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複雑さに起因する課題を克服
サーバ仮想化のメリットを引き出す運用管理術
  

日本ヒューレット・パッカード株式会社
テクニカルサポート統括本部 ソリューションアーキテクト
山根正士

 サーバ仮想化技術の導入による利用者のメリットについては、Webメディアなどさまざまな媒体を通じてたくさんの情報が発信されており、すでに多くの人が仮想化の効果を認識し始めている。しかし管理者からは、実際に仮想化技術を導入すると、管理すべきタスクが増え運用のオペレーションが複雑化するのではないかという懸念の声も聞こえてくる。運用という側面から仮想化技術のメリットを生かすにはどうすればいいのか、さらに仮想化導入により発生する新たな手間を最小限にするにはどうすればいいのか。運用管理の視点から仮想化技術の課題とメリットを整理し、仮想化技術の優位性を最大限に引き出すための具体的な運用管理について解説する。


 仮想化の運用における課題

 仮想化技術を導入していようがしていまいが、IT環境の運用管理はいわゆるPDCA(Plan-Do-Check-Act)のサイクルで実施される。基本的な運用管理計画に基づき、アラートや運用監視のログなどIT環境からさまざまな情報を収集し、それらを分析して必要な対処を行う。対処の後に集められた新たな情報を基に、適宜運用計画を修正する。通常の環境であれば、こうした運用管理作業のための情報のソースはアプリケーションの実行環境と物理的なインフラ環境だけだ。仮想化技術を導入した場合には、これに加えて仮想化環境からも情報を収集する必要がある。

 このことを踏まえれば、「仮想化技術の導入で運用管理は複雑するか」という問いに対する答えは「イエス」だ。仮想環境がなければ、物理的なインフラ環境とその上で実行されるアプリケーションは、常に1対1のシンプルな関係である。そのため、なんらかのトラブルや、警告が発生した場合でも、その問題がどの物理環境で発生し、影響を受けるのはどのアプリケーションかはすぐに明らかになる。

 ところが、仮想化技術を導入した場合は、物理層とアプリケーションの実行環境の間に仮想環境が入り、構成要素が増えるとともに抽象化される。そして、インフラを構成するさまざまな物理リソース(CPUやメモリなど)と関連するアプリケーションの関係は、入り組んだ複雑なものになるのだ。

 aというリソースはAという仮想サーバあるいはアプリケーションで使われるかもしれないし、場合によってはBという仮想サーバあるいはアプリケーションに使われるかもしれない。さらに、この状況は時間経過とともに変化する。アプリケーションAでは、ある時点でaというメモリを利用していたが、次の瞬間には負荷が上がったためにaとbという2つのリソースを利用するようになるかもしれないのだ。

 このように、アプリケーションの要求に応じ動的にリソースが割り当てられるのは、仮想化のメリットであると同時に、リソースとアプリケーションの組み合わせが複雑化し、動的に変化する相関関係の把握が困難になるという運用管理面での課題にもなっている。動的に変化する相関関係を、人が手作業で把握するのはもはや不可能だ。ある時点の組み合わせをスプレッドシートに記述しても、次の瞬間には関連付けが異なってしまう。これを解決するには、動的な構成管理データベースを持ち、それぞれの要素をリアルタイムにマッピングできる一元管理ツールが必要になる。

 構成管理の複雑性をシンプルな管理ツールで排除する

 逆に考えれば、この複雑な構成管理の状況が改善できれば、仮想環境とはいえ運用管理は難しいものではなくなる。仮想環境の運用管理の手間を大幅に削減するのが、HPが提供する「Systems Insight Manager」だ。Systems Insight Managerは、運用管理者が必要とするさまざまな管理ツールのオペレーションポータルとなっている。統一されたルック&フィールを実現し、HP Integrity Serverはもちろん、PA-RISC Server、x86 Server、BladeSystem、HP StorageWorksに対応するデバイス管理ツールのプラグインが用意されているので、HP製品群を一元的に管理可能だ。さらに、マルチベンダ環境の場合には、HP OpenView製品群と連携することで対応できる。

図1 仮想環境の統合オペレーション(クリックで拡大します)

  言葉だけで解説しても分かりにくいので、仮想環境のワークロードを監視し必要なリソースを適宜割り当てるという管理作業を例に説明する。

図2 仮想環境管理のワークフロー

 仮想化運用管理作業の基本的な流れは図2のようになる。サーバのリソース(CPUやメモリ)がどの程度利用されているかを常に確認しておき、事前に定めたレベル以上の利用率に達したら、不足が予想されるリソースを追加する、あるいは新規に環境を構築してこれに移行するということになる。

図3 Capacity Advisorで負荷を把握する(クリックで拡大します)
図4 Partition Managerを用いて未使用資源を確認する(クリックで拡大します)
図5 仮想環境へのリソースの割り当てを設定する(クリックで拡大します)
図6 仮想化環境のテンプレートを配布する(クリックで拡大します)
図7 Virtualization Managerによる構成把握(クリックで拡大します)

 まずはシステムの情報収集で「Capacity Advisor」というツールを用い、対象となる環境のワークロード(負荷)の履歴を表示する。

 そして、得られた履歴情報をもとに、リソース利用率の将来的な予測を行う。この場合はCPUの追加によりワークロードが改善されることが判断できるので、CPU追加によるシステムサイズ変更でワークロードがどのように変化するかのシミュレーションを行う。その結果を踏まえ、リソースの増強計画を立てることになる。

 計画の実行には、「Partition Manager」というツールを用い、物理環境のフリーリソース(未使用資源)の状況をまず確認することから始める。物理CPUのフリープールを活用し、未使用のCPUの確認およびCPUのActivate(有効化)作業を実施する。リソースが足りなければ、ほかの仮想環境からリソースを借りてくるといった設定もここでは可能だ。

  続いて、「Virtualization Manager」を用い、仮想環境の再設定を行う。これで、仮想環境へ新たなリソースを割り当て、構成変更の作業を実施することで、トラブルが発生する前に予防的な対策処理が行えたことになる。

  利用者の要求に応じ、新たに仮想環境を構築する際には、次のような手順となる。まずは、Virtualization ManagerおよびIgnite/UXを用い、仮想環境のプロビジョニングを行う。ここでは、仮想環境のテンプレートをIgnite/UXにより配布し、仮想環境を自動的に構築できる。

 新規の仮想環境が構築できたら、Virtualization Managerを用いて物理サーバ上の仮想環境の新しい構成が把握でき、物理環境と仮想環境の現在の配置状況を視覚的に確認することが可能だ。また、各仮想環境のリソース使用率をリアルタイムで確認したり、性能情報をトリガーとするアラート設定を施すことでキャパシティ監視も容易に実現できる。

 これらの作業は、Systems Insight Managerの単一インターフェイスから操作できる。これにより、対象となる仮想環境が複雑であっても、管理者の作業はシンプルに実施が可能だ。GUIベースの分かりやすい操作画面は、管理対象ごとに特別なスキルを身につけるなどの新たな手間を必要としない。さらに、管理者に対するアクセスコントロール機能も実装されているので、内部統制で必要となる管理者の職務分掌にあわせた管理作業の制限も可能だ。

 自動化で仮想化のメリットを最大限に引き出す

 前述では、管理者がプロビジョニングを実施し新たな仮想環境を構築する手順を解説したが、HPが提供する管理ツールの優位性はこれらの作業を運用のポリシーに基づき自動化できるところにある。例えば、Capacity Advisorを用い、得られる情報からまずは最適なレスポンスタイム、スループットを維持するための基準となるワークロードを分析する。そして、分析結果をもとに基準ワークロードを満たす運用ポリシーを設定するのだ。

 この際に、構成を自動的に変更する対象としては、プロセス単位でのリソースの割り当て、仮想環境へのリソース割り当て、物理環境へのリソース割り当てなどがある。自動制御のパラメータとしては、CPU数の上限、下限、CPU、メモリ、I/O帯域のリソース利用率の範囲を設定することもできる。

 実際の自動化による構成変更では、監視、測定ツールからのトリガー(障害、性能、セキュリティ違反などのインシデント)から構成変更の自動実行が行われる。「WorkLoad Manager」が、レスポンスタイムやスループットのゴール達成を目標として、自動的にリソースの再配分を行うのだ。WorkLoad Managerは、対象となる仮想化技術(ハードウェア・パーティション、ソフトウェア・パーティション、リソース・パーティション)とは独立したツールなので、さまざまな仮想化ソリューションと組み合わせて活用することも可能だ。

 これらを手動による運用管理で実施していたのでは、仮想化のメリットは十分に発揮できない。あるシステムの負荷が高まった際に、警告メッセージにもとづいて手動で追加するのでは、警告から追加作業までにタイムラグが発生し急激な負荷増加には間に合わないかもしれない。さらに負荷が増加傾向にあるシステムでは、追加の作業が頻繁に繰り返されることとなり、運用工数も増大するだろう。逆に負荷が減少した際にもタイムリーにはリソースを解放できないので、余剰リソースが発生しコスト高につながる。安全策をとるとなると、初期導入時にかなり余裕を持ったリソース設計をとることになり、これまたコスト高になるのだ。

 自動化が実現できればスモールスタートで計画でき、負荷を最適なレベルに維持しつつ、無駄のないリソース配分が可能となる。また、しきい値ではなくポリシーの設定による構成変更の自動化の効率は、極めて高い。他社の管理ツールでも、しきい値を用いて自動的にリソースを追加処理するものはあるだろう。しかし、しきい値の場合はあらゆる場面を想定し、それらの条件下でどのような構成に仮想環境を構成すべきかをあらかじめ十分にシミュレーションしておく必要がある。この方法では、想定外の状況が発生した場合などには、自動化がうまく働かずにサービスレベルが維持できないかもしれない。

 ポリシーを設定する方法は、ネットワークの帯域を保証するQoSの考え方に似ている。設定するのはサービスのレベルであって、プールされているリソースを要求レベルに適合するように増減するといったことをツールが自動的に行ってくれるのだ。この方法ならば、仮想環境でのサービスに対する性能保証を決めるだけで、複雑な仮想化の種類の組み合わせなどを、運用管理者が細かいレベルで考慮する必要はない。

 仮想化技術の導入で、確かに運用管理環境は複雑化する。とはいえ、統合化されたシンプルな管理ツールを用いることでその複雑性は隠蔽することが可能だ。そして、さらに管理ツールを使いこなして構成変更の自動化を実現できれば、仮想化技術がもっている柔軟性という大きなメリットを最大限に引き出すことが可能となるのだ。

筆者プロフィール
山根 正士(やまね まさし)
日本ヒューレット・パッカード
テクニカルサポート統括本部 ソリューションアーキテクト
  日本ヒューレット・パッカードに入社後、ミッションクリティカルシステムのサポート部門を経て、現在ITインフラストラクチャを中心とするソリューションアーキテクトとして活動。仮想化技術を活用したシステム統合や企業データセンターの設計などの領域で企業向け提案活動を行う。2004年度ITコーディネータ認定取得。

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企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2007年3月26日
 

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