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アップグレード&マイグレーションで始まる
Road to Oracle 10g
オラクルは既存Oracleデータベースや他社製品からOracle
10gへアップグレード、移行できるツールを用意。簡単な作業で10g環境に移れる |
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無償のアップグレード&マイグレーションツールを用意 |
新しい製品には新しい技術が搭載されていることが多い。Oracle Database 10gはエンタープライズ・グリッド・コンピューティングを実装する初めてのデータベースである。分散システムを集中的に、効率的に利用できるメリットを話に聞けば、その進化の恩恵を受けてみたいと思うのは人の情というものだ。
では、どのようにしてOracle 10gへ到達するか。方法は大きく2つある。アップグレードとほかのデータベースからの移行だ。オラクルでは前者に対して「Oracle
Upgrade Assistant」、後者に対しては「Oracle Migration Workbench」というソフトウェアを無償で提供している。今回はこの2つのツールについて触れることにする。
Oracle Upgrade Assistantは、Oracle Database 10gに同梱されている。このツールで直接アップグレードがサポートされているOracleデータベースは、「8.0.6」「8.1.7」「9.0.1」「9.2.0」というターミナルリリースである。「8.0.3」「8.0.4」などそれ以外のリリースについては、いったん上記のターミナルリリースにアップグレードした後に、Oracle
Database 10gにアップグレードすることになる。
Oracle Upgrade Assistantによるアップグレードのメリットは、プロセスの途中で発生しそうなエラーを予測/回避でき、必要なリソース容量があらかじめ把握できるという点である。ただし、異なるハードウェアやOSへの移行についての機能は備わっていない。
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メリット
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デメリット
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Oracle Database Upgrade Assistant |
・アップグレード中に予測されるエラーを回避可能
・必要なリソースの確保 |
・異なるH/W、OSへの移行は不可 |
手動アップグレード |
・より細やかなアップグレード処理が可能(コンポーネント単位でのアップグレードなど) |
・実行されなかった手順や不適切な順序での実行によるエラーの発生 |
Export/Import |
・データの断片化を解消
・ DBの再構築が可能
・異なるH/W、OSへ移行可能 |
・データ量に比例して時間がかかる |
データ・コピー |
・Export/Importと同様 |
・Export/Importと同様 |
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Oracle 10gへのアップグレード方法の比較 |
アップグレードの詳しい情報については、Oracle Database 10gに付属のマニュアル「Oracle Database アップグレード・ガイド 10gリリース1(10.1)」に記載されているが、大まかに流れを解説すると、(1)Oracle
Upgrade Assistantを起動する、(2)アップグレードDBを選択する、(3)Oracle Database 10gに導入するデータ、ファイルの格納先、サイズなどを指定する、(4)アップグレード実行時に発生した無効なオブジェクトを再コンパイルする、(5)バックアップを取得する、となる。アップグレード後、修正された初期化パラメータなどがサマリーで表示される。これらのプロセスは、基本的にウィザード形式で進めることができる。
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SQL ServerからOracle 10gへの移行を支援 |
一方、Oracle Migration Workbenchは、Oracle
Technology Networkからダウンロードして利用することができる。このソフトウェアの歴史そのものは結構長いのだが、日本ではOracle
Database 10gの出荷に合わせ、「9.2.0.1.7」というリリースから正式にサポートされることになった。インターフェイスは英語だが、日本語データやロジックの移行に対応している。現状で、移行元のデータベースとして対応しているのは「Microsoft
SQL Server」(バージョン6.5、7.0、2000に対応)と「Microsoft Access」(2.0、95、97、2000に対応)の2製品だが、「Sybase
Adaptive Server」や「Informix Dynamic Server」「IBM DB2 UDB」なども、要望の多いものから将来的にサポートされる予定だ。
Oracle Migration Workbenchによるデータベース移行は、次のようなプロセスをたどる。(1)ソース・データベースのデータおよび処理の構造をキャプチャ(取得)する、(2)ソース・モデルをOracleモデルをマッピング(割り当て)し、その情報をいったんMigration
Repositoryと呼ばれるリポジトリに格納する。(3)格納された情報をMigration Workbenchが読み取る、(4)移行先でデータベースの作成を行う。
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Oracle Migration Workbenchによるデータベース移行手順 (提供:日本オラクル) |
Oracle Migration Workbenchには、多彩な機能が搭載されている。移行されたオブジェクトなどの情報をHTML形式でレポートしたり、移行の際にユーザー、テーブル、インデックスや表領域をカスタマイズしたり、複数のデータベースを1つのデータベースに統合したりといったことが可能だ。移行方法も、GUIを使用して実行するオンライン形式、DDL文SQL*Loaderのスクリプトをこのソフトウェアで自動生成して実行するオフライン形式の2通りがある。
「表、ビュー、インデックス、ストアド・プロシージャ、トリガーなど、ほとんど のオブジェクトを移行できるため、移行作業の約8〜9割を自動化できる」と、日本オラクル
マーケティング本部 システム製品マネジメントグループ 担当シニアマネジャー 坂本英樹氏は利点を語る。
また、Oracle Migration Workbench自体はWindows上で動作するが、移行先のOracle Databaseについては、データベース本体が対応しているすべてのプラットフォームをサポートしている。このため、ハードウェアの陳腐化の対応やサーバー統合を行う際にも有力なツールとなる。
さらに、Oracle DirectがOracle Migration Workbenchを利用した案件の支援を自社導入企業だけでなくシステム販売会社に対しても行ってくれるとのことだ。
(次回は5月11日に「コストを半分にするOracle Enterprise Manager 10g」を公開予定です)
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