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ITシステムの要件定義から設計、開発、運用に至るまで、SE(システムエンジニア)の仕事は多忙だ。しかし、その業務の大半は「フローチャート」「UMLクラス図」「システム構成図」「ネットワーク図」といった図面作成や、提案書、進ちょく報告といったいわゆる“文書作成業務”が大半を占めている。Visioは、これらのドキュメント作成作業の生産性を向上させるさまざまな機能を持っている。
現状、WordやPowerPointなどのOfficeアプリケーションでドキュメントを作成するエンジニアも少なくないだろう。しかし、実はフローチャートやシステム構成図などの図面作成に最もマッチし、効率的・高速に作成できるのは「Microsoft Office Visio 2007」なのだ。
Visioを利用すれば、効率的に図面や文書の作成・管理が行えるだけでなく、Excelやデータベースなどと連携することで、管理ツールとしても活用できる。
Visioの大きな特徴は、さまざまな自動作図機能を利用できる点だ。
例えば、Active Directoryで管理しているさまざまな情報を、自動で作図することができる。使ってみれば分かるが、この機能は本当に便利で、PC資産管理やセキュリティ管理にも活用できる。
具体的には、Visioがネットワーク上のActive Directoryにアクセスし、「ドメイン」「サイトトポロジー」「OU(組織単位)構造」「Exchange 200x管理情報」といったものを自動で取得し、作図してくれるのだ。
Active Directoryは社内の認証基盤として多くの企業に利用されているが、PCの構成やユーザー情報、セキュリティの設定などが動的に更新されていくものなので、常に最新の情報を管理することが求められる。このように更新頻度が多い場合、これらを簡単に自動作図できるVisioの導入効果は大きい。
VisioでActive Directoryの構造を自動的に作図した様子。OU構造やドメインコントローラーの情報などを取得し、自動的に作図してくれるメリットは大きい(クリックで拡大) |
【関連リンク】 ツールの詳細とダウンロード http://www.microsoft.com/japan/office/2007/visio/tool/default.mspx#pageNav02 |
このように、Visioではさまざまな自動作図機能が提供されている。いくつか紹介しよう。
●Webサイトマップの自動作成とリンク切れチェック
「Webサイトマップ」機能は、Visioの標準機能として組み込まれているものだ。自社で開発・運用管理を行っているWebサイトのトップページのURLを指定するだけで、サイトの階層構造を自動的に描画してくれる。
「Webサイトマップ」機能を利用すると、WebサイトTOPページのURLを入力するだけでリンク切れやサイト構造をチェックし、可視化できる(クリックで拡大) |
サイト上のWebページは、Visioではアイコンとして表示される。ここでは、そのページに対するリンクやほかページへのリンク数、最終更新日などの情報を確認できる。従って、リンク切れサイトのチェックも可能だ。
レポート機能を用いれば、Excelなどに図面上の情報を出力できる。サイト内のすべてのリンクや、「エラーが発生したリンクだけを一覧表示するレポート」「同一サイトにおける時間経過による差異を一覧表示するレポート」なども作成できる。Webサイトは、一度構築してしまうと以後の管理がなおざりになってしまいがちだが、こうしたツールを利用すれば、階層構造の見直しやサイト全体のリニューアルなどに役立てられる。
●共有フォルダの構成やアクセス権を一目で把握
無料アドオンの「フォルダ−アクセス権マップ」機能を利用すれば、ファイルサーバ上にある共有フォルダの構成やアクセス権限をVisioやExcelに出力し、設定状況を一目で把握することができる。
Active Directoryから共有フォルダに関する設定情報を取得し、リストから選択。出力する際の階層の深さを指定することで、共有フォルダへのアクセス権を一覧で確認できる。Visio上から指定したフォルダを開いたり、セキュリティ種類を設定することも可能だ。
●ネットワークを自動的に調査してネットワーク図を作成
サードパーティであるコディマ・テクノロジーズが提供する有償アドオン「autoMap」を利用すれば、ネットワーク図の自動作成も可能だ。
autoMapはネットワークへ実際にアクセスして調査し、自動的にトポロジー構成図を生成する。ネットワーク上の機器やプロセスから直接入手できる情報を利用するので、検出のために設定を変更する必要がない。プロトコル管理されているものだけでなく、ノンインテリスイッチなどの管理外製品も含めた、すべての機器を特定して報告してくれる。
検出の際には前回の履歴と比較し、ネットワーク上で発生した変更を自動的にハイライトする。ITネットワークを視覚化することで、資産管理をより簡単にし、ネットワークを管理する時間とコストの大幅な削減が可能となっている。
このような管理用のドキュメントも、Visioを使えば簡単に自動作図が可能になるため、SEは作業時間を大幅に削減できるのだ。
システムの設計や運用管理を担うSEの業務の基本は、システムの流れを視覚的に表現する「フローチャート作成」ともいえる。
フローチャートは条件分岐や入出力などの記号を並べて線で接続する図面のため、作図も得意なPowerPointで作成しているエンジニアも少なくない。
しかし、PowerPointにはフローチャート図形などが用意されているものの、「図形の自動整列」や「記号同士を自動的に接続」といった機能はないため、図形の位置を調整して配置したり、コネクター接続するといった操作は手動で行う必要があり、膨大な時間がかかるのだ。
一方のVisioでは、“頭が考えるスピード”でフローを作成していくことが可能だ。基本的なフローチャートのほかにも「監査図」や「ワークフロー図」「部門関係チャート」など、幅広く活用できるテンプレートが用意されており、より手軽にチャートを作成できるように設計されている。
「Visioを使うと、フローチャートの作図時間がPowerPointの5分の1に短縮できる」というマイクロソフトの社内調査もある。
PowerPointよりもVisioの方が作業時間を5分の1に減らすことができる |
簡単にシステム構成図を作成
基本的なシェイプを用いるフローチャートであれば、PowerPointでも作成可能だが、システム構成図やネットワーク構成図といった複雑な図面となるとVisioの独擅場だ。
サーバやネットワーク機器、IP-PBXなどのメーカー各社は、Visioで利用できる「機器シェイプ」をWeb上で無料公開している。従って、これらのシェイプを活用すれば、論理構成図や物理構成図を簡単に作成することが可能だ。
Visio向けにベンダ各社が提供している「サーバ・ネットワーク機器シェイプ」を利用すれば、このような精密なラック構成図も簡単に作図することが可能だ(クリックで拡大) |
例えば、システムの物理構成図であれば、19インチラックのシェイプにヒューレット・パッカード(HP)が提供している「1Uラックマウントサーバ」のシェイプや、シスコシステムズが提供している「ルータ」のシェイプ、ネットワーク・アプライアンスの「SANストレージ」といった各社が提供しているシェイプを、ドラッグ&ドロップして整列するだけで作成できるのだ。
それぞれの機器シェイプには、「メーカー名」や「型番」があらかじめ入力されているので、必要に応じて機器のIPアドレスや管理者名、設置場所などを入力すれば、ラック構成図はほぼ完成だ。VisioとExcelの連携機能を使うことで、ネットワーク機器構成一覧を作成することもできる。
Visioの上位モデルである「Visio Professional」を利用すれば、機器の資産管理番号やシリアル番号、設置する場所や部署名、管理者名、IPアドレスなどを登録したExcel 2007スプレッドシートや、Access 2007データベースとデータ連携することも可能だ。
これにより、データの入力から管理まで大幅な簡略化を実現できるだけでなく、データの更新機能を使用することで図面のすべてのデータを自動的に更新できる。常にシステム構成図と資産管理表などを、ともに最新の状態に保てるというのは大きな魅力だろう。
システムを効率的に開発運用するためには、既存データベースの活用も重要になる。Visio Professionalでは、SQL ServerやAccessなどで作成した既存のデータベースに対してリバースエンジニアリングを行い、データベースモデル図を作成する機能を備えている。全テーブル、ビューの構成、それらのリレーション情報すべてを自動的に検出し、図面に配置することが可能だ。
仕様変更に対して柔軟に対応できるだけでなく、仕様書が存在しないデータベースを移行する際にも活用できる。スタッフ同士で緊密なコミュニケーションを図りながら、より効率的にアプリケーション開発を行うことができるのだ。
Visioは、企業に「EA(エンタープライズアーキテクチャ)」を導入するうえで、不可欠なツールである「UML(統一モデリング言語)」によるモデル図を作成する際にも役立つ。「Visual Studio .NET」で開発中のシステムをリバースエンジニアリングすることで、UMLモデルを生成する機能も備えている。
また、Visioにはデータとモデルを描画するためのさまざまなテンプレートが標準で用意されているため、システム開発への段階的なUMLモデリング導入も容易に行えるのだ。
Visioが搭載しているテンプレートの様子。UMLモデル図のテンプレートやそのほかにも数多くのテンプレートが用意されている(クリックで拡大) |
マイクロソフトのWebサイトでは、無料で60日間体験できるVisioの試用版をダウンロードできる。
高度なデータ連携などが可能でテンプレートも多数用意されている「Visio Professional 2007」、基本機能は同等だが、一部の応用機能を省いた「Visio Standard 2007」のどちらも用意されている。
60日間はフル機能を利用できるので、アドオンなども利用しながら使い勝手を検証し、その効率性を実感してみるといいだろう。
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提供:マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画
制作:@IT情報マネジメント編集部
掲載内容有効期限:2010年2月17日
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