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ノキア シーメンス ネットワークス ビジネスソリューション事業部 技術部長 安田 康平氏 |
ネットワーク管理とサービス管理の違いについてよく質問されます。ネットワーク管理が「ネットワークの不具合を解消」するのに対し、サービス管理は「提供するサービスの不満を解消」するための手法といえます。近年、多機能携帯端末の利用が急速に広がり、サービス管理の重要性が増しています。
例えば、ストリーミング映像などのリアルタイム・アプリケーションを利用する機会が増え、ユーザーはモバイルサービスの品質に敏感になり始めています。トラフィックの輻そうなどで映像をスムーズに視聴できないといった体感サービス質の低下が不満となり、事業者はユーザーを逃しかねません。
こうした状況の中、ノキア シーメンス ネットワークス(以下NSN)では、ユーザーの体感サービス品質を向上させ、顧客満足度の高いサービス提供を支援するため、サービス管理のソリューションに取り組んでいます。これまで事業者は、無線ネットワーク制御装置や基地局制御装置など無線ネットワークのエレメントや、コアネットワーク、伝送ネットワークの各エレメントのアラームを監視し、障害発生時に対処してきました。
しかし、サービス管理において、これでは十分とはいえません。アラームといっても、ユーザーへの影響度はさまざまであり、どんなインパクトがあるのか把握するのが困難です。加えて、大規模なサービス障害では監視対象が膨大になることから、原因の特定・復旧に多くの時間を費やす問題も指摘されています。
また、アラームが発せられていないのに、ユーザーからクレームが寄せられることもあります。いわゆる、サイレント障害と呼ばれる現象です。ネットワーク装置では検知できない故障で、ユーザーの体感サービス品質が低下するのです。
このほかのサービス管理における課題として、垂直統合型のネットワーク監視・管理体制が挙げられます。無線やコア、伝送などの各部門がそれぞれのエレメントを監視して障害に対処することは重要ですが、ユーザーの体感サービス品質を高めるためには、モバイルネットワーク全体を包括するエンド・ツー・エンドのサービス管理が欠かせないのです。
NSNのリアルタイムサービス管理ソリューション「Serve atOnce Traffica」は、ユーザーの状況とトラフィックなどのサービス提供状況をリアルタイムかつ一元的に管理します。3Gや次世代無線通のLTE(Long Term Evolution)など無線アクセスのみならず、コアやIMS(IP Multimedia Subsystem)などの上位アプリケーションを含むマルチテクノロジに対応し、マルチベンダネットワークでの導入が可能です。
具体的には、ユーザーがネットワーク内のどこで、どんなサービスを利用しているか、どんな問題に直面しているのかなど、ユーザーに影響のあるサービス障害にフォーカスした監視を実施。監視対象を減らすとともに、プロアクティブな障害対応でユーザーのクレームを未然に回避します。この結果、顧客のクレームを受け付けるカスタマセンターやネットワークオペレーションセンターの作業負荷を軽減できます。そして、サービスを利用するユーザーの視点で障害対応の優先順位付けを行うなど、復旧作業の効率化と迅速化を支援します。
Serve atOnce Trafficaは幅広い分野に適用できます。例えば、企業ユーザーごとにグルーピングしてSLA(Service Level Agreement)の状況を把握することも可能です。端末の識別も行えるため、スマートフォンユーザーのサービス利用状況を把握、分析するなどマーケティング活動に適用できます。また、迅速で的確な顧客対応が求められるカスタマーサポート、問題の早期検知と復旧を行うネットワーク管理、よりよいサービス提供のためのネットワーク計画・最適化に活用するなど、運用の改善とサービス・収益向上のツールとしてServe atOnce Trafficaは世界中の事業者に利用されています。
「Serve atOnce Traffica」でユーザーの体感サービス品質を向上 |
NSNではさらに、Serve atOnce Trafficaで 収集したデータを有効活用するためのソリューションを用意しています。「Serve atOnce Intelligence」は、顧客関連情報を蓄積するデータウェアハウスを搭載し、長期にわたるユーザー動向やサービス使用状況などの履歴管理とトレンド分析を実施。運用部門でドリルダウンして問題を解決したり、マーケティング部門で新規サービスのトレンド調査に活用したりするなど、用途に応じたデータ分析が行えます。
また、「Traffica for Customer Care」は、カスタマーセンターのオペレータがServe atOnce Trafficaの情報に基づいてリアルタイムに通話状況やネットワーク状況を把握するためのソリューションです。Serve atOnce Trafficaがサービス障害を検知した場合、カスタマーセンターにもアラームを通知します。クレームが寄せられる前に、サービス障害の影響を受ける地域やユーザーを特定するなど、オペレータが問題の原因を把握して的確に応対できます。これにより、顧客満足度の向上のみならず、技術サポートの負荷やコストを軽減できる利点があります。
Serve atOnce Trafficaは、3GやLTEのネットワーク運用監視などを行う当社のNetActと連携。VoIPなどIMSアプリケーションのサービス品質を把握するIMSモニタリングソリューションを提供する計画です。
モバイルネットワークのオールIP化により、サービス障害の特定も困難になることが予想されます。NSNでは、エンド・ツー・エンドのサービス管理が行えるServe atOnce Trafficaを通じ、ユーザーの体感サービス品質の向上と顧客満足度の高いサービス提供を支援していきます。
リアルタイムの障害検知と的確な顧客対応を実現 |
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提供:ノキア シーメンス ネットワークス株式会社
企画:アイティメディア営業企画
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2010年7月29日
技術情報
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