Windows Server Cloud Day 2012レポート
マイクロソフトが推進する
プライベートクラウドのための
次世代ITの姿とは
2012/06/26
日本マイクロソフトは5月31日、「Windows Server Cloud Day 2012」を東京都内で開催し、マイクロソフトのサーバ製品群の進化を一挙に紹介した。仮想化管理を超え、プライベートクラウドの構築と運用に必要な機能を網羅し、かつ統合した管理製品「Microsoft System Center 2012」をすでに4月に発表しており、さらに近い将来にはサーバOSの最新版「Windows Server 2012」が登場の予定だ。また、仮想化プラットフォームも大幅に強化された「Hyper-V」が、近く提供開始される。
本セミナーでは今後の企業ITにおいて不可欠な、低コストで高度な運用管理能力と柔軟性を併せ持つ IT基盤という観点から、これらの製品やマイクロソフトの取り組みを一挙に紹介した。当日は開場の1時間以上前から来場者が列を成す大盛況で、丸一日におよぶ多数のセッションに、熱心に耳を傾けていた。
ここでは、当日行われたセッションのなかから、下記の6セッションをレポートする。
・Windows Server 2012 と System Center 2012 が実現する、
次世代クラウド プラットフォームの全貌
・仮想化を超えた変革を今 ―マイクロソフト プライベート クラウド―
・次期サーバOS Windows Server 2012 概要
・ストレージ最新技術と System Center 連携のご紹介
・失敗しない!サーバ仮想化からクラウドへの
スムーズなステップアップとは?
・Hyper-V による仮想化統合基盤の勘所
プライベートクラウドへの明確なシナリオを提供
Windows Server 2012 と System Center 2012 が
実現する、次世代クラウド プラットフォームの全貌
日本マイクロソフト株式会社 サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役 本部長 梅田 成二 氏 |
日本マイクロソフトのサーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役 本部長、梅田 成二氏は、キーノート・スピーチで、System Center 2012とWindows Server 2012が、企業ITの今後に不可欠な、次世代クラウドプラットフォームとなることを説明した。
「水は物理から仮想、PaaS、SaaSへ流れる」(梅田氏)。現在クラウドサービスは、おもにソーシャルゲームなどコンシューマーサービスの世界で活用されているが、企業の社内システムでも使われ始めるのは時間の問題で、社内のITとクラウドサービスの併用によるハイブリッドクラウドへの移行が進むという。
マイクロソフトはこの世界に向け、「ID管理」「仮想化」「管理」「開発」の4つのテーマに取り組んでいるという。ID管理はActive Directoryを軸にクラウドサービスとの連携を進める。仮想化はネットワークの仮想化を含めて推進する。管理は社内とクラウドサービスを1画面で行えるようにしている。また、開発もクラウドサービスを使うからといって、新たに勉強するのでなく、社内のシステム開発に使っているツール1つで行えるようにしている。
キーノートでは、4月に発表されたSystem Center 2012が、どのようにITのサービス化と運用の自動化を推進し、社内ITをプライベートクラウドに変えるかを、デモを通じて紹介した。System Center 2012では、社内のユーザーが仮想マシンをリクエストすると、これがITILベースのワークフローに沿って、多くの作業が自動的に実行される形で作成される。IT部門にとっては省力化とミスの減少につながる一方、ユーザーにとっては迅速に仮想マシンを利用し始められるようになる。ユーザーは、仮想マシンの管理ツールの画面を出さずに、あたかもクラウドサービスを使っているような感覚で、Webポータルを通じて自らの利用のために作成された仮想マシンを用い、アプリケーションの開発やデプロイが行える。
三井物産では、特に運用自動化とセルフサービス化の機能に着目し、System Center 2012 OrchestratorとSystem Center 2012 Virtual Machine Managerを中心に検証を進めているという。
梅田氏は、マイクロソフトのプライベートクラウド導入で、3通りの方法を用意したと説明した。「Microsoftクラウド展開ガイド」に基づく社内クラウドの構築、Microsoft Cloudサービスプロバイダによるホステッド・プライベートクラウド、構成済みのシステムを購入できる「Microsoft Private Cloud Fast Track」だ。「Microsoft Private Cloud Fast Track」は全世界で展開されてきたが、日本では小規模からスタートできるよう、4ノードなどの構成も提供されているという。
次期サーバOSは、これまでWindows Server “8”と呼ばれてきたが、正式名称が「Windows Server 2012」に決まった。ストレージ仮想化やネットワーク仮想化の点で機能が大きく進化、例えば仮想マシン単位で遠隔拠点にデータを複製しておき、本番拠点に問題が発生した場合には遠隔拠点側でサーバを立ち上げる形の、低コストな災害復旧機能を搭載するという。また、次期仮想化ソフトウェア(ハイパーバイザ)の「Hyper-V」では、コア数制限が大幅に改善するなど、ハイパーバイザとして最高クラスの機能を搭載する。
System Center 2012と、Windows Server 2012/Hyper-Vの組み合わせで、マイクロソフトはプライベートクラウドへの明確なシナリオを提供していくという。
社内ITのクラウド化をどう進めるか
仮想化を超えた変革を今
―マイクロソフト プライベート クラウド―
日本マイクロソフト株式会社 クラウド&ソリューションビジネス統括本部 マイクロソフトテクノロジーセンター テクニカルアーキテクト 加藤 寛二 氏 |
では、仮想化とプライベートクラウドはどのように違うのか。プライベートクラウド化は一般企業にどういうメリットをもたらすのだろうか。
日本情報システム・ユーザー協会などの調査によると、仮想化を導入済み、あるいは次年度の投資分野と考えている企業は多いが、プライベートクラウドとなると関心レベルはかなり低い。
日本マイクロソフトクラウド&ソリューションビジネス統括本部 マイクロソフトテクノロジーセンター テクニカルアーキテクトの加藤寛二氏は、「セルフサービス」「自動化」「ITリソースのプール化」がプライベートクラウドの3大要素だと紹介した。セルフサービスは管理者の負荷を大きく軽減する。自動化は運用を効率化するとともに品質を向上する。また、プール化は、利用リソースの柔軟な増減を可能にするとともに、利用率の最適化につながる。これらを推進すべき理由は、ITのサービス化にあるという。
上記の点は以前より話題とされてきたことではある。しかしこれまでは、それぞれのITコンポーネントを別個に管理するしか方法がなかった。だがようやく、全体を1つのサービスとして運用し、ユーザーにもITをサービスとして提供できるツールが登場し、これが実現できるようになってきた。そうしたツールが「System Center 2012」だ。
セルフサービス、自動化、プール化は、Windows Azureなどのパブリッククラウドサービスの得意分野。大規模なインフラを運用することで、非常に経済性に優れたITリソースの提供ができる。しかし企業は、ガバナンスの観点からも、パブリッククラウドに全面依存というわけにはいかない。このため、パブリッククラウドのノウハウを製品に組み込んだ、System Center 2012のような製品で、社内ITをクラウド化することが必要になる。
加藤氏は、System Center 2012の特徴として、業務/アプリ指向とクロスプラットフォーム対応を詳しく説明した。
社内ユーザーがやりたいのは、システムの運用ではなく業務の管理。このため、System Center 2012には、業務アプリを素早く展開したり、業務システムの可用性と信頼性を高めるための機能を組み込んだ。アプリケーションコンポーネント間の依存関係を自動的に検出し、それぞれのコンポーネントを監視して、障害時には原因の特定が素早くできるような機能を実装している。
クロスプラットフォーム対応では、異種ハイパーバイザ、開発ツールまたいだ管理を実現している。VMware vSphere、XenServerも管理の対象とすることができ、プラットフォームをまたがるプロセスの自動化や設定が可能になっている。ネットワーク機器の死活監視も、System Center 2012では使いやすい機能を標準で搭載している。
「プライベートクラウドは将来への基盤」だと加藤氏は表現する。従って、1仮想マシン当たりのコストは重要な検討ポイントだと指摘する。この点で、Windows Serverで無制限に仮想マシンを使えるライセンスを提供していることは大きなメリットだという。
そうはいっても、プライベートクラウドには大きな投資が必要になるのではないかとの懸念を持つ人は少なくない。加藤氏は、まず投資を抑えながら、効果が分かりやすいところから利用し始めるべきだと話した。「System Center 2012 Orchestratorで、機械的作業は機械にまかせ、Virtual Machine Managerで資源を有効活用し、Operatons Managerでアプリケーションを含めた監視を早期に実現するのが得策という。
基礎体力の強化だけではない、
Windows Server 2012の進化
次期サーバ OS Windows Server 2012 概要
日本マイクロソフト株式会社 デベロッパー&プラットフォーム統括本部 エバンジェリスト 高添 修 氏 |
まもなくRC(リリース候補)版が登場予定のWindows Server 2012。デベロッパー&プラットフォーム統括本部 エバンジェリストの高添修氏は、一見大きな変化がないようだが、機能の大幅な改善と強化が図られていると説明した。
基本スペックとしては、64物理ソケット、640論理CPU、4TBメモリに対応。これにより、単純に台数を増やして負荷の増大に対応するような、スケールアウトの時代は終わるのではないかと話した。マイクロソフトでは、サーバOSレベルのみならず、仮想マシン、IIS 8などのアプリケーションレベルで、NUMA対応を加速している。これも管理性とパフォーマンス確保の両立という点で、大きな進化だという。
管理面では、フルインストールとServer Core間を、自在に行き来できるようになる。PowerShellの標準コマンドは、230から2330以上へと、大幅に増加する。また、Windows Server Backupのバックアップ先としてクラウドサービスが指定できるようになる。Active Directoryでも、ドメインコントローラーの仮想化や容易な複製がサポートされる。
情報セキュリティに関する大きな進化は、ユーザー、利用端末、ファイルの属性情報の組み合わせによるポリシーベースのアクセス制御だ。例えば、経理に所属し、役職の高い人が、社内の端末からのみ、機密性が高いファイルにアクセスできるといったポリシーを運用できる。
ストレージとしての機能も強化。ディスクドライブをプール化して、切り出して使えるようになる。ファイルサービスのプロトコルは、CIFSに加えてNFSに対応。iSCSIターゲットも標準搭載する。さらにシンプロビジョニングや重複排除、4Kセクタのサポートなど、専用ストレージ装置にしか見られないような機能も組み込む。一方で、ハイエンドストレージとの間では、データ処理をオフロードするAPI連携を実現するという。
仮想化およびクラウドの基盤としての機能も大きく進化する。仮想マシンの最大プロセッサ数は4から32に増加、最大メモリ量は64Gから1TBになる。
仮想化を使った低コストの災害対策を実現する技術にも注目だ。Hyper-V上の仮想マシン 2台と、その間のネットワーク接続だけでできるもので、仮想マシンのシステムイメージとデータを遠隔拠点に常時複製しておくことで、本番拠点の仮想マシンに問題が起こると、遠隔側の仮想マシンを代わりに立ち上げることができる。遠隔側で、どういうアドレスで立ち上げるかなどのネットワーク設定もできる。OpenFlow対応など、ネットワークの仮想化にも対応するという。ライブマイグレーションはクラスタリングが不要となる。
ユーザーの業務関連支援でも、多数の機能が進化するという。DirectAccessはIPv6が不要になり、設定手順も減って使いやすくなる。ワンタイムパスワードなど、ユーザー認証の選択肢が増える。Branch Cacheでは、クラウドとキャッシュの連動も図られる。さらに、MS VDIでは、管理環境がより直感的になる。また、テンプレートでVDI用の仮想マシンを自動作成できるようになる。ユーザープロファイル管理では「UE-V」のベータが提供中で、アプリケーション仮想化では「App-V 5.0」のベータが提供中だ。
※記事中、Windows Server 2012の仕様や数値はベータ版のものです。今後、変更の可能性があることをご了承ください。
ストレージとSystem Centerの優しい関係
ストレージ最新技術と System Center 連携のご紹介
ネットアップ株式会社 シニアシステムズエンジニア 高野 勝 氏 |
ネットアップのストレージ製品は、エントリからハイエンドまで、同一の高機能なOSを搭載する。この製品で、ネットアップはSystem Center 2012への対応を進めている。
ネットアップのストレージにおける最近のビッグトピックの1つは、ストレージOSにおける新機能だ。「Data ONTAP 8.1クラスタモード」を使うと、並列に並べた複数のネットアップストレージ上に仮想ストレージを構築することが可能になり、物理環境に依存しない環境を構築することができる。ネットアップはこれまで、下位機種から上位機種への切り替えを、ヘッドの入れ替えだけでできるようにし、いわゆるスケールアップのニーズに対応してきた。今回の新バージョンのクラスタモードでは、スケールアウト的な拡張も選べるようになった。クラスタモードでは、クライアントやホストからのアクセスを止めること無く仮想ストレージに新しくボリュームを追加できるようになったことで、より柔軟な容量の拡張やI/Oの分散などが可能となった。
また、クラスタモードでは、下位機種と上位機種、古い世代の機種、さらにはストレージ仮想化製品を使用することで他社ストレージ製品も同一のクラスタ内で混在運用できる。その為スモールスタートから時間をかけて環境を拡張する場合でも既存機器の有効活用が可能となっている。
ネットアップは運用管理負荷の軽減にも力を入れている。同社は「OnCommand Plug-in for Microsoft」という管理製品を無償提供していて、System Center Operations Managerに管理パックを組み込むことで、ネットアップストレージとネットワークリソースをSystem Center Operations Managerから一元管理できるようにしてきた。他にもこのプラグインでは、例えばSystem Center Virtual Machine Managerによる仮想マシンの作成時に、ネットアップのFlex Cloneというストレージ効率に優れた複製機能を活用することにより、多数の仮想マシンを少ないストレージスペースで高速にデプロイできるようになる。
仮想マシン運用作業の自動化については、System Center Orchestrator用の管理パックを提供しているという。この管理パックでは、ネットアップストレージの機能を活用した仮想マシンのクローニング、プロビジョニング、ディザスタリカバリなどの機能を提供しており、簡単に作業を自動化できる。
ネットアップは6月中に、OnCommand Plug-in for Microsoftのバージョン3.1の提供を予定している。このバージョンでSystem Center 2012に対応するという。また、マイクロソフトのサーバ仮想化運用基盤からネットアップストレージを直接操作可能とするSMI-SはONTAP7.2移行で対応済み。データ転送をオフロードする「Offloaded Data Transfer(ODX)」およびSMB 3.0には、Data ONTAP 8.2で対応の予定だ。
サーバ、ストレージ、ネットワークの“まるごと仮想化”を
失敗しない!サーバ仮想化からクラウドへの
スムーズなステップアップとは?
日本電気株式会社 プラットフォームマーケティング戦略本部 本部長代理 浅賀 博行 氏 |
昨年発生した東日本大震災は甚大な被害をもたらしたが、この経験から「多くの企業が事業継続に対して見直しを図り、ICTに求める要件は大きく変化した」という。これまで30キロ離れていればよいとされていたロケーションは60キロに拡張され、バックアップも国内だけでなく海外も視野に入れるようになった。またシステムはデータセンターだけでなくクラウドも活用し、ネットワークも単なる冗長化から複数ネットワークへと変化した。
浅賀氏は、「有事に強い、堅牢なデータセンターを実現するためには、電力供給も踏まえた運用と、特に仮想化、クラウドをいかに効率良く構築するかが重要なポイントとなる」と話す。そのためのアプローチとしてNECでは、一部システムの仮想化、全社的な仮想化、運用の標準化・リソースプール化、運用の自動化、セルフサービス化という5つのステップを提唱している。
まず、多くの企業で実現している一部のシステムにおける仮想化。これを全社的な仮想化にステップアップする際、重要になるのが可用性の向上だ。中でも、Hyper-VとNECのクラスタ製品「CLUSTERPRO」の組み合わせで、障害や災害に強い堅牢な仮想化環境を実現できる。またWindows Server 2012に対応したNECのストレージ製品「iStorage HS」による遠隔バックアップも有効だ。
さらに、運用の標準化・リソースプール化を実現するためには、サーバ仮想化だけでなく、ストレージやネットワーク含め、システム全体の仮想化“まるごと仮想化”が重要になる。ネットワークの仮想化は、新しいネットワーク制御技術である「OpenFlow」をベースに開発された「UNIVERGE PFシリーズ」(プログラマブルフロー)で実現できる。
このUNIVERGE PFシリーズと連携できる「Hyper-V Extensible Switch上のOpenFlow vSwitch」を、米国マイクロソフト本社から程近いNECの 米国技術センターが中心となって共同開発、昨年9月には米BUILDイベントにおいて、Windows Server 2012に関して国内ベンダーで初となるデモを実演している。
実際に、UNIVERGE PFシリーズを採用した日本通運では、設置スペースを約70%、消費電力を約80%、事故発生時の切り替わり時間を約98%削減したほか、年間600万円程度かかっていたネットワーク変更のための外注費をゼロにするなど、大きな効果を上げている。
また、Windows Server 2012に関して、NECはマイクロソフト社 との30年以上におよぶ緊密な協業関係を基盤に、開発開始前の計画段階より参画。昨年からはNEC内に300名体制の専用プロジェクトを立ち上げ、特に新しいOSの品質、信頼性、省電力の強化に向け、多くのフィードバックをマイクロソフト社へ行うなど、新しいOSプラットフォームをベースとしたノウハウを蓄積してきた。これらの経験は顧客提案に活かしていくという。
全体最適化を目指した仮想化統合の具体的な進め方
Hyper-V による仮想化統合基盤の勘所
富士通株式会社 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部 統括部長 葛西 康人 氏 |
仮想化ではハードウェアとソフトウェア、言い換えれば業務とインフラを分離する。これにより、それぞれの管理を分離してTCOを削減するという観点で仮想化に取り組む企業が増え、導入が進んだ。市場予測では2012年の仮想化台数は約10万台とも言われている。さらに、5年前の2007年に既に6万台程度の仮想化システムが出荷されており、これがリプレイス時期を迎えている。つまり、仮想化は第2世代に突入している、と富士通の葛西康人氏は話した。
仮想化集約の勘所として、富士通では「仮想化集約5つのポイント」と題したドキュメントを公開している。ポイントとなるのは運用の効率化、効率的なバックアップ、サーバの可用性確保、共有ストレージの利用、ネットワークの冗長化だ。運用の効率化では負荷の平準化機能などを利用し、サーバを止めずに保守を行うことが可能となる。東京大学のHyper-V導入事例では、ライブマイグレーションを利用して日中にリソース増強が行えた、つまりインフラ担当者が夜間などに作業しなくてすむことを大きなメリットとして挙げたことを紹介した。また、仮想化ではネットワークも非常に重要な位置づけとなるため、ネットワークの冗長化や管理用LANを追加し、それも冗長化することなどがポイントとなる。
仮想化はまず小規模に導入する場合が多く、部門ごとの最適化はできているが全社を俯瞰すると状況が分からないというケースも少なくない。運用が異なるため調整が大変、リソースの無駄がある、管理作業の重複といった課題があり、システムのサイロ化という状況はあまり変わっていないのである。
これを仮想化統合による全体最適へと進めるためには、特定業務のインフラではなく全社のインフラを検討範囲とし、検討のタイミングも特定業務の更改時にこだわらないようにしなければならない。全社インフラをまず整えて、業務は更改時に順次搭載していくというように考え方を変えるのである。この時にポイントとなるのはインフラ予算の集約を含むガバナンスと、インフラ担当者の専任化だ。
進め方としては、まずロードマップを作成して「業務仕分け」を実施する。業務を必要なサービスレベルごとに分類し、同じサービスレベルを必要とする業務を同じインフラに集約するのである。サービスレベルの要件としては、サービス停止許容時間、データリカバリポイント、サービス提供時間といったものが挙げられる。これにより、業務のサービスレベルに適したICTインフラを選定し、全体のコスト削減を実現できる。
その先に、1つの仮想化統合基盤ですべての業務を稼働させる統合仮想化インフラがある。これを実現するための要素技術は、リソースのプール化、自動配置、優先制御、枯渇監視、災害対策である。Windows Server 2012では、優先制御や本番サイトから復旧サイトへ複製を行う災害対策といった機能が追加される。富士通はWindows Server 2012開発初期からの技術協業を進めており、日本市場の厳しい要件への対応を提起している。数多くの検証レポートを提出しており、その技術検証を経て得た適用ノウハウは同社のサイトで発信中だ。
提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2012年07月25日