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@IT > 中小規模のシステム統合にも、ブレード型サーバの導入を牽引する“第3世代”ブレード |
日本ヒューレット・パッカード(HP)のブレード型サーバのビジネスが好調だ。2006年6月には、独自開発の技術を多数盛り込んだ「HP BladeSystem c-Class」を発表している。同社ではこれを“第3世代”ブレードと位置付け、さらに市場への攻勢を強めていく予定だ。
HPは11月20日、HP BladeSystem c-Classの新製品を発表した。ブレード型ストレージ「HP StorageWorks SB40c」、およびクアッドコア インテル® Xeon® プロセッサー搭載のブレード型サーバ「HP ProLiant BL460c」と「HP ProLiant BL480c」などである。これらの製品投入の背景として、日本HPのエンタープライズストレージ・サーバ統括本部インダストリースタンダードサーバ製品本部本部長の上原宏氏は、7月に同社が主催したイベント「HP BladeSystem Evolution 2006」でのアンケート結果を挙げた。
ブレード型サーバの導入予定台数に関するアンケートでは、まったく新規の導入でも、10台以下という回答が31.1%を占めるという結果が出た。これは同社にとっては意外な結果であったという。結果から導き出されるのは、ブレード型サーバの導入は大規模システムに多いという、これまでの常識は既に古いものとなっており、「中小規模のシステムでの導入が、今後のブレードビジネスの鍵を握るということだ」と上原氏は述べた。 ブレード型サーバの導入が大規模システムに多いとされていたことには、もちろん理由がある。ブレードはシステム全体としての初期導入コストが高くなる傾向にあり、IT投資の予算が十分に割けない中小規模システムでは導入が進んでいなかった。 ここでいう中小規模システムとは、あくまでシステムの規模が比較的小さいということであり、企業規模ではない。つまり、大規模エンタープライズでも、情報システム部門が管理する全体システムではなく、部門ごとに管理するファイルサーバなどをコンソリデーションする場合などを含んでいる。このようなケースでは、十分なコストがかけられないことが多かった。 現在、ブレード型サーバ自体の価格はラックマウント型サーバと比較してもあまり差はない。にもかかわらずシステム全体が高額になるのは、ストレージの価格差によるところが大きいという。ハードディスクドライブ(HDD)の容量が不足した場合、ラックマウント型サーバであればHDD搭載本数の多いサーバに換えたり、外付けのディスクを追加するといったことが可能だ。ところが、これまでのブレード型サーバには数百ギガバイト単位でストレージを追加するソリューションがないため、ストレージの追加にはSAN(ストレージエリアネットワーク)の導入という方法しか選択肢がなかった。SANはシステム価格を大きく押し上げるとともに、管理や運用に専門の知識が必要となり、手軽に導入できないという背景があったのである。 また中小規模のシステムでは、専任の管理者がいるわけではなく、通常業務のかたわらにシステムを管理する兼務の担当者がいるだけという場合が多い。この点も、ブレードの導入が進まない理由であった。これらの課題を克服するために新たに投入したのが、今回発表の新製品である。
高額なSANを構築することなく1TBクラスのストレージを増設できるようになり、システムに関わるコストを低減できる。また、導入や運用の手間も軽減できるようになった。増設の作業も簡単で、HDDの追加が必要なサーバブレードの隣に挿入するだけで、配線などはすべてエンクロージャ内で自動的に行われる。「HP StorageWorks SB40c」は、これまで中小規模システムでのブレードシステム導入を阻んでいた問題を解決する製品として、起爆剤となることが期待される。
価格がラックマウント型と大差なく、管理性能が優れるブレードサーバだが、これまでどのようなシステムにでも導入できるわけではないというのも事実だった。技術的な課題は、先述したディスク容量以外にも2点ある。搭載するCPUコア数と通信ポート数の限界である。 ブレード型サーバが登場した当初、適用領域は主にISPなど数百台のサーバを運用する場面であった。必要とされたのは台数を増やすことのみで、CPUのコア数やHDDの可用性は問題にされなかった。これを第1世代とすると、ラックマウント型やタワー型サーバと同等の性能を持ちつつ、優れた管理性を享受できるタイプとして登場したのが第2世代といえる。 このような発展をしてきたため、通常のブレードサーバは、CPUコアやHDD、通信ポートが、それぞれ2つ程度しか搭載できない。そのため、データベースやアプリケーションサーバといったCPUコア数や通信ポート数が必要な分野では、利用できなかったのである。
HP BladeSystem c-Classでは、イーサネット用およびSAN用のインターコネクトモジュールをラインアップしており、通信ポート不足の問題を解決する。そして、今回新製品として投入するのが、クアッドコア インテル® Xeon® プロセッサー 5300番台を搭載する「HP ProLiant BL460c」「同BL480c」だ。この2製品は、1台のブレードに最大2ソケット/8コアを搭載でき、高密度で電力効率に優れていながら高い処理性能を発揮する。 CPU性能の不足と通信ポート不足の問題を解決することにより、Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバといったすべての分野でブレードシステムの導入が可能になり、ブレードの適用範囲をさらに拡大させることに成功している。日本HPのインダストリースタンダードサーバ製品本部ブレード・バリュープロダクトマーケティング部の山中伸吾氏は、この第3世代ブレードを「BLADE 3.0」と呼ぶ。その目指すところは、サーバだけでなく、ネットワークシステムや小規模のストレージなどシステム全体をブレードに統合する「Blade-Everything」であり、これが、HP BladeSystem c-Classを“第3世代”と呼ぶ理由である。
今後HP BladeSystem c-Classの販売を推進するため、HPはいくつかの拡販施策も打ち出している。1つ目は、ブレードビジネス推進部の体制強化だ。ブレード専任のエンジニアを配置し、営業担当スタッフをサポートすることにより、営業部門と技術部門が一体となって販売推進を行う。また、直販のみでなく、パートナー企業のビジネスもサポートしていく。
もう1つは、「HP Blade Focus Partner」の販売支援強化だ。現在13社が参加しているFocus Partnerに対して、検証機材の特価提供や各種トレーニングの無償実施などの支援強化を図る。また、深掘りした最新技術情報を、迅速かつ優先的に提供していくなど、これまで主にトラブル防止のための施策だった内容を、販売推進に向けて強化していく予定だ。 HPは、ブレード型サーバに関するデモと検証の施設も拡充した。現在、ブレードの案件が増えるとともに、デモ・検証の要求が増加している。そこで、東京・市ヶ谷本社に「HP BladeSystem Demo Center」を開設。実機によるデモスペースのすぐ横にミーティングルームを配置し、顧客の要望に応える環境を整えた。また、「HP BladeSystem Competency Center」にはブレード型サーバに関するトップレベルの技術者が常駐しており、顧客からのさまざまな要求に対して、速やかな回答を提供できる場となっている。 日本でもブレード型サーバの市場は伸びてはいるものの、これまでは製品の特性により中小規模のシステム領域にはアプローチできていなかった。HPでは中小規模システム向けの製品ポートフォリオをさらに強化し、パートナー企業に対する販売支援態勢もより充実した。山中氏は、「これにより、大規模案件に加えて中小規模のブレード市場を拡大、牽引していく」と語った。
提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社 企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT編集部 掲載内容有効期限:2007年1月31日 |
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