「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition 11g」がビジネスにもたらすメリットとは
新製品にかけるオラクルの意気込み
日本オラクル 執行役員 EPM/BI事業統括本部長 関屋剛氏 |
オラクルはロンドンで7月7日に開催したイベント「Oracle Business Intelligence 11g Launch」にて、新たなBI製品「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition 11g(以下、Oracle BIEE 11g)」を発表。イベントでは社長チャールズ・フィリップス氏が駆けつけて講演するなど、近年かつてない力の入れ具合だ。世界規模で全社一丸となり新製品をアピールしていこうという勢いに満ちている。
日本オラクル株式会社 執行役員 EPM/BI事業統括本部長 関屋剛氏は「情報活用基盤となるOracle BIEE 11gは、市場を席巻するパワフルな新製品」と胸を張る。同社は待望の新製品を、万全の新体制で臨む構えだ。日本のEPM/BI事業部を新設し、パートナー支援を行うアライアンスチャネルの部隊を含め体制強化をはかった。アメリカのオラクル本社から日本市場への全面的な支援のコミットメントも得た。
日本におけるローンチイベントは「Oracle EPM&BI Summit 2010」(東京は7月29日、大阪は8月5日)。当日はオラクルコーポレーションでBI製品を統括するシニア・バイス・プレジデントのロバート・ガースティン氏が基調講演で新製品を紹介する。ガースティン氏の来日は日本市場への重要性や期待が表れている証拠だ。
オラクルのBIはここがスゴイ!ポイントは3つ
Oracle BIEE 11gはどういう特徴があり、ユーザーにどんなメリットを与えるのだろうか。ポイントは以下の3つだ。
- 部門ごとに展開される情報基盤の統合によるTCOの削減
- BIのあらゆるニーズを1つの情報基盤で提供
- アクションフレームワークで気付きから行動へ
●メリット1:部門ごとに展開される情報基盤の統合によるTCOの削減
まずはTCOの削減効果を見てみよう。関屋氏はキーワードに「エンタープライズ・マネジメント・アドミニストレーション(企業経営管理)」を挙げる。現在、BIやDWHは個別システムとして導入・運用されていることが多く、部門ごとに情報が“サイロ化”し、管理が煩雑になっている。これでは運用コストが肥大化し、生産性や性能にも問題を抱えてしまいがちだ
オラクルはこれを標準化により一元的に利用できるようにし、また透過的に管理できるOEM(Oracle Enterprise Manager)にて運用コストを抑える。
図1 情報基盤の統合によるTCOの削減(クリックで拡大します) |
「企業で使われるインフラをオラクルで統一することにより、データの整合性や信ぴょう性を高め、スピーディに経営判断ができるインフラを提供します」(関屋氏)
統合の具体的なアプローチは2つある。BIサーバによるデータの仮想統合と、Oracle Exadataによる物理統合だ。
仮想統合は散在したさまざまなデータをBIサーバで論理的・仮想的に統合する。そのため、最初から巨大なDWHを構築する必要はなく、BIサーバの下で段階的に仮想統合を進めることで、導入時にかかるイニシャルコストを大幅に圧縮し、展開のスピードを加速できる。データベースにはOracle Databaseはもちろん、IBM DB2やMicrosoft SQL Serverも利用可能だ。一般的に複数ベンダ製品が混在すると管理が煩雑になるが、OEMを使えば各レイヤを透過的に管理できるので問題はない。関屋氏は「ROIの高いインフラになります」と強調する。
もう1つの統合アプローチはOracle Exadataによる物理統合だ。仮想統合ではなく、よりデータを確実にコンソリデーションしたいと考えるならOracle Exadataを使うという選択肢もある。Oracle Databaseだけでも十分な性能を発揮できるが、Oracle Exadataを使えば性能は圧倒的だ。関屋氏は「Oracle Exadataでパフォーマンスを担保しながら、Oracle BIEE 11gでビジネス改善をしっかりと進めることができます。これでビジネスが変わってきます」と断言する。
●メリット2:BIのあらゆるニーズを1つの情報基盤で提供
次のポイントのキーワードは「エンタープライズ・インフォメーション・モデル(企業情報モデル)」だ。データの統合により、効率化やスピードアップをもたらす。関屋氏は現状のBIについてこう話す。「BIの世界はレポート、分析、スコアカードの階層構造で成り立っていますが、それぞれ別の製品で導入すると、管理が複雑化しています。運用や教育コストが肥大化するだけではなく、データの不整合や遅延なども発生します。これでは正しい経営判断を下せません」(関谷氏)
図2 すべてのBIにおけるニーズを1つの情報基盤で提供(クリックで拡大します) |
Oracle BIEE 11gはBIに必要なレポート、分析、スコアカードのすべての機能を網羅するので、情報の一元化、およびインターフェイスの一元化ができる。データとアプリケーション両方の管理が簡素化し、無駄な再集計や再編集をする必要はなくなるので、情報伝達は飛躍的にスピードアップできる。経営層はもう数日・数週間前のデータを見ることはなく、現場と同じデータをリアルタイムで見ることができるようになる。
関屋氏は「インターフェイスが統一化されることで、それぞれのレイヤの人たちに別々に教育コストをかけることがなくなれば、大きな効率改善をもたらします。また違うシステムの組み合わせでは、分析方法の違いなどで結果の不整合が起こりがちですが、同じデータをソースとするならば、情報の不整合や遅延は発生しません。これはデータの信ぴょう性が増すということです」と話す。企業内のデータが整備され、無駄をなくし、正確かつリアルタイムで提供されるようになり、経営を強く後押しする。
●メリット3:アクションフレームワークで気付きから行動へ
そして最後のポイントは「気付きから行動へ」だ。一般的に企業では、現場の業務とBIの分析は別の人間が担当する。グローバル化が進んだ昨今では、部署や拠点が国をまたぐことも珍しくない。そのため、ビジネスプロセスの課題が伝わりにくく、BIによる気付きを得てから業務改善の判断を下すまでには、時間もコストもかかっている。つまり、人が判断して業務改善を指示するところで多少の停滞が生じてしまう。停滞どころか行動に移せないのであれば、BIを導入する意味がない。
そこでOracle BIEE 11gは、もう一歩業務改善に踏み込み、気付きのデータから次に取るべき行動をシステムがガイドする。関屋氏が例を挙げる。
「例えば在庫回転率が落ちたとします。しきい値に対してシステムがアラートを発することで人間が気付き、次の会議で対策を検討するなどして、ようやく業務が改善へと移ります。しかしOracle BIEE 11gは、BIとプロセスを接続し、現場のオペレーション・システムに直結できます。これを複雑なプログラムを個別に作成するのではなく、設定だけで簡単に実装することが可能です」
図3 Action Frameworkで気付きからアクションへ(クリックで拡大します) |
ここで連携するのはBPEL(Business Process Execution Language)の技術だ。先の例なら在庫の回転率が悪いと検知したら、発注システムの発注単位を100個から50個へと変更するといった対応を設定しておける。BIで得た「気付き」を、次の行動へとタイムリーかつ確実に導くようになる。業務担当者は状況に応じて機敏に動けるようになるのだ。
これら3つのポイントに加え、関屋氏は「Oracle Databaseやミドルウェアは、すでに多くのお客様にご利用いただいています。ここにオラクルのBI製品が加わることにより、お客様が享受できるメリットは何倍にも膨れあがります」と統合のメリットを強調する。
視覚効果を大幅改善 ユーザーに分かりやすく
もう少し具体的な技術詳細について踏み込んでみよう。同社 EPM/BI事業統括本部 ビジネス推進本部 BIソリューション部 部長の勝山公雄氏は「Oracle BIEE 11gはユーザーインターフェイスが大幅に改善されています」と、視覚効果を強く推す。
図4 新しいBIのホームページ |
ユーザーが最近利用したダッシュボードや、更新されたダッシュボードが一覧表示され、また代表的なメニューが左サイドに並んでいる。ポータル画面のような構成になっていて、作業に着手しやすい。Webブラウザの標準的なガイドラインに沿って画面が構成されており、使い始めてみればいかに快適であるか実感できるだろう。
表現力も強化した。画面表示は動くものが多く、ユーザーの目を引く。例えば棒グラフなら画面に静的に表示されるのではなく、軸から棒が動的に伸びていくように表示される。ほかにも新規チャートの追加や、ページスライダーやレンジスライダーにおけるインタラクティブ性も注目だ。こうした改善点により、BIのデータが生き生きとユーザーの目に迫ってくる。こうした視覚的演出はユーザーの目を楽しませるだけではない。勝山氏は「動きがあることで、より確実にデータを把握できるようになる効果が期待できます」と効果を強調する。
Oracle BIEE 11gはこれまでオラクルが買収してきた製品との統合がなされ、さまざまな機能改善が加えられている。もちろん、これまでにない新機能もある。代表的なものに、先に述べたアクションフレームワークがあり、ほかにもスコアカードにはKPIの関連性を視覚的に表現するフィッシュボーン・ダイヤグラムや、地図情報との連携などがある。スコアカードは一般的にはKPI(重要業績達成指標)を視覚化することに重点がおかれるためか、いわゆる「お絵かきツール」となりがちだ。だが大事なのは描画ではなく、経営戦略に役に立つビジネスパフォーマンスの測定や視覚化であり、それを経営層に伝えることである。Oracle BIEE 11gではエンタープライズ・インフォメーション・モデルにより、異種混合型のデータソースからもKPIの計算が可能となり、多角的にKPIの評価ができる。
日本オラクル EPM/BI事業統括本部 ビジネス推進本部 BIソリューション部 部長 勝山公雄氏 |
また、オラクルのBIはツールのみならず、オラクルが開発した各業種・業務別にプリセットされたデータモデルも提供する。「これまでの製品でも業種ごとのBIデータモデルを提供してきましたが、Oracle BIEE 11gではより洗練されています。すぐに使えるBIテンプレートを用意しており、これはこれまでオラクルが蓄積したノウハウが詰まったベストプラクティスを利用できるということです」と、勝山氏はOracle BIの即効性を挙げる。確かにBIをゼロから始めるとなると、データの整備は地道で手間がかかるところだ。テンプレートはユーザーにとって有用となるだろう。
勝山氏は「Oracle BIEE 11gの性能向上や新機能でユーザーは生産性を向上し、より短時間で作業を終えることができます。空いた時間は新しい考え、よりクリエイティブな思考に費やすことができます」と話し、ユーザーが知的生産性向上というメリットを得られると説く。
ユーザーはOracle BIEE 11gからさまざまなインサイト(気付き)を得て、業務改善につなげることができる。Oracle BIEE 11gを導入した企業はその効果を手にすることができるだろう。Oracle BIEE 11gのさらなる詳細は7月29日(東京)、8月5日(大阪)の「Oracle EPM&BI Summit 2010」で明らかにされる。ぜひ会場に足を運んで確かめてもらいたい。
企業はIFRS対応と同時に、これまで予測もできなかった変化が起こりうるニューノーマル時代において、継続的な成長のための柔軟な経営戦略とその実行力が一層求められています。Oracle EPM&BI Summit 2010ではエンタープライズ・パフォーマンス・マネジメント(EPM)とビジネスインテリジェンス(BI)の各トラックにおいて、次世代に求められる最強の経営基盤構築の解を紐解きます。 オラクルは3年ぶりにOracle Business Intelligence 11gを発表。従来のBIの枠を超えた革新的なビジネスプロセスとBIの融合、BIと統合されたスコアカードなどの新機能をBIトラックでご紹介します。EPMトラックでは、IFRS時代に求められるグループ経営のあり方とそれを実現する連結ソリューション、仮説検証型の経営を可能にする計画ソリューションを実際の導入事例も交えてご紹介します。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2010年8月12日
インフォメーション |
●Oracle EPM & BI Summit 2010 〜IFRS時代、経営革新をもたらすIT戦略〜 東京:7月29日(木) 大阪:8月5日(木) ●オラクルBIキャンペーン |
関連リンク |
●日経ビジネスオンライン 企業内に眠る膨大なデータを生きたビジネス情報に変えるには? 〜失敗しないビジネス・インテリジェンスの導入の秘訣〜 ●CNET Japan 可視化、結果分析に止まらず次なるアクションに結びつけられる次世代BI |