり、シビアな環境を勝ち抜く上で重要と考えた“3つのポイント”を各製品に盛り込んでいます。多くのベンダがミドルウェア製品を提供している中で、この点こそが弊社製品のアドバンテージと言えるでしょう」
では、その “3つのポイント”とはどのようなものなのか?――3製品の機能を通じて具体的に見ていこう。
3つの“スマートなテクノロジー”
まず1つ目のポイントは「ミドルウェアをより使いやすくするスマートなテクノロジー」だ。具体的には、事前設計なしでハードウェアに合わせて自動セットアップする「スマートセットアップ」、自動的にトラブルの予兆を検出してレスポンスを検証、最適化する「スマートチューニング」、専門知識がなくても速やかに復旧する「スマートリカバリー」という機能を用意している。
「例えば、データベースの導入・運用には専門知識が必要なほか、パラメータ値の設定をはじめ、一定の手間が掛かるのが一般的です。しかし“スマートなテクノロジー”を使えば、そうした作業負荷を大幅に軽減することができます」
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図1 3つの“スマートなテクノロジー”により、運用管理者の作業負荷を大幅に軽減すること。これが富士通がミドルウェア開発に込めた第一のこだわりだ |
例えば中小規模向けデータベース、Symfoware Server Lite Edition V10には、各種設定を中小企業にとって最適な形に型決めした「スマートセットアップ」を実装している。これにより、専門知識の有無を問わず、少ない手番で簡単・迅速に導入できるという。システムに異常が生じても「スマートリカバリー」によって自動判別し、ワンタッチでリカバリすることも可能だ。
一方、「スマートチューニング」を実装したアプリケーション基盤、Interstageでは、Javaのレスポンス問題(Full GC)で無応答が発生しそうになると、JavaVMの過去のメモリ使用状況やGC状況に基づいてFull GC発生の予兆を検知。そのプロセスへのリクエストを抑止しつつ、対象リクエストを別のJavaVMプロセスで実行させることで安定したレスポンスを堅持するという。
「誰もが手間なく、スムーズに使いこなせる――絶え間なく変化する市場に応じて迅速・柔軟にシステムを配備・運用するために、富士通ではこの点をミドルウェアが持つべき第一のポイントと考えました」
2つ目は「プライベートクラウドの活用によるシステムの迅速・効率的な配備」だ。従来、多くの企業はユーザー部門の要望を受けて、その都度個別にシステムを開発する“部分最適”のスタイルを採ってきた。だがこのスタイルでは、システムの配備までに一定の時間がかかるほか、システムのサイロ化、ICTリソースの重複といった問題を招く。
そこで同社は、“ICTリソースを一元管理し、要望に応じて迅速にシステムを配備するプライベートクラウド基盤”を体系的に整備できるラインナップをそろえている。サイロ化したシステムを集約し、システム配備までのプロセスを標準化する機能によって、利用開始までの大幅な時間短縮を可能とするほか、物理サーバ・仮想サーバの一元管理によりICTリソースの有効活用、運用の効率化を実現する「ServerView Resource Orchestrator」をラインナップ。また、CPUリソース使用量などの見える化によって運用効率も大幅に高めるという。
さらに、業務システムごとにOS、ミドルウェア、アプリケーションのパラメータを自動設定することで、システム管理者の運用負荷を下げ、迅速なデプロイを支援する「Systemwalker Software Configuration Manager V14g」や、運用手順書に沿って定型業務を自動化する「Systemwalker Runbook Automation V14g」、各業務システムをサービスとしてカタログ化する「Systemwalker Service Catalog Manager V14g」も用意。これにより、冒頭で述べたシステム配備の時間短縮、システムのサイロ化防止、ICTリソースの重複排除といった課題を、効率的に解決できる体制を整えているのだ。
どの基盤でも運用できるミドルウェア
さらに同社では、百社百様のユーザー企業が自社システムにしっかりとミドルウェアをアジャストさせられるよう、機能だけではなくその運用環境にも配慮しているという。それが3つ目のポイント、「オンプレミス、プライベート/パブリッククラウドを問わず、どの基盤でも運用できる柔軟性」だ。
同社では、パブリック型のクラウドサービス、Fujitsu Global Cloud Platform「FGCP/S5」を用意している。同社データセンターからネットワーク経由で仮想的にICTインフラを提供する、いわゆるIaaSだが、これによってユーザー企業はいつでもどこからでもシステムを構築できるほか、業務量に応じて仮想マシンを配備/返却することも可能となる。
FGCP/S5の特長は、OS、ミドルウェア、ネットワークというシステム構成のテンプレートを複数用意し、自社に最適な構成のテンプレートを選ぶだけで、迅速にアプリケーションの稼働環境を構築できる点だ。すなわち、PaaSの機能も備えているのだが、Interstage、Symfoware、Systemwalkerをはじめ、ほぼ全てのミドルウェア製品が、このテンプレートに対応しているのである。つまり同社のミドルウェア製品は、オンプレミスでもクラウド上でも、形態を選ばずに使うことができるのだ。
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図2 パブリック型のクラウドサービス「FGCP/S5」を使えば、いつでもどこからでもシステムを構築できるほか、仮想マシンを配備/返却することも可能。システム構成のテンプレートを複数用意し、自社に最適な構成のテンプレートを選ぶだけで、迅速にアプリケーションの稼働環境を構築できるPaaSの機能も備える |
また同社では、マイクロソフトの「Windows Azure Platform」を活用したIaaS、Fujitsu Global Cloud Platform FGCP/A5 Powered by Windows AzureTMも用意しており、このFGCP/A5で使うことができるミドルウェア製品も用意しているという。
「例えば『Interstage Application Server V1 powerd by Windows Azure』を使えば、使い慣れた既存の開発環境からWindows AzureにJavaアプリケーションを配備したり、従来と同じ操作で運用したりすることができます。一方、『Systemwalker Centric Manager V13』では、オンプレミスとクラウドが混在したハイブリッド環境を、一元的に運用管理することが可能です。この運用現場に負担を掛けない使い勝手の良さが、弊社ミドルウェア製品の大きな特長と言えるでしょう」
以上のように、同社のミドルウェア製品は、ビジネス展開のスピードアップと運用コスト削減に欠かせない点――「使いやすさ」「システムの迅速・効率的な配備」「運用の柔軟性」を重視して開発・提供されている。ただ仁藤氏は、「大切なのは機能の充実だけではありません」と力を込める。
「確実・効率的に課題解決できる製品を“あんしん”とともに提供する――この考えこそが、弊社のミドルウェア開発・ご提供のDNAと呼べるものになっています。具体的には、お客さまの既存資産を守ること、システムの安定稼働を支えることを第一義に置き、体系的な製品展開、製品バージョン間の長期にわたる互換性保証を堅持してきました。ただ、そうした中でも“あんしん”にとって特に大切なのは、自社開発ならではの“信頼性”と、万一の際の“迅速なサポート力”にあると考えています」
これを裏付けるのが、同社の沼津ソフトウェア開発クラウドセンターにおける取り組みだ。同センターではプライベートクラウドを運用し、国内外10拠点、4500人の要求に応じて開発環境を自動構築して貸し出している。具体的には、システム構成のイメージ化と自動配備を実現。配備されるOSとミドルウェアも完全に統一することで、サーバの導入・配備作業を従来比75%削減した。つまり“3つのポイント”が盛り込まれたミドルウェア製品を、実際に富士通自身が使用し、効果を検証した上で提供しているのである。
「自社で開発・検証した製品を提供し、万一の際にはすぐサポート対応できる。この安心感こそが弊社製品の最大の強みです。ビジネス展開のスピードアップ、コスト削減、運用負荷低減、ICTガバナンス強化に向けて、ぜひ安心して使っていただければと思います」
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図3 ビジネスのスピードアップ、運用コスト削減というメリットを確実に享受できるよう、富士通はミドルウェアに「業務への最適化」「システムの迅速・効率的な配備」「運用の柔軟性」という3つのこだわりを込めた |
では、Interstage、Symfoware、Systemwalkerは、貴社の課題に対してどのように役立つのだろうか?――各製品の詳細を知り、自社への導入・運用をイメージすることで、“ミドルウェアに息づく富士通のDNA”を体感してみてはいかがだろうか。
提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2012年1月30日