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[仮想化鼎談]まだまだ仮想化で企業は強くなる!離陸した「サーバ仮想化」と、
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昨年から日本でもサーバ仮想化の普及が進み始めた。同時に、サーバ仮想化以外にもさまざまな仮想化テクノロジが登場しており、サーバ仮想化との相乗効果が期待できる状況になっている。本稿ではアイティメディア 執行役員 ITインダストリー編集統括部長の浅井英二が、サーバ仮想化の市場を切り開いてきたヴイエムウェア、そしてストレージ仮想化の分野で新しいソリューションを提案するアイシロン・システムズに仮想化の現状とこれからを聞いた。 |
■話し手 |
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ヴイエムウェア株式会社 テクノロジー アライアンス部長 森田徹治氏 |
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アイシロン・システムズ株式会社 マーケティング部長 河南敏氏 |
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アイシロン・システムズ株式会社 マーケティング・コンサルタント 磯場智宣氏 |
■聞き手 |
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アイティメディア株式会社 執行役員 ITインダストリー編集統括部長 浅井英二 |
いよいよ立ち上がったサーバ仮想化の市場 | ||
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アイティメディア株式会社 執行役員 ITインダストリー編集統括部長 浅井英二 |
浅井 近年、とみに「仮想化」に注目が集まっています。トップベンダのヴイエムウェアさんの目には現在の市場はどのように映りますか?
森田氏 最近感じるのは、仮想化が一般的な技術になってきたということです。ヴイエムウェアではいろいろなところでセミナーを行っていますが、1年ほど前なら仮想化のメリットに始まってVMwareにどんな機能があるかといった説明をしていたものが、最近ではそうした部分はすでにお分かりいただいていることが多くて、もう少し進んだところから話し始める形になってきました。
SAP ERPのような基幹システムも、以前は仮想化するというのは特別なことでしたが、いまでは普通のことになってきています。弊社にとって、よいトレンドだと思っています。
具体的な事例としても1年ちょっとぐらい前ですと、サーバ統合の台数が100台から300台、多くても500台ぐらいだったんですが、昨年の後半から日本でも何千台を統合するというお客さまが登場してきています。
浅井 仮想化を導入する目的は、やはり「サーバ統合」によるコスト削減ということになるのでしょうか
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ヴイエムウェア株式会社 テクノロジー アライアンス部長 森田徹治氏 |
森田氏 SAPのERPなどもWindows上に構築する例が多くなってきましたし、メインフレームやUNIXなどで構築された大規模システムをx86系プラットフォームに移行する流れ、業務の多角化などにより、サーバの増殖という現象は多くの企業でみられるところですね。何か業務を始めるたびに新しいサーバを買い、増えていくというわけです。既存のハードウェアに新しいアプリケーションを走らせる方法もあるでしょうが、やはり安定性などの問題があって、1つのサーバには1つのアプリケーションという例が多いようです。そうするとどうしてもサーバ使用率が非常に下がってしまうという問題が起こります。
そこで1台のサーバマシンに複数のOSとアプリケーションを安全に動作させる方法が「サーバ仮想化」で、世界中の企業で採用が進んでいます。私どもがお客さまにアプローチするときは、最初にデータセンターの環境を詳細に分析し、仮想化による統合率や予測される効果について情報を提供しています。CPU使用率はサーバ1台で10%ぐらいのところが多いのです。仮想化によるサーバの集約で、マシンの使用率を向上させるわけです。最近ではプロセッサがマルチコア化され、より高性能になったことで、1〜2世代前のサーバに比べると、大幅に集約率が上がっています。
浅井 サーバの増殖は低使用率の問題もありますが、管理負荷の問題もありますね。何とかしてメンテナンスコストを削減できないのかという要望も多いのではないでしょうか?
森田氏 去年、VMware vSphereという新しい製品を出したときに中小企業向けの「VMware vSphere Essentials」というモデルを投入しました。これは比較的お求めやすい価格で出している製品ですが、幅広い企業の方々にご購入いただきました。中でも市町村などの公共部門でご購入いただいている例が目立ちます。サーバを統合によるコスト削減とともに、ハードの台数削減にともなうメンテナンスコスト削減の両方を実現している場合も多いです。
この点ではサーバだけではなく、デスクトップの仮想化が近年大きな注目を集めています。金融機関などで導入が進む一方、市町村や中小企業でも検討が進んできています。
仮想化の歴史 | ||
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浅井 仮想化という考え方はいろいろな形で表れてきていますが、ヴイエムウェアさんが提供する仮想化技術はそもそもどのように生まれてきたのでしょうか?
森田氏 仮想化とは幅広い技術を指す用語で、昔からあります。メインフレームの世界における時間分割や仮想メモリに始まり、私が最初にパソコン使い始めたときにもDOSを3つ同時に走らせるソフトというのもありました。
ヴイエムウェアの創業者はスタンフォード大学で、x86を効率よく使えるテクノロジを研究していました。1998年にそれを応用した「VMware Workstation」というソフトウェアをリリースしたのが弊社のビジネスの始まりです。これはホスト型の仮想化といわれているタイプのもので、ノートPCでも手軽に複数のOSを動かすことができます。また、いまでもソフトウェア開発会社などで開発やテスト、サポートなどの環境を作るのにとても多く利用されています。
その後、2001年にVMware ESX――いまではハイパーバイザと呼ばれる仮想化製品が登場しました。これは直接、ハードウェア・レイヤの上に置かれるので、仮想マシンのリソース管理、システム全体のパフォーマンス、それに信頼性に優れています。ここが大きな転換点で、企業のインフラとして使われるようになってきたと思いますね。
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アイシロン・システムズ株式会社 マーケティング部長 河南敏氏 |
浅井 「仮想化」というとわたしはストレージをイメージするんですが、こちらもいろんな種類な方法がありますね。
河南 「ストレージ仮想」も昔から継続的に進化し、提供されてきたテクノロジだと思います。その背景には先ほどの複数のOSを動かすという話に似ていると思いますが、ストレージの相互運用性に難があり、A社・B社・C社・D社のストレージごとにデータが分散されてしまって、一元的に情報を扱うことができないという課題がありました。
浅井 メインフレームとUNIXで情報共有ができないというような話ですね。
河南 そうしたベンダや技術的な違いを乗り越えるために、仮想的なレイヤを設けることで情報共有を可能にするインフラを作ろうというのがストレージ仮想化ですね。
アイシロンは、2001年にビジネスを開始した若い会社です。アイシロンの創設者で現CEOは、インターネットの音声・映像の配信ソフトウェアを作っているリアルネットワークスのチーフアーキテクトだった人間です。大量のデータを誰でも簡単に扱えるようにして欲しいというお客さまの思いに応えるためにゼロから製品を開発した技術者であり、また顧客ニーズをとても大切にする経営者です。
アイシロンのソリューションは“スケールアウト”と呼んでいるテクノロジですが、「OneFS」というOSで複数のストレージを並列的に扱い、ばらばらのデータを1つの大きな塊として見えるようにするというものです。
こうした技術を提供することで、ITの知識がない方でも膨大なデータを手軽に管理ができるようになり、その結果として業務フローを改善して、お客さまが真に求めている効率化を進めていただけるのではないかと考えています。
コスト削減以外の効果とメリット | ||
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浅井 サーバ仮想化もサーバマシンを集約してコストを削減するという以外にも、アイシロンさんのおっしゃるように別のメリットがありますよね。
森田氏 そうですね。中でも柔軟性の確保は実は非常に大きなメリットがあると思います。弊社のお客さまは、場合によっては1台のハードウェア上に1つだけ仮想マシンを載せるだけでも大きなメリットがあると言っています。このようにシステムを仮想化プラットフォーム上に構築すると、仮想化によるサーバ統合のメリット以外に、ハードウェア・レイヤを抽象化することによる柔軟性を活かすことができます。ハードウェアの変更やリースアップのタイミングでの移行作業が非常に簡便になるんですね。
定期メンテナンスなどでも同様のメリットがあります。システムメンテナンスのためには、従来なら年末やお盆にアプリケーションサービスを全部止める必要がありましたが、VMwareではVMotionという技術を使うことで稼働中のソフトウェア環境を停止することなく別のサーバに簡単に移動することができます。大きなデータセンターならば空いたサーバにアプリケーションを移動して、元のハードウェアをメンテナンスしたり、廃棄や交換ができるのです。システムのダウンタイムにはこうした計画的なものと故障や災害といった突発的なものがありますが、そのどちらにも柔軟に対応できるというのは仮想化の非常に大きなメリットだといえます。
浅井 ストレージでも柔軟性は大切ですね。
河南 ビジネスのニーズにどのくらいにタイムリーに対応できるか――これが一番、重要だと思います。その良い例がデスクトップ仮想化です。ヴイエムウェアさんとアイシロンのプラットフォームを活用して、シンクライアントのデスクトップサービスを提供されているデータセンター事業者さまがいらっしゃるのですが、エンドユーザーさまが「今日、新しく入社した社員がいるのでデスクトップの環境が欲しい」といわれたときに、すぐに渡せるかどうかがビジネスチャンスを得るか、失うかのターンポイントになります。そうしたエンドユーザーさま向けの付加価値サービスをきちんと支援できるテクノロジを提供することがわれわれの使命だと思います。
アイシロンのソリューションでは複数台のストレージ筐体があったとき、これがワンボリュームとして使えます。これをVMware製品からみると、大きなバケツがあって、そこにたくさんのゲストOSを入れることができ、その1つの大きなバケツへの出入り口がたくさんあるのが、アイシロン独自のアーキテクチャです。VMware製品がCPUやストレージといったリソースを一元管理して、柔軟に扱えるようになることで、サーバやストレージの利用効率の向上とタイムリーなユーザー対応が両立できるようになります。こうしたところが、ヴイエムウェアとアイシロンのパートナーシップの強みだと思います。
エンタープライズシステムに求められる信頼性 | ||
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浅井 企業さんが最新ITを導入する場合、慎重な姿勢を示すことが多いと思うのですが、ヴイエムウェアさんはどうやって受け入れられてきたのでしょうか?
森田氏 仮想化技術が企業に受け入れられるようになった要因はいろいろあったと思いますが、一番重要なのは信頼性です。サーバ統合によるコスト削減も重要ですが、企業のデータセンターでは安定稼動がさらに重視されます。
弊社がお客さまに提供していた継続利用のデータに米国の金融機関の事例があります。VMware ESXのお客さまなのですが、管理ツールのvCenterのログを見ると起動してから1500日以上が経過しているというのです。4年以上、リブートもせずにずっと動いているわけです。
仮想化技術の堅牢性については、これ以外にも仮想化プラットフォームが全体としてきちんと動作するのか、仮想化マシンを数多く立ち上げたときに相互に影響を及ぼさないか、メモリ・リークがないかなどさまざまな要素がありますが、それらについて多くの企業ユーザーが長期にわたって安定的に運用してきたという実績がご理解いただけるようになったということが一番、重要なことだったのではないかと思います。
浅井 アイシロンさんの場合も対象がデータなので、さらにシビアですよね。ユーザーさんとしては、できるだけ安心な技術を使いたいと考えるのではないでしょうか?
河南 データがとても重要だというのは、まさにおっしゃるとおりです。データは必ず、ディスクドライブなどの物理的なハードウェアの中に格納されるわけですが、データ量の爆発的な増大に比例して物理的な装置が増加すると、その物理的なものが壊れる件数は確実に増えます。RAID構成のアレイでディスクが1〜2本壊れたときの対処は、従来のストレージ装置でも可能ですが、筐体自体が壊れた場合には対応困難です。
アイシロンでは「OneFS」でクラスタリングシステムを組み上げ、RAIDの仕組みを筐体間で実現します。1つの安全なストレージ装置を導入するのではなくて、複数のストレージ装置をOSが自律的に協調連携させることで、安全なストレージ環境を作るわけです。
浅井 ストレージを増やす、大きくするというのはデータベースやデータウェアハウス構築などでは、パフォーマンスの劣化につながるといわれますが、この点はどうですか?
河南 わたしどもの提唱する「スケールアウト」というのは、複数のストレージ筐体を並列的に使うもので、筐体を増やすほど制御モジュールとディスク容量が共に増えるために、ストレージ筐体が多いほど大量のデータが保存でき並列性能も上がるのです。ですから、使い勝手・柔軟性・信頼性・パフォーマンスの問題を同時に完結するソリューションだと自負しています。
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アイシロン・システムズ株式会社 マーケティング・コンサルタント 磯場智宣氏 |
磯場 企業ユーザーさまからいただく質問は、信頼性や堅牢性に集中するんですね。本当に安心・安全にお使いいただけるという点をお伝えしたうえで、「スケールアウト」がもたらすお客さまへの利益を伝えていくのかが非常に重要なポイントだと思っています。
現在、国内でも180社ぐらいのお客さまがいらっしゃいますが、こうした既存のお客さまでお使いいただけている現状を、お客さまに向かってお伝えし、「スケールアウト」の利点を最大限に活用していただくことができればと考えています。
浅井 最後にユーザー企業が最新技術を導入するときにアドバイスがあれば、教えてください。
森田氏 欧米には最新技術をうまく導入している先進ユーザーが多数いらっしゃいます。グローバルな時代ですから、今まで以上に海外事例を参考にするのがよいのではないでしょうか。
河南 同感ですね。知らない技術は使わないのではなくて、新しいものにチャレンジしてほしいと思います。われわれのようなベンダとしては、お客さまの考えていること、真に求めていることを知りたいと思っていますので、もっとわがままをいっていただいて、一緒になってソリューションを考えていければいいと思います。
7月30日に開催する弊社セミナー 「ISILON SUMMIT 2010」では、仮想化やクラウドを実現しているわれわれのお客さまの生の声や、ヴイエムウェアさまをはじめとしたパートナーさまのソリューションをご紹介予定です。最新技術の導入を検討しているお客さまに有益な情報をお届けできるのではないかと思います。
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関連リンク |
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提供:アイシロン・システムズ株式会社
アイティメディア営業企画
制作:@IT編集部
掲載内容有効期限:2010年07月31日
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イベント情報 |
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日時 | 2010年07月30日(金) 13:00〜17:00 (受付開始 12:30〜) |
会場 | 東京ミッドタウン ホールA 東京都 港区 赤坂 9丁目7-1 |
プログラム | プログラム一覧を見る |
参加費 | 無料 |
定員 | 300名 (定員となり次第受付終了) |
関連リンク |
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